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■ミャンマーから届いた「ココナッツオイル」
先日、ミャンマーでビジネスを始めた友人が帰国し、「いいお土産を持ってきた」と言うので、見るとエキストラ・ヴァージン・ココナッツオイルの瓶詰めだった。
「ブームなので、ミャンマーでも生産しているところはないかと探し、いいところを見つけた。さっそく出資して、提携してつくったのがこれだ。試してみてほしい」と言う。そこで、朝食時にトーストに塗って食べてみると、クセもないうえ甘い香りがして美味しかった。
最近では、スーパーでもココナッツオイルの棚ができて、そこには何種類かの製品が並んでいる。値段が高いものだと2000円以上するというのに、本当によく売れている。私の家内も、ブームの「美容食」「健康食」にはすぐ飛びつく方なので、チアシードやカメリアオイルなどとともにココナッツオイルをよく買ってくる。
■「美容・ダイエット」効果で大ブームに
ココナッツオイルの世界的なブームは4、5年前にアメリカで始まった。いまでは、日本でもハリウッドセレブたちが「美容・ダイエット」目的に愛用しているのはよく知られている。とくに、モデルのミランダ・カーが「ココナッツオイル・ラバー」で、サラダにかけたり、お茶に入れて飲んだりしているのは、若い女性の間では有名だ。
日本でも女優の山田優、タレントのローラ、モデルの道端ジェシカなどが愛用し始め、昨年ぐらいから一気にブームになった。NHKの朝の情報番組「あさイチ」でも取り上げられ、料理レシピサイト「クックパッド」では、ココナッツオイルを使ったレシピがなんと2800種類もアップされている。
■「中鎖脂肪酸」が認知症予防に効果
ココナッツオイルのブームのすごいところは、「美容・ダイエット」効果だけではないことにある。じつはブームのきっかけとなった医師のメアリー・T・ニューポート博士のレポートが発表されたのは2008年で、そこでは母乳やココナッツオイル、パームオイルなどに含まれる「中鎖脂肪酸」がアルツハイマー、認知症要望に効果があることが指摘されていた。
アメリカでは長い間、ココナッツオイルは動脈を詰まらせ心臓病の引き金になる悪玉の植物オイルとされてきた。ところが、このレポートをきっかけに一気に見方が変わってしまったのである。
植物オイルをめぐっては、成分に含まれる「トランス脂肪酸」が肥満につながり、心臓病、動脈硬化のリスクを高めることも指摘されていた。トランス脂肪酸というのは、主にファストフードや加工食品で用いられている水素添加された植物油から発生するもので、これを規制しようという動きが広がっていた。そして、2013年に米食品医薬品局(FDA)が規制に乗り出すと、ココナッツオイルが脚光を浴びるようになった。なぜなら、40℃以下の低温圧搾の非加熱製法でつくられたエキストラ・ヴァージン・ココナッツオイルにはトランス脂肪酸が含まれないからだ。
■水になじみやすく効率よくエネルギー変わる
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、主にヤシ科の植物に含まれる天然成分。母乳や牛乳にも含まれているが、一般的な油脂に含まれる長鎖脂肪酸と比べて水になじみやすい。つまり、サラサラとした油で、肌によく吸収される。また、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸の約5倍のスピードで消化・吸収されて、効率よくエネルギー変わり、脂肪の燃焼を助けてくれるので、ダイエット効果が期待できる。
さらに、脳への栄養補給を活性化するため、認知症の予防効果がある。これは、脳がエネルギー源として使うブドウ糖が不足したときの代替となるケトン体を効率よくつくるからだという。ココナッツオイルには、ビタミンEも豊富に含まれている。そのため、頭髪から皮膚まで塗ることで、美容効果、美肌効果、アンチエイジング効果も期待できる。
■気温25度以上、年間降雨量1500ミリ以上、そして塩分
ココナッツオイルは、椰子の木(ココヤシ)の実から抽出されてつくられる。ヤシは日本語では「椰子の木」としてひとくくりにして呼ばれるが、英語では、「coconut tree」(ココナッツツリー)と「palm tree」(パームツリー)と2つの呼び方があり、ココナッツがなるのがココナッツツリーで、ならないのがパームツリーである。
ココナッツオイルは、もちろんココナッツツリーが生息している国でなければつくることができない。ココナッツが育つ条件は、年間平均気温が最低で20度以上。日本だと沖縄だけが当てはまるが、いい実ができるには、25度以上が必要とされるので、生息地は赤道をはさんで南北約25度の間に集中している。
ココナッツの生育には、気温以外にも日照時間も大きく影響する。年間2000時間以上が必要とされ、さらに降水量も年間約1500ミリ以上が理想とされる。つまり、特定シーズンに一時的に降る雨より、年間をとおして定期的に降る雨がいいという。もう一つ、ココナッツの生育に必要なのは塩分。つまり、海のそばがいいのだ。つまり、新興アジア各国は、理想的なココナッツオイルの産地である。
■「地産地消型」も、欧米で消費量が拡大中
現在、ココナッツオイルの年間生産量のランキング(トッ10)は、次のようになっている。1インドネシア、2フィリピン、3インド、4ブラジル、5スリランカ、6ベトナム、7タイ、8メキシコ、9パプアニューギニア、10マレーシア。
これに対して、ココナッツ消費量ランキング(TOP10)は、1フィリピン、2アメリカ、3位インド、4位インドネシア、5中国、6メキシコ、7ベトナム、8位マレーシア、9ロシア、10韓国となっていて、アメリカ、中国、ロシア、韓国以外は、生産地が上位に来ている。つまり、「地産地消型」である。ちなみに、日本は12位にランクインしているが、ここ2年ほどの大ブームで、もうトップ10に入ったことは間違いない。
ところで、このランキングには登場していないが、 EUは加盟27カ国を総合するすると1位になる。つまり、産地以外では、アメリカとヨーロッパがココナッツオイルの大消費地となっており、これに日本が加わろうとしている。
この状況を、産地である新興アジア諸国から見ると、どうなるだろうか?近年の大ブームで、輸出品にキラーコンテンツを持ったことにならないだろうか? アメリカのQE終了、チャイナショックなどで、新興国経済は減速しているが、ココナッツオイルが新興アジア経済を救う可能性がある。
■品質管理とキャンペーンでフィリピンがリード
新興アジア諸国の中で、ココナッツオイルの生産を断然リードしているのがフィリピンだ。フィリピンには「ココナッツ庁」と呼ばれる政府機関を持ち、ここで政府はダイレクトにココナッツの生産と品質を管理している。そのため、フィリピン産のココナッツオイルは人気が高く、とくにエキストラ・ヴァージン・ココナッツオイルは欧米諸国で人気が高い。これに続くのがインドネシア、インドであり、さらにベトナムやマレーシアが控えている。
冒頭で紹介したミャンマーでは、まだ高品質のエキストラ・ヴァージン・ココナッツオイルの生産技術が確立しておらず、知人は「これから技術指導もやって、どんどんいい製品をつくっていきたい」と言っていた。かつてオリーブオイルが世界中に広まったのには、イタリア政府が品質管理を十分に行い、そのうえで一大キャンペーンをやったからという経緯がある。そこで、新興アジア各国はフィリピンにならって、今後、世界に向けてキャンペーンを展開すべきだろう。
「美容・ダイエット」ブームには流行り廃りがあるが、ココナッツオイルはそれ以外に「認知症予防」という点で、従来のブームのものとは違っている。そう見ると、オリーブオイルと同じように、その人気は今後世界中で定着する可能性が高いと言えるだろう。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2015年09月24日
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