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■バンコクには日本以上に日本食がある
東南アジア諸国の中で、日本人がいま一番気持ちいい、というか嬉しくなるのがタイだろう。なにしろ、空前の日本ブームで、バンコクは「日本」で溢れているからだ。
この街にははっきり言って、ない日本食はない。おそらく、すべての日本食がある。寿司、ラーメン、天ぷら、とんかつ、焼き鳥、お好み焼きなんかは当り前で、日本そのままの和食店、居酒屋までそろっている。バンコクのある和食店で、現地の人に「日本食の中でなにが一番好きですか?」と聞いたところ、「味噌汁です」と言われたときには驚いた。最近のタイ人は、嗜好まで日本化しているのだろうか?
JRO(日本食レストラン海外普及推進機構)が発表した「タイにおける日本食市場動向調査結果2015」によると、「タイの日本食レストラン数は2300店舗を超える」とのこと。店舗数は毎年増加していて、2015年は対前年比で11.5%増である。ちなみに、バンコク市内には「焼き鳥・居酒屋」が225店舗あるという。いまやショッピングモール(SC)の中に「日本村」ができるほどの日本食ブームで、これでは日本のSCにいるのと変わらない。いや、日本のSCの方が日本食の店が少ないくらいだ。
ちなみに、タイには日本のほぼすべての外食チェーンが進出している。名前を挙げてみると、「大戸屋」「味千ラーメン」「リンガーハット」「8番らーめん」「丸亀製麺」「モスバーガー」「CoCo壱番屋」「平禄寿司」「すき家」「吉野家」「梅の花」「やよい軒」など、きりがない。
■アニメ・漫画が加速させた日本ブーム
食べ物ばかりではない。ファッションからアニメ、漫画にいたるまで、バンコクは「日本」で溢れている。今年の2月、バンコクのサイアムパラゴンで、第2回「JAPAN EXPO」(ジャパンエキスポ)が開かれ、日本のアニメ、漫画、音楽などポップカルチャーが紹介され、若者たちで賑わった。もちろん、タイのコスプレファンはほとんどが結集した。
ジャパンエキスポの最大のものは、毎年7月にパリで開かれるが、2000年に始まったときの入場者は3000人だった。それが、いまや20万人を超えている。バンコクのジャパンエキスポは、2回目でそれを上回ってしまった。
漫画は、やはり日本が誇る最大のコンテンツで、タイでは「ナルト」「ワンピース」「進撃の巨人」など、日本の人気漫画はほぼすべてタイ語版が出ており、アニメ放映もあって、これを知らない若者はいない。
ただし、中国同様、あまりに海賊版が横行したので、昨年9月、講談社、集英社などの大手出版社とアニメイトが共同で株式会社「ジャパンマンガアライアンス」(JMA)を設立し、今年になって直営店をオープンさせた。この初日の会員受付にはなんと5000人が詰めかけて4時間待ち。普段は並ばないタイ人が長蛇の列をつくった。
私はもともと出版界の人間なので、日本の漫画が世界中で受け入れられていることが本当に嬉しい。ただ、タイで残念なのが、タイ女性のファッションをリードしてきた日本の女性誌が次々に休刊したことだ。日本の女性誌のタイ進出は中国に続いて早かったが、紙はやはり衰退期に入ったようだ。タイの『SCawaii! 』は2015年8月に、『ViVi』は2015年10月号で休刊となった。
現在、タイには在留邦人が7万人近くいて、日本の名だたる企業はみな進出している。そして、中国よりもはるかに現地とうまくやっている。そこで、なぜタイはここまで「親日」になったのか? ちょっと振り返って述べてみたい。
■1970年代に学生たちの「反日」デモがあった
私のような年配の人間にとってタイと言えば、「反日」だったときの記憶がまだ強く残っている。私が学生だった1970年代、タイでは日本製品の不買運動が発生し、学生による反日デモが起こった。
1974年、当時の田中角栄首相がタイを訪問したときは、宿泊先のホテルが学生中心の反日デモ隊に包囲されたほどだ。当時のタイは農業国で、タイの人々は日本から入ってくる高度な工業製品・電化製品の洪水に悲鳴を上げていた。ただし、いま思えばこれは学生たちによる「政権打倒運動」で、反日デモは一種のカモフラージュだったようだ。
というのは、タイと日本は戦前から結びつきが強く、考えてみれば、アジアで欧米の植民地にならなかったのは日本とタイだけである。この共通性から、タイはもともと「親日」だった。あの大戦中、タイは進駐してきた日本軍に20億バーツを貸していたというから、後にその歴史を知って、私は驚いた。
ゾウの「はな子さん」の話をご存知だろうか?
今年の5月26日、井の頭自然文化園で死んだ国内最高齢(推定69歳)のアジアゾウ(牝)だ。「はな子」は、戦後間もなくの1949年、タイから贈られ、当初、上野動物園で飼われ、その後、井の頭自然文化園に移った。そして、多くの人に親しまれた。死んだときは新聞もテレビも大きく報道したので、覚えている人も多いと思う。では、なぜタイは日本に「はな子」を贈ったのだろうか?
■日本の子供たちのためにやって来た
前記したように、戦時中、タイは日本軍に20億バーツを貸した。それで、戦後それを返してもらおうと使節団を派遣した。使節団の顧問のソムアン・サラサスは、戦前日本で過ごし、頭山満などと親交のあった人間だった。ソムアンは日本に来て、人々が戦後の混乱の中、食べるものもない状況に驚いた。それで、当時の池田勇人蔵相から「なんとか値引きしてくれないか」と要望されて、即座にそれを受け入れた。
その後、国に帰ったソムアンは「あんな気の毒な日本は見ていられない。とくに子供たちはかわいそうだ」と、私財を投じて発起人となり、ゾウの「はな子」と米10トンを日本に贈ったのである。当初、上野動物園では「はな子」をタイの名前「カチャー」から「カチャー子」と呼んでいたが、公募により戦争中に餓死した「花子」の名を継いで「はな子」と名付けた。翌1950年から、「はな子」は移動動物園で東京近郊を回って、子供たちの人気者になった。
■短期滞在のビザ免除で訪日タイ人が激増
というわけで、もともとタイと日本の結びつきは深く、タイ人は親日なのである。そうした土壌の中、戦後の日本の発展とタイへの投資は、タイ人に希望を与えた。いつからか、タイ人も「やれば日本のように経済発展できる」と思うようになり、それがいまに続いている。
アニメ、漫画、ファッション、日本食などの文化とは別に挙げておきたいのが、日本の電化製品である。1970年代から90年代にかけて、日本の洗濯機、冷蔵庫、エアコンがタイ人の暮らしにどれほど貢献したか、考えてみてほしい。バンコクのような熱帯では、この3つは欠かせない。
2013年7月、日本政府はタイ人観光客への短期滞在のビザを免除する措置を実施した。これにより、タイ人の訪日観光客数は、2014年に前年比45%増となる65万7600人。さらに、2015年には79万人に達した。今年はさらに増えるのは間違いないだろう。
■人気観光地の3位に「雪」を見られる札幌が
インターネットリサーチ会社マイクロミルが、2016年7月12日に発表した調査レポートよると、日本へ観光旅行に訪れたタイ人の満足度は非常に高く、なんと「非常に満足55.5%」と「満足41.8%」を併せると、ほぼ100%になる。
タイ人の訪れた都市・観光地は、1位富士山47.5%、2位東京タワー37.3%、3位札幌35%、4位新宿34%、5位京都32.3%となっている。3位に札幌があるのは、タイにはない「雪」を見たいからだ。なにしろ、バンコクでは最近、室内スキー場がオープンしている。
ちなみに、来日外国人観光客のなかでタイ人がもっとも少なかった都道府県は沖縄県である。沖縄は亜熱帯リゾートだから、これは当然だろう。
現在、ようやく中国人の「爆買い」集団ツアーが終わりつつある。もう中国人はたくさんだが、タイ人にはもっともっと日本に来てほしいと思う。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2016年07月26日
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