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最近、コンビニの店員にベトナム人が多くなったことに気がつかないだろうか? 中には、店員全員がベトナム人などという店もある。 そのせいか、「やあね、ベトナム人がレジをやっているなんて」というOLの声も聞く。「前は中国人だったのに、いまはベトナム人。どうなってんのよ?」と話している主婦の声も聞いたことがある。このような声を聞いて私が思うのは、「いい加減にしろよ」である。
一般の報道では、在留外国人の実態はタブーとされているので、多くの日本人はなにも知らない。しかし、いくらそのせいとはいえ、こうした無神経な発言は本当によくない。なぜなら、いまのコンビニは外国人の労働がなければ成り立たないからだ。とくに、深夜の作業になるコンビニの弁当作りは、ベトナム人留学生が低賃金で雇われて行なっているケースが多い。もし、あなたがコンビニでお弁当を買うことがあれば、こうした現実にもう少し注意を払うべきだろう。
ベトナム人といえば、つい先日、次のようなニュースがあった。テレビでも流れ、新聞記事にもなったが、それだけで終わり。なぜこんなことが起こるのか?解説したメディアはどこにもなかった。
9月25日、新聞各紙は「共同電」で流れた次のようなニュースをいっせいに報じた。記事のタイトルは「ベトナム人留学生ら100人以上が専門学校退学」で、その内容は次のようになっていた。
《大阪市天王寺区の観光系の専門学校「日中文化芸術専門学校」が大阪府や大阪入国管理局に定員超過を指摘され、4月に入学したベトナム人留学生ら100人以上が退学となっていたことが25日、府への取材で分かった。府によると、学校は昨年、定員を大幅に超過して留学生を入学させ、府が是正を求めた。大阪入国管理局も今年に入り、定員超過を認めないと通告。7月以降に在留資格が期限切れとなる留学生らは更新できなかったとみられる。
関係者によると、留学生の一部は今月にも学校側に慰謝料などを求め、大阪地裁に提訴する方針。府によると、学校は主に日本人を対象として認可を受け、2015年に開校した。だが実際はベトナム人や中国人を主に募集し、定員418人に対し昨年は約560人が在籍。その後も留学生を入学させ、今年5月時点で在籍者は約580人となっていた。》
読んだだけでは、「この専門学校はベトナム人留学生にそんなに人気があるのか。それにしても、定員オーバーとはひどいね」程度の印象しか残らないと思う。しかし、このような専門学校は日本中に山とあり、そこが最近急増のベトナム人留学生の受け入れ先となり、じつは彼らがコンビニをはじめとする小売、宅配、製造、清掃、介護などの現場で働いているという現実がある。
つまり、専門学校などというのはオモテ向きの看板で、そこでは日本語の授業以外、たいした授業は行われていない。よって、日本人学生などほとんどいない。さらに、留学生といっても、日本に行けば稼げると言われてやってきた「出稼ぎ労働者」にすぎないのだ。つまり、「偽専門学校」「偽留学生」なのである。
法務省発表の最新の数字によれば、2018年3月末の在留外国人数は過去最多で、256万1848人。国別で見ると、1位が中国(73万890人)、 2位が韓国(45万663人)、3位がベトナム(26万2405人)、4位がフィリピン(26万553人)、5位がブラジル(19万1362人)となっている。いまやベトナム人は、日本で暮らす外国人の中で3番目に多いのだ。しかも、その伸び率はここ数年で急増している。なぜ、これほどまでにベトナム人が増えたかというと、留学生と技能実習生が増えたからである。
厚生労働省によれば、外国人労働者の数は2017年10月末時点で過去最高の127万8670人に達し、前年から約18%増加している。このうち、最も増加したのがベトナム人で、増加率40%(前年比)に達し、なんと約24万人に上っている。外国人労働者の在留資格別では、「留学生」が24%増の約25万9000人、「技能実習生」の約25万7000人。つまり、日本で働く外国人の約4割が、本来の意味での労働者とは違う「留学生」と「技能実習生」で、ベトナム人もこの資格のどちらかで来ている。ただし、圧倒的に多いのが「留学生」で、それは前記したように「偽留学生」なのだ。
では、外国人留学生の実態はどうなっているのだろうか? 留学生は、2017年6月時点で29万1164人で、2012年末から約11万人も増加している。国籍別に見ると、数年前までは中国人が全体の6割を占めていたが、近年は横ばい。ところがベトナム人はこの5年間で7倍に増え、いまや7万人を超えるまでになっている。ちなみに、増加が目立つのが、ネパール、パキスタン、ミャンマーで、2012年以降に増えた留学生のうち、この4カ国の出身者だけで8割以上を占めている。
ここまでベトナム人留学生が増えた理由は、色々言われている。新聞などは、「日系企業のベトナム進出が続き、それとともに日本への関心が高まった」「日系企業への就職人気から、現地では日本語学習熱が高い」などと解説している。また、ベトナムの現地で留学希望者に聞くと「日本語を勉強して日本企業に就職したい」「日本で技術を身に付けたい」などという答えが返ってくる。しかし、これらはみなオモテ向きの話である。本当の理由は「カネ」。つまり、「出稼ぎで稼ぎたい」だからだ。
日本では空前の人手不足が起こっている。それは、多くの場合、若者たちが「単純労働」(肉体労働)を嫌がるからだ。しかし、この社会はこうした労働がなければ成り立たない。そのため、政府は、オモテ向きは外国人の「単純労働」を認めないとしながら、その抜け道をつくった。それが、「外国人技能実習制度」だった。ただし、この制度は受け入れ先の業種や在留期間(現在は3年)に制限があり、しかも、給料が低い点で、外国人には評判が悪い。給料に関しては、制度上は「日本人と同等以上」となっているが、実際には最低賃金が適用される場合がほとんどである。
そこで、もう一つの抜け道として使われるようになったのが、「留学生」なのである。留学生としての資格で来日すれば、実習生とは違い、仕事は選べる。職場も変わることができる。うまくいけば、高い賃金で働けるところがあるかもしれない。それに在留期間を伸ばして大学卒などの資格を取れば、日本で正社員として就職できるかもしれない。留学生の労働は「週28時間以内」と決められているが、掛け持ちすればいい。とすれば、月に20万円は稼げるかもしれない。これは、ベトナムの若者の1カ月の平均的稼ぎの10〜15倍である。というわけで、留学希望者=出稼ぎ希望者が増えたのである。
ベトナムは人口も約9000万人と多く、しかも若い国である。それもあって、まだまだ給料は低い。ドルで見ると、大学を出ても初任給は300ドル、マスターを持って英語ができれば400〜500ドルである。ならば、日本に行こうと思うのは当然だろう。しかし、日本政府が出す留学ビザは、日本でアルバイトなしで留学生活を送れる「経費支弁能力」のある外国人に限って発給される。つまり、留学希望者は、銀行預金の残高や親の年収を示す証明書を提出しなければ、ビザがもらえない。さらに、ビザをもらうためには、受け入れ先の学校が決まっていなければならない。こうして登場するのが、「留学ブローカー」である。
受け入れ先の日本の専門学校の多くは、こうした留学ブローカーを使っている。学校としては、入学金と授業料が入ってくればいいわけで、留学資格など問わない。単なる人数ビジネスだからだ。留学ブローカーは、ベトナムで若者たちに「日本に行けば月に20〜30万円は稼げる」と吹き込み、入学費用をつくらせる。その額は150万円が相場という。これは、貧しいベトナムの若者にとっては途方もない額だが、彼らは家族や親戚、友人から借金してこれをつくる。
すると、ブローカーは受け入れ先の学校を紹介し、ビザ取得に必要な書類をつくる。前記したように、留学を保証するための銀行の残高証明書などが必要だが、これはやり方によって簡単につくれる。その方法に関しては説明しないが、このカラクリをわかっていて、日本側はビザを発行している。
こうして、ベトナム人留学生は激増し、受け入れる専門学校もどんどん増えた。日本語学校だけに限っても、ここ10年で200校あまり増えている。前記したニュースになった学校は、そんな学校の一つである。こうした学校の悪質なところでは、留学生が逃げられないようにパスポートを取り上げたり、借金留学のカタとして学生のアルバイト給料をピンハネしたりしている。
しかし、この状況から彼らは逃げられない。なぜなら、日本に嫌気が差して帰国すれば、借金が残って家族は破産してしまうかもしれないからだ。したがって、彼らは深夜には、コンビニ弁当製造工場などで働き、昼間は、日本の若者がやらない、宅配便などのキツイ単純労働を掛け持ちしている。学校には行くが、授業中は居眠りしている者が多い。しかし、教師は知らんぷりである。
このようなことを知っても、あなたはコンビニに行き、店員がベトナム人と知って眉をしかめるだろうか?それにしてもなぜ、このような実態をメディアはほとんど報道しないのだろうか?それは、新聞を例にとると、いまでは新聞販売店の多くがベトナム人留学生を雇っているからだ。いまや日本人学生で、新聞配達員に応募してくる人間はほとんどいない。そんな中、貴重な労働力がベトナム人留学生なのだ。
東京近郊の新聞販売店の中には、販売員全員がベトナム人留学生というところがある。同じく、宅配便の集荷所なども、働いている人間が全員ベトナム人留学生というところがある。それなのに、彼らはじつは留学生ではない、「偽留学生」だと指摘できるだろうか。
政府でさえ見て見ぬふりをしているのに、メディアがこれを告発できるだろうか。こうして、オモテ向きは何事もないように見えて、日本社会は動いている。だから、コンビニに行くことがあれば、せめて「ありがとうベトナム」と心の中で言ってほしい。最後に、みなそうだとは言わないが、ベトナム人は本当に働き者である。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2018年09月27日
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