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■世界の起業家たちをモニターしているサイトがある
世界中の起業(スタートアップ)を目指す若者家たちが、必ず見るサイトがある。「グローバル アントレプレナーシップモニター」(GEM:The Global Entrepreneurship Monitor)というサイトで、欧米の大学の研究者が中心となって、起業活動の国際比較を行っている。つまり、「どの国で起業しようか?」と考えている若者たちには必見のサイトだ。
GEMでは、世界の60以上の国・地域で各数千人を無作為に選び、起業家が何人いるかを毎年調査している。残念だが、この調査では、日本は主要国の中で最下位である。それもそのはず、日本の起業環境は、世界銀行の調査ではOECD34ヵ国中31位と、本当にひどい状況にあるからだ。
こうした日本に比べ、現在のアジア各国は、はるかに起業しやすい環境にある。その筆頭はタイだ。とくにタイは、外国から来て起業する「移民起業家」が多い。
■移民投資家率は日本は9.1%でタイの18.6%の約半分
GEMでは2012年から、起業家に「あなたは移民か?」という質問項目を加え、調査を行ってきた。移民は「本人または親の世代が国外から移ってきた人」と定義した。こうして、アジアで9つの国と地域を調査した結果、移民に占める起業家の割合がもっとも多かったのがタイの18.6%だった。
これは世界全体でも11位である。続くのが、パキスタンで13.4%、その次がシンガポールで11.5%である。また、タイは移民とそれ以外で起業家の輩出比率にほとんど差がなかった。
ちなみに、アメリカは11.9%、日本は9.1%だった。このアメリカの11.9%は実際より低すぎると思え、逆に日本の9.1%はまさかと思うくらい高い。日本のこの高さは、もともと移民が少ないために母数が小さいからだろう。逆にアメリカの低さは、移民大国で母数が多すぎるからだろう。
それにしてもなぜ、タイはこれほどまでに「移民起業家」が多いのだろうか?
■マレーシアと比較してみるとタイは開放的
タイに「移民起業家」が多い理由は、ほかのアジア諸国と比べてみると、ある程度納得がいく。先の9つの地域・国の中で、もっとも移民起業家比率が低いのは、4.3%のマレーシアである。なぜ、マレーシアはここまで低いのか?
それは、マレーシアがイスラム国であり、進学や就職、政府系企業との取引などで、土着のマレー系住民を優遇する「ブミプトラ(土地の子)政策」を採用しているからだろう。つまり、外国人を受け入れる文化的土壌があまりないのだ。その結果、外国人の起業のハードルは高くなる。
たとえばインドは、最近まで新興国の中ではもっとも鎖国的な経済政策をとってきた。その結果、移民起業家率はなんと0%である。経済と市場が外国人に開放されているかどうかが、移民起業家率を決めるわけだ。タイは、この点において、シンガポールと並んでアジア一の開放国である。また、タイではもともと華僑系の実業家が経済を握ってきた。彼らの旺盛なビジネス欲が、起業に大きな影響を与えていることも間違いない。
■ネットインフラも整い外国企業優遇措置もある
バンコクにはいま、日本人の若い起業家が集結している。シンガポールと並んで、バンコクは日本やアジア各国の起業家の拠点となっている。バンコクで日本人の若い起業家に話を聞くと、真っ先に挙げるのが、「タイ人と日本人との相性のよさ」である。次に「外国企業優遇策の充実」、続いて「ネットインフラが整っている」が挙げられる。
「まだまだメリットはありますよ。たとえば、タイは15歳から64歳の生産年齢人口比率がASEAN諸国で第2位にあたる70.6%と高いので、人手はいつでも確保できます。また、“BOI”という、外国企業優遇措置があるので、これを使えば100%外資でも会社ができるうえ、税金も抑えられます」
と、彼らは言う。さらに、「物価も安いので暮らしやすい」ということも挙げてくる。
■「BOI」にはこんなにメリットがある
ところで、タイはそれほど外国企業を優遇しているのだろうか?「BOI」とはなんだろうか?「BOI」とは、「タイ投資委員会」(The Board of Investment of Thailand)のことで、ここの認可を受けることで、外国人は自由に起業活動が行えるという。
「タイでぼくら外国人が働くには、労働許可証(ワークパーミット)の取得や就労ビザ(Non-Bビザ)が必要です。この収得なんですが、BOI認可企業下で申請する方が、断然取得しやすいんです。タイの企業はローカル企業(BOI非認可)と、外資企業(BOI認可)に分けられます。BOI非認可企業には、タイ人の株式保有率が51%以上という基準が設けられていますが、BOI認可企業だとそれがありません。100%外資で起業できるんです」
バンコクでIT系で起業している日本人の若者たちは、このBOIを活用し、株主を全員、日本人にしているところが多い。さらに、起業して5年間は法人税が免税(タイの法人税は20%)というから、メリットは大きい。
ところで、タイでもっとも起業しやすいのはアメリカ人である。タイとアメリカの間には、「タイ米友好条約」( Thailand US Amity Treaty) という1966年に締結された条約があって、アメリカ国籍者やアメリカ企業は、一部の業種(通信・銀行業務・不動産業など)を除いて、外国人事業法を回避できるようになっている。
■第二のセルゲイ・ブリンがタイから生まれるのか?
現在のグローバルエコノミーは、じつは「移民起業家」がつくり出したとも言える。たとえば、アメリカでは起業家の4分の1を、アメリカ国外で生まれた移民が占めている。その割合は過去10年で10ポイント近くも増えている。移民はアメリカの総人口の13%だが、小規模企業の経済成長の30%を移民が担っている。
移民起業家としてもっとも有名なのは、グーグルの共同設立者のセルゲイ・ブリンだろう。彼は、旧ソ連によるユダヤ人迫害を逃れるため、6歳のときに両親とソ連を脱出してアメリカに移住した。そうして、アメリカの教育を受け、メリーランド大学とカリフォルニア大学で数学とコンピューターサイエンスの学位を取得し、スタンフォード大学の大学院に進学。そこで、ラリー・ペイジと出会って、グーグルをスタートアップさせた。彼はいまもグーグルの株式を16%持っていて、その資産は300億ドルと言われている。
はたして、“移民起業家大国”タイで、セルゲイ・ブリンのような次世代の起業家が育つだろうか? バンコクにいる若い日本人起業家に大いに期待したい。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2016年06月27日
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