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【新興ASIAウォッチ/第8回】移住、長期滞在に必要な「退職者ビザ」の基礎知識

無理せずビザが取得でき、無理せず暮らせる国を選ぶ

引退後の海外移住、長期滞在(ロングステイ)は、最近では当たり前にになった。今後も多くの日本人が、「第二の人生」を楽しむために日本を出ていくものと思われる。かつては「第二の人生」というと、ハワイ、米西海岸、カナダ、オーストラリアなどが人気だったが、ここ数年は、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンなどの新興アジア諸国が人気を集めている。とくにマレーシアは2006年から「人気移住先」No.1である。

そこで、今回は海外移住、ロングステイに必要不可欠なビザ(査証)に関して、上記4カ国の状況をまとめて紹介しておきたい。海外移住、ロングステイは、100人いれば100通りの考えやスタイルがある。それは、国内だろうと海外だろと、その地で暮らすということが、基本的に「生き方」の問題であり、個々の人生の在り方を反映するからだ。したがって、ひと口に新興アジアといっても、上記4カ国の国情と外国人を受け入れるビザの内容で、移住後の人生は大きく左右される。つまり、自分のこれまでの人生を振り返り、無理せずビザが取得でき、無理せず暮らせる国を選ぶことが基本だ。

4カ国の「リタイアメントビザ」比較すると

まず、日本人であれば、上記4カ国は、観光などの数カ月の滞在なら、ビザは必要ない。したがって、移住先、ロングステイ先を決める前に、必ず現地を訪問し、そこで暮らす日本人のロングステイヤーの暮らしを見るべきだろう。そうしたうえで、ビザの種類や滞在規定、取得条件を比較する。

一般的に、引退後の移住、ロングステイを目指すなら、必要なのは「退職者ビザ」(リタイアメントビザ)である。「投資ビザ」もあるが、これは移住先でビジネスにかかわる必要があり、また資金面でのハードルが高い。もちろん、富裕層なら、このハードルをクリアできるので、「リタイアメントビザ」より「投資ビザ」のほうが、永住権獲得や節税などメリットは大きい。しかし、一般層となると、無理してこのハードルをクリアする必要はない。とくに、引退後の第二の人生を余裕を持って送りたいなら、リタイアメントビザで十分である。

たとえば、フィリピンなら投資資金として7万5000米ドル(1米ドル100円換算で約750万円)が必要となるが、リタイアメントビザだと2万米ドルの預託金ですむ。現在、リタイアメントビザは、世界40カ国以上で採用されており、基本的に「働かなくても十分に暮らしていける外国人」を対象に発給される。また、リタイアメント(退職者)向けのため、年齢制限があり、50歳以上が基本だ。

次は、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン4カ国のリタイアメントビザの簡単な比較だ。ビザ制度だけでも、かなりの違いがあるのが、おわかりになると思う。

【マレーシア】
・50歳以上(10年更新)—–35万リンギット(1リンギット30円換算で約1050万円)以上の資産証明と月1万リンギット(約30万円)以上の所得証明。15万リンギット(約450万円)以上の現地定期預金。週20時間以内の就労(専門職に限る)可。
・50歳未満(10年更新)—–50万リンギット(約1500万円)以上の資産証明と月1万リンギット(約30万円)以上の所得証明。30万リンギット(約900万円)以上の現地定期預金。

【タイ】
50歳以上(1年更新)—–80万バーツ(1バーツ31円換算で約248万円)以上の年金(金額)か現地預金、または合算。

【フィリピン】
35歳以上、特別永住権—–2万米ドル(1米ドル100円換算で約200万円)預託金として銀行預金。フィリピン退職庁(PRA)に申請。就労可。

【インドネシア】
55歳以上(1年更新。6年目からは再申請)—–月1500米ドル(約15万円)以上の年金支給などの不労所得保持者であること。指定観光地域の3万5000米ドル(約350万円)以上の住宅購入または月500米ドル(約5万円)以上の賃貸住宅入居とメイド雇用。

なぜ、マレーシアがいちばん人気があるのか?

前記したように、現在、移住先人気No.1はマレーシアである。そこで、マレーシアのリタイアメントビザを、もう少し詳しく見ていこう。マレーシアのリタイアメントビザは、「マレーシア・マイ・セカンドホーム・プログラム」(MM2H)と呼ばれている。このMM2Hは、ほか新興アジア3カ国と比べると、ハードルはやや高いが、日本人にとってかなりの恩恵がある。まず、最長10年有効で更新可能であり、50歳未満でも申請可能なこと。さらに、本人ばかりか、配偶者、21歳未満の子供、60歳以上の両親にも適用されるので、家族でのロングステイが可能になることである。

ビザの取得も大事だが、移住後の生活がどうなるかも大事だ。この点も、マレーシアはほかの国より有利な点がある。まず、マレーシアには住民税や相続税・贈与税がないが、この税制面でのメリットが、年金受給者にも及ぶことだ。日本とマレーシアは租税条約を締結しているため、マレーシアで“税法上の居住者”となれば、年金は日本で課税されなくなる。と同時にマレーシアの税法でも年金は原則非課税であるため、双方の国から課税されなくなる。さらに、年金の受取指定口座をマレーシア国内の銀行に設定することも可能なのだ。

このようなメリットを享受して、マレーシアでの日本人長期滞在者は、クアラルンプールのほか、観光地のペナン、保養地のキャメロンハイランドなどで、日本では味わえない生活を謳歌している。

必要な書類と申請の方法はどうなっているのか?

マレーシアに限らず、ビザの申請で留意すべき点は、必要な書類を間違いなくそろえることである。どこの国でも、申請書類のほか、資産を証明する「預金残高証明書」(金融機関が発行)、年金受給者であれば受給者を証明する書類(年金機構が発行)、年金を受け取ることを義務づけている国の場合は「送金受諾証明」などが必要だ。また、健康診断書のほか、犯罪歴がないことを証明する「無犯罪証明書」(都道府県の警察本部鑑識課が発行)なども必要になる。

こうして書類をそろえた後は、直接現地の移民局に申請する。在日日本大使館などは介さない。マレーシアなら観光省にMM2Hの窓口がある。また、フィリピンなら退職庁(PRA)に専用窓口がある。このほか、マレーシアでもインドネシアでも政府認可の代理店があり、そこで代行申請を行なっている。

申請すると、予備申請の承認書が発行され、正式の発給までに数週間〜10週間ほどかかる。この間、現地の銀行に口座開設などの準備をする。ここでの問題は、現地の民間医療保険への加入だ。一般的にリタイアメントビザでは、現地国の公的保険には加入できないからだ。

ただ、この点が不安なら、住民票を日本に残して住民税を払い、国民健康保険に加入しておくこともできる。こうすると、海外滞在中に海外の医療機関で治療を受けた場合でも。保険給付の対象になる「海外療養費制度」を利用できる。ただし、これはあとからの請求で、請求は2年以内ということになっている。

日本人として恥ずかしくない優雅な第二の人生とは?

以上、リタイアメントビザの状況を見てきたが、たまにロングステイをしているのにビザを持たないで出入国を繰り返す人がいる。これは、もし、入国時に審査官から不法就労やオーバーステイなどを疑われて入国拒否を受けたりすると、その後、入国ができなくなるのでやるべきではない。場合によっては、他国への入国も困難になり、海外に出られなくなる場合もある。したがって、ステイ国に居住用の物件を購入、賃貸したした場合は、ビザは可能な限り取得すべきだ。

もう一つ、これら4カ国を比較すると、タイとフィリピンのハードルは低い。だから、年金生活者でぎりぎりの予算で移住する人がいるが、これは止めるべきだろう。タイでは実際、年金だけで比較的優雅な老後を送っている日本人も少なくない。ただ、年金だけに頼った生活だと、いざなにかあったときに対応できなくなる。2年ほど前に、フィリピンやタイで、大使館に助けを求める「困窮邦人」が増えていることが話題になった。2011年のフィリピンにおける困窮邦人数は103人、タイは68人だった。

永住権所持者などは国によっては救済措置があるが、リタイアメントビザだけの外国人にはなにもしてくれない。また、日本政府も国内居住者の場合は「生活保護」の給付という救済措置があっても、海外居住者はその対象にしていない。ただし、困窮邦人というのは、ほとんどが現地女性を追いかけて渡航した日本人男性である。

というわけで、最後に海外生活でもっとも問われるのが、冒頭に書いたように「生き方」である。日本人は、同じアジア人にもかかわらず、アジアの人々を見下す傾向にある。これは、絶対に止めるべきだ。また、ビザを手に入れるのはゴールではなく、始まりだ。移住先、ロングステイ先でどう生きるか、日本人として恥ずかしくない、そして優雅な第二の人生を送ってほしい。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2013年10月29日


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