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この10年で大きく変わった東南アジアの都市といえば、ハノイが一番ではないかと思う。複合ショッピングモール、高層アパート、高層ビルなどが次々とでき、街を歩けばビルや新店舗が建築中という光景が随所に見られる。
かつてのハノイは、途上国の都市そのものといった感じだったが、いまや先進国の都市と遜色のない都市になりつつある。
小さな店が並ぶ街の光景を変えてしまったのは、やはり複合ショッピングモールだ。日本のイオンモールはいまや市内に2店舗を構え、ベトナム大手のビングループ(Vingroup)が運営する「ビンコム・メガモール」(Vincom Mega Mall)は、なんと12店舗もできた。
都市が再開発によって高級化していく現象を「ジェントリフィケーション」(gentrification)と呼んでいるが、いまのハノイはまさにそれが進行中だ。ジェントリフィケーションの発祥はロンドンで、その後パリ、NY、東京でも進んだ。例えば、東京の丸の内、銀座界隈は、いまでは20年前とは違う街になっている。
昔のハノイを知っている人間が久しぶりに訪れて驚くのが、高層ビルがいくつもそびえ立っている光景だろう。ここ10年ほどで、ハノイにはベトナムを代表する高層ビルがいくつも建築された。
高層ビルの中でひときわ目立つのが、「京南(カンナム)ハノイランドマークタワー72」だ。高さ336m(最頂部345m)、地上70階。韓国のゼネコン京南(カンナム)により建設され、ハノイのランドマークとなった。下の階にはショッピングモールが入り、その上にインターコンチネンタルホテルとカンダスサービスアパートメントがあって、多くの市民、観光客で賑わっている。京南は2016年に破産して韓国の投資会社「AON BGN」(エイオン)に買収されたが、いまも「カンナムタワー」の愛称で親しまれている。
カンナムタワーに続くのが、「ロッテセンター・ハノイ」だ。高さ267m、地上65階。地下1階にはロッテマート(スーパー)が入り、地上6階まではロッテデパート。8階以上はビジネスオフィス、ロッテホテル、レジデンスとなっている。最上階65階にはハノイの街を一望できる展望台(ハノイ・オブザベーション)と、ダイニングバー(トップオブ・ハノイ)もある。このバーで夜景を見ながら飲むお酒は最高だ。
ハノイで3番目に高いのが、「ディスカバリー・コンプレックスA」。高さ195m、地上54階。ここも複合施設で、マンション、オフィス、商業センターのセクションに分かれ、ロッテマートが入っている。このほか、「テクノパークタワー」(高さ226m、地上45階)などがあるが、高層ビルは今後もまだできる予定だ。
ちなみに、日本一の高い高層ビル、大阪の「あべのハルカス」は、300m、地上60階である。
都市のジェントリフィケーションとともに拡大するのが、ラグジュアリーブランド市場である。かつてはグッチとシャネルぐらいしかなかった欧米高級ブランドは、いまやすべて揃っている。
コロナ禍前の2019年に、EUとベトナムの間に貿易協定と投資保護協定が締結され、ほぼすべての関税が撤廃された。そのため、欧州高級ブランドのベトナム進出は加速し、その売り上げも一気に拡大した。
ドイツの市場分析会社「スタティスタ」(STATISTA)によると、2023年におけるベトナムのラグジュアリーブランド市場の売上高はおよそ10億ドル(約1,460億円)に達するという。これはタイの19億4,000万ドル(約2,832億円)に次ぐ規模だ。
ラグジュアリーブランド市場拡大の背景には、経済発展によるベトナム人の所得の伸びがある。ベトナム統計総局公表の「2022年版家計生活水準調査報告書」によると、2022年の1人当たりの月間平均所得は、2020年の425万ドン(約2万4,225円、1ドン=約0.0057円)から467万ドンになり、2年間で約10%増加している。つまりベトナム人は、年に5%ずつ豊かになっているのだ。
経済成長の恩恵で、ベトナムでは年ごとに中間層が増加している。マッキンゼーでは、購買力平価(PPP)で1日当たりの支出が11ドル(約1,630円)以上の人を消費層と定義しており、この層は2000年に総人口の7%だったが、2020年には40%に達した。2030年には75%にまで拡大するという。
もちろん、富裕層も増えている。不動産コンサルタント会社ナイトフランクが毎年発表する「Wealth Report」によると、2022年のベトナムの超富裕層は1,059人で、2017年の538人から82%増加した。超富裕層とは資産3,000万ドル(約45億円)以上ある人のことを指す。また、100万ドル(約1億4,600万円)以上の資産を持つ富裕層は、2017年の4万971人から2022年には7万人と、5年間で70%も増加している。
このように年々、豊かになるベトナム人だが、まだ全体平均の数値で見ると、日本よりはるかに低い。IMFによるベトナムの国民1人当たりのGDPは、2022年の推定値で4,087ドルの世界124位。日本は3万3,822ドルで31位だ。
また、日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、2022年のベトナムの1人当たりの月間平均所得は660万ドン、年収にすると7,920万ドン。日本円にすると月収約4万円、年収約48万円となる。
とはいえ、物価は日本の3分の1ほどなので、実感としてはそれほど低くない。都市部の物価と給料はもっと高いので、もうベトナムを途上国とは言えない。
ジェントリフィケーションを象徴するのが、ラグジュアリーホテルの数である。人口約800万人のハノイには、まだまだラグジュアリーホテルは少ない。そのため、今後、世界的なホテルチェーンが、続々とラグジュアリーホテルを建てる計画が進んでいる。
フォーシーズンズ、フェアモント、ウォルドーフ・アストリア、リッツ・カールトン、デュシット、シグニエル(ロッテホテルの高級ブランド)などだ。
現在、ハノイで「5つ星ホテル」とされるのは、次の8つだ。(5つ星ホテルといっても、ミシュランやフォーブスなどで選び方が違うが、ここではそれにこだわらず、最高級のラグジュアリークラスのホテルとする)
◆ソフィテルレジェンド・メトロポール・ハノイ
◆JWマリオットホテル・ハノイ
◆アプリコットホテル・ハノイ
◆インターコンチネンタル・ハノイ・ランドマーク72
◆インターコンチネンタル・ハノイ・ウエストレイク
◆ロッテホテル・ハノイ
◆ザ・オリエンタル・ジェイド・ホテル
◆ドルチェ・バイ・ウィンダム・ハノイ・ゴールデンレイク
ちなみに、人口940万人の東京には、「5つ星ホテル」とされるホテルが15あるが、この数は世界の同規模の大都市の中では圧倒的に少ないとされる。
このようにジェントリフィケーションが進むハノイだが、「世界で最も住みやすい都市ランキング」では、129位(173都市中)である。
この調査は、英経済誌「エコノミスト」の調査分析部門(EIU)が発表しているもので、政治的安定、医療、文化・環境、教育、インフラの5つの基準に基づき100点満点で採点される。ハノイは、63点を獲得しており、前回からスコアを3.3ポイント、順位を20位上げた。
「ハノイ市は暴力犯罪率が低く、インバウンド観光客にとって理想的な目的地であり、タンロン遺跡や文廟、旧市街といった文化的な観光地が数多くある」と評価されている。
1位は、オーストリアの首都ウィーンで、日本では大阪がなんと10位にランキングされている。以下が、そのトップ10だが、スコアの出し方はかなり偏っている。エコノミスト的見方が強い。で、このランキングに左右されずに私観で述べると、ハノイは近年、かなり住みやすい街になっていると思う。
1位:ウィーン(オーストリア)
2位:コペンハーゲン(デンマーク)
3位:メルボルン(オーストラリア)
4位:シドニー(オーストラリア)
5位:バンクーバー(カナダ)
6位:チューリッヒ(スイス)
7位:カルガリー(カナダ)、ジュネーブ(スイス)
9位:トロント(カナダ)
10位:大阪(日本)、オークランド(ニュージーランド)
住みやすいといっても、ハノイには大きな難点がある。それは、世界の都市で最悪の大気汚染が一向によくなっていないことだ。
なにしろ、毎年12月~3月の冬季になると、太陽がほとんど見えない日が続き、大気汚染の程度を示す指数 (Air Quality Index=AQI)が150を軽く超え、「危険レベル」に達することがしばしばある。北京もかつてはPM2.5による大気汚染がひどく、マスクなしでは外出できなかったが、ハノイではまだマスクが必需品だ。
大気汚染の原因は、冬場は風がない曇天の日が多いことに加え、バイクと車の排気ガス、建設中のビル等の粉塵などがひどいことが挙げられている。大気汚染のあまりのひどさに、市民はスマホに「AGI」をリアルタイムで示すアプリを入れている。天気予報とともに「大気汚染予報」を見るのが、ルーティンになっている。
政府も市当局も、この状況を改善しようと必死だが、まだ効果は現れていない。
ハワイ在住の日本人は、日本企業の駐在員とその家族も含めて約8,000人とされる。日本人が多く住むのは、日系企業の拠点が多く日本大使館もある「バーディン区」(Ba Dinh)だ。ここには、日本食レストラン、日本ミニマートなどがあり、とくに「リンラン通り」(Linh Lang)、「ダオタン通り」(Dao Tan)は、日本人街と呼ばれている。
知り合いの駐在家族は、「最近は街もきれいになり、どんどん便利になったので、住みやすいですね」と言う。ハノイには日本人学校はもちろん、インターナショナルスクールが8校もあり、その1つの「UNIS」(国連国際学校)は、世界にNYとここにしかない。
高層ビルの名前を見ればわかるように、ハノイへの国外からの投資は、韓国が圧倒的に多い。対外直接投資では、日本は中国、韓国、シンガポールに大きく引き離されている。ただし、日本企業の意欲は旺盛だ。ジェトロの調査(2022年)によると、今後1~2年のうちに事業拡大したい国・地域のランキングでは、ベトナムがASEANではトップとなっている。問題は、意欲はあっても実行が伴わないこと。
日本は、ハノイのジェントリフィケーションの波にもっと乗るべきではないだろうか。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2023年10月10日
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