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【新興ASIAウォッチ/第107回】大麻解禁に湧くタイ、大麻ツーリズムの拠点に

先に解禁されたアメリカとほぼ同じに

もう日本でも周知のことだが、この6月からタイでは大麻がほぼ解禁された。すでにタイでは、2019年に大麻の医療目的使用を認める法改正を行い、その後も規制を緩和してきたため、これまでも大麻成分を含む食品や化粧品などが一部で販売されてきた。

そこに、今回の大幅な解禁措置で、大麻が違法薬物リストから外された。つまり、大麻の栽培や取引は、犯罪ではなくなったのである。

こうなると、近年、大麻解禁が進んで来たアメリカとほぼ同じになったと言えるだろう。例えば、飲食店では大麻入りの食事や飲料を出すことが可能になった。また、大麻草を栽培していいのだから、当然だが個人で吸う人間も出てくる。

アメリカの場合もそうだが、大麻の解禁の狙いは、大麻ビジネスの興隆(グリーンラッシュと呼ばれる)による税収のアップである。すでに医療用は解禁され、健康増進成分も確認されたことで、アメリカのいくつかの州では娯楽用も解禁されている。最近では、ニューヨーク州が娯楽用の解禁に踏み切っている。先に解禁されたカリフォルニア州では、大幅な税収増を記録している。

コロナ規制も撤廃され観光客が戻る

ただし、今回のタイの大麻解禁は「完全解禁」ではない。タイ政府は解禁を記念して、栽培用の大麻草をなんと1,000万本も家庭に配布したが、その一方でまだ規制はあると強調した。アヌティン・チャーンビラクル保健相はメディアに対し、「大麻製品の消費や吸引は法令に基づかなければならない」と述べ、公共の場で吸引した場合は、3ヵ月以下の禁錮や1,000ドルの罰金が科せられることを強調した。

とはいえ、解禁によって国内はもとより、海外も大いに湧いている。なにより、大麻解禁は東南アジアでは初めてのことであり、これにより、タイが「大麻ツーリズム」の目的地のひとつになったからだ。ただ、大麻ツーリズムと言っても、解禁先に行って大麻を吸うことだけが目的ではない。

解禁により、大麻成分を含有した食品や化粧品などが数多く販売されるので、それらを買い求める。また、現地で大麻成分入りの食事や飲み物を飲食する楽しみもある。

カリフォルニア州で大麻が解禁になったとき、多数の日本人が大麻目的でロサンゼルスなどに押しかけた。その後、コロナ禍なったので、大麻ツーリズムはたち消えになったが、コロナ禍が収まれば復活する。

観光が一大産業のタイの場合、7月1日からコロナ規制が全面的に撤廃された。旅行者はワクチン接種が完了していれば、入国前と入国時のPCR検査は不要となった。これにより、多くの観光客が戻ってきている。

最も重要なのはCBDという成分

大麻と言うと、日本では麻薬のイメージが強すぎるが、第二次大戦以前は大麻草はごく普通に栽培され、大麻入りの製品も数多く出回っていた。それが、GHQによって禁止薬物に指定されて74年も経つため、いまの日本人は大麻がなにかよくわからなくなってしまった。そのため、大麻解禁と言うと、興味と同時に不安を抱く。そこで以下、手短に大麻について説明しておきたい。

一口に大麻と言うが、種類、成分等の違いからさまざまな呼称がある。まず、大麻全体を指すのが「カナビス」(Cannabis)。これは植物としての大麻の呼称で、カナビスには大きく分けて「マリファナ」(Marijuana)と「ヘンプ」(Hemp)がある。「マリファナ」は、大麻の中でも精神作用・陶酔作用性の高いTHCという成分を0.3%以上含むもので、主に娯楽用に使用される。「ヘンプ」はTHCをほとんど含まない(含有量0.3%以下)もので、食品や化粧品から、衣類や塗料などに使用される。

大麻解禁で最も重要なのが、「カンナビジオール」(Cannabidiol:略称CBD)というヘンプの主成分。これは、ポリフェノールの一種で、精神作用は伴わず、痛みや不眠など様々な症状に対する効果が判明している。そのため、大麻が解禁された国では、CBD入り食品やCBD入りサプリメント、CBD入りオイルなど様々な商品が生産・販売されている。

医薬品から化粧品、食料品まで続々登場

今回のタイの大麻解禁では、THCの含有量が0.2%以下とされたので、その範囲内のCBD入り製品が、今後、様々につくられて販売されることになる。すでに、今年初めからタイ政府はヘンプの商業利用の登録受付を開始しているので、今回の解禁前から製品開発が進んでいる。

医薬品やサプリメントはもとより、化粧品、スキンケア製品、ダイエット食品、スナック菓子、シリアル、清涼飲料水など、各種メーカーが大麻市場に参入している。 

タイには日本同様、古くからの大麻栽培の歴史がある。例えば、北西部に居住するモン族は、昔から大麻草を栽培し、伝統的な治療薬として使ってきた。また、余った茎などを使ってバッグや衣料などもつくってきた。このように、大麻はきわめて利用価値の高い農作物で、こうした伝統が大麻解禁で復活することになる。タイの農業団体は、タイの気候風土はヘンプ栽培に適していると強調する。

困惑の日本政府、大使館は禁止声明

さて、こうなると日本人観光客、在留邦人が最も気になるのは、タイで大麻を吸引して問題ないのかということだろう。解禁後のアメリカでも、同じ話が持ち上がり、日本政府は現地の大使館、領事館を通して、邦人にたびたび警告を発した。

例えば、ニューヨーク州で娯楽用大麻が解禁されたとき、現地領事館は、次のような声明を出した。
「日本の大麻取締法において、国外で大麻をみだりに栽培したり、所持したり、譲り受けたり、譲り渡したりした場合などに罰する規定があり、日本国外であっても適用される場合があります」
「在留邦人の皆様におかれましては、大麻が合法化されている地域においても決して手を出さないよう御注意ください」
タイに関しても、まったく同じである。在タイ日本国大使館は、今回の解禁に際して、ニューヨーク領事館と同じような声明を出した。

要するに日本政府は、国内で禁止なのだから、国外においても同じようにしろと言っているのだ。とはいえ、日本の法律は国内にしか及ばないので、なんのアクションもできない。そのため、「日本国外であっても適用される場合があります」としか言えないのである。

はっきり言って、日本は“大麻後進国”であり、現行の大麻取締法は現状に合わないうえ、医学的な部分でも根拠が薄い。世界で次々に大麻が解禁されて行く流れの中で、日本政府は困惑しているというのが現状だろう。

場合によっては死刑も!各国の大麻事情

「郷に入っては郷に従え」
これが、昔もいま変わらぬ原則である。だから、どの国でも、この原則を守って行動するのが最善だ。

世界的に大麻解禁が進み、ついにタイまでも解禁されたとはいえ、東南アジア各国では、まだ大麻は麻薬扱いで厳禁である。極刑を科している国もあるので、注意したい。

シンガポールは近年、大麻解禁に舵を切りつつあるとされるが、まだ、大麻の所持・消費・売買に関して、重い刑罰を科している。所持の場合、10年以下の禁錮、2万ドル以下の罰金を科せられる可能性がある。

もともと麻薬に関しては世界一厳しいと言ってよく、具体的には、15グラム以上のヘロイン、30グラム以上のモルヒネコカイン、500グラム以上の大麻、1200グラム以上のアヘンの密輸製造は死刑になる。実際、昨年には500グラム以上の大麻を密輸した男に死刑の判決が下されている。

マレーシアの場合は、医療用大麻は合法だが、それ以外の大麻を200グラム以上所持している場合、麻薬密売人とみなされ死刑になる場合がある。50グラム未満の所持には、最高で禁錮10年が科せられる。

ベトナムでは、大麻は覚せい剤と同様、禁止されていて、所持しているだけで逮捕される。もっとも軽い場合、罰金は100万ドン。大量に密輸した場合は、死刑になる可能性が高い。インドネシアもまた規制は厳しく、大麻所持法違反の場合、最低10億ルピアの罰金や5年の懲役が科され、場合によっては死刑になる可能性もある。

フィリピンは東南アジア一の「麻薬大国」であり、当然、大麻も厳禁。ドゥテルテ前政権は厳しく取り締まったが、気候が適しているため大麻草の栽培が盛んで、マリファナ吸引者は多い。5グラム未満の所持は12~20年の禁錮、30万~40万ペソの罰金。10グラムを超えると20年以上の禁錮となり、50〜1000万ペソの罰金。場合によっては死刑になる。ただし、ドゥテルテ政権半ばから、解禁の動きも出始めている。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2022年06月27日


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