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【新興ASIAウォッチ/第120回】 「出国女子」は東南アジアを目指す!

日本を出て海外で働く「出国女子」

最近、友人の娘さん(30代半ば)がシンガポールから帰国し、こう言った。
「向こうで10年以上、頑張って働いてきておカネも貯まったので、しばらく日本でゆっくりしたい。そう思っていったんリタイアして帰ってきました。ただ、最近驚くのは、私が向こうに行ったころに比べて、現地で働く日本の女の子がすごく増えたことです」

日本を出て海外で働き、向こうでキャリアを積みながら暮らしていく。そういう女性を「出国女子」と呼ぶのだということを、最近、私は初めて知った。そして、出国女子が東南アジアでは急増していることも。

そう言えば、シンガポール、バンコク、クアラルンプール…どこに行っても、現地で頑張って働いている日本女性に出会う。その姿を見ると、東京で出会うキャリア女性たちより活き活きしている。また、話してみると本当にポジティブだ。

私の娘は幼稚園から日本のインターナショナルスクールに通い、アメリカの大学、大学院を卒業したので、友人たちの多くが海外で働き暮らしている。だから、「出国女子」そのものには驚かない。

ただ、そうしたバックグラウンドがなく、純ジャパの学歴とキャリアで日本を出ていく若い女性が多いことには、改めて驚く。また、それが昔のように欧米中心ではなく、東南アジアが人気地になったことに時代の移り変わりを感じる。

「日本は暮らしやすいけれど、生きづらい」

前出の友人の娘さんが言うには、「出国女子」が日本を出る最大の理由は、「日本の生きづらさ」にあるという。
「私はいったん日本企業に就職したんですが、そこは男女同一賃金、キャリア差別なしといういい会社だったんですが、やはりオジサン文化、サラリーマン社会でした。残業は多いし、女性の意見はほんとんど無視です。それに、なにかと言えば結婚とか、そういう話になるんです」

たしかに、海外で働く女性たちの話を聞くと、「日本はなにもかも便利で暮らしやすいけれど、生きづらい」と口を揃える。だからといって、海外がいいわけではない。生きにくい国もある。

ただ、東南アジア諸国は総じて生きにくくはないようだ。とくに、シンガポールは物価の高さを除けば、生きやすいという。
「それから、やはり給料が違いすぎます。日本は本当に安い。しかも、男性とは差があり過ぎます」

先ごろ、女性活躍推進法の省令改正により、従業員301人以上の企業の男女の賃金格差が公表された。それを集計した報道によると、やはり、日本女性の賃金は、男性の8割に満たない。最新のOECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本は男性賃金の中央値を100とした場合、女性は77.9に過ぎない。男女差は22.1ポイントも開いており、OECD平均の11.9ポイント差の約2倍と、あまりにひどい。

管理職に占める女性割合も低い。各国比較のデータ(2021年時点)によると、アメリカの41.4%に対し日本はたった13.2%だ。ところがその一方で、日本の女性のパートタイム労働者の比率は39.5%にも上る。

ジェンダー平等で日本は世界最下位グループ

日本が世界でも最悪の女性差別国家ということは、もはや周知の事実になっている。ところが、政治は「女性が輝く社会」などと口先改革だけに終始して、いっこうに具体的な改善をしようとしない。

日本の女性差別を端的に示すのが、世界経済フォーラムが毎年公表している「Global Gender Gap Report」(世界ジェンダーギャップ・レポート)だ。その2023年版によると、日本はなんと最下位グループの125位(0.647)である。 ( )内はスコア(指数)で、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータの総合ポイント。最大値が1で、最小値が0。 数値が大きいほど高評価で、男女の格差が少ないことを意味している。では、以下にトップ10を示す。

1位:アイスランド(0.912)
2位:ノルウェー(0.879)
3位:フィンランド(0.863)
4位:ニュージーランド(0.856)
5位:スウェーデン(0.815)
6位:ドイツ(0.815)
7位:ニカラグア(0.811)
8位:ナミビア(0.802)
9位:リトアニア(0.800)
10位:ベルギー(0.796)

上位は1位のアイスランドを筆頭に北欧諸国が並び、アジア・オセアニア地域ではニュージーランドが4位に入っている。しかし、ここは、欧米人の国である。

そこで、日本と同じようなアジア人の国はどうかというと、フィリピンが最上位で16位にランクインしている。ただ、東アジアは、韓国が105位、中国が107位とかなり低い。しかし、それでも日本より上である。

日本の下にはインドとパキスタンだけ

日本が女性差別社会であることは、アジアでも際立っている。そこで、アジアの国だけを抜き出して、ランク表をつくってみると、次のようになる。

1位(総合16位):フィリピン(0.791)
2位(総合49位):シンガポール(0.739)
3位(総合54位):ラオス(0.733)
4位(総合59位):バングラデッシュ(0.722)
5位(総合72位):ベトナム(0.711)
6位(総合74位):タイ(0.711)
7位(総合80位):モンゴル(0.704)
8位(総合87位):インドネシア(0.697)
9位(総合92位):カンボジア(0.695)
10位(総合95位):東ティモール(0.693)
11位(総合96位):ブルネイ(0.693)
12位(総合102位):マレーシア(0.682)
13位(総合103位):ブータン(0.682)
14位(総合105位):韓国(0.680)
15位(総合107位):中国(0.678)
16位(総合115位):スリランカ(0.663)
17位(総合116位):ネパール(0.659)
18位(総合123位):ミャンマー(0.650)
19位(総合124位):モルディブ(0.649)
20位(総合125位):日本(0.647)
21位(総合127位):インド(0.643)
22位(総合142位):パキスタン(0.575)

先進国シンガポールはいいとしても、最貧国ラオス、独裁国カンボジアなどより、日本の順位が低いうえ、指数が0.650以下というのは本当に情けない。日本の下には、カースト制度が色濃く残るインド、イスラム貧国のパキスタンしかいない。

日本の順位がここまで低いのは、ほぼすべての分野で順位が低いからだ。日本の分野ごとの全体順位は、経済が123位、教育が47位、健康が59位、政治が138位となっている。教育と健康がなんとか上位50位以内に入っているに過ぎない。

日本では評価される企業も世界標準以下

日本の笹川平和財団がオランダのデータ会社エクイリープに調査を委託してアジア太平洋地域の企業のジェンダー平等推進度について、日本、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、香港の5つの経済圏や特定の産業セクターを検証した報告書があるが、それによると、日本企業は管理職・従業員の男女構成比、賃金格差、業績評価、職場環境など、ほぼすべての項目において女性差別がひどい。

調査対象は1,181の企業とその2,300万人の従業員だが、日本企業のトップは208位に武田薬品工業、続いて299位にポーラ、444位に資生堂と続く。この3社は日本でも女性の活躍できる企業として名高いが、国際的にはまったくの低評価なのである。これでは、有為な女性から、日本を出ていくのは当然だろう。

いまや海外移住者の6割以上が女性

「出国女子」の激増は、統計からも見てとれる。ここ何年か、日本人の海外流出が静かに進んでいるが、その内訳を見ると、なんと女性が6割を超えているのだ。

外務省の海外在留邦人数調査統計によると、生活拠点を海外に移した永住者は2003年から2022年まで20年連続で前年比増である。この増加分の多くを女性が占めていると考えられる。最新のデータ、2022年の永住者の男女別構成比を見ると、なんと女性が約62%となっているからだ。

統計資料をさかのぼってみると、1990年時点では、永住者数は約24万6,000人で、女性の割合は約54%と男女ほぼ同数だった。それが、いま女性の方が男性を確実に上回っているのだ。

これまでは、海外で移住生活を送るとなると、富裕層を除けば、それは海外で働くニッポン男子とその妻子の永住組か、日本でリタイアした高齢者の移住組と思われてきた。しかし、もはやそれは過去の話で、最近は若い男性と同じく若い女性も単身で日本を出て海外移住を選択することが多くなったのである。それが「出国女子」である。

経済衰退が「出国女子」をつくり出した

海外で働く女性たちに、出国した理由や現地での暮らしについて取材したレポート、記事などによると、ほとんどの女性が「移住してよかった」と答えている。私もかつてそういう女性たちを取材したことがあるが、彼女たちが真っ先にあげたのが、日本社会の女性に対する「見えない圧力」から逃れられたことだ。

「結婚したら退社しなければいけない」「産休、育休をとって復帰するとキャリアパスから外れる」「常にサブ的な仕事しなければいけない」などということがなくなり、生きやすくなったというのだ。シンガポールやバンコクは、有為な女性たちにとっては、日本よりはるかに働きやすく、生きやすいのは確かだ。

かつて、テレビや雑誌で「日本人女性のアジア進出ブーム」が盛んに取り上がられたことがあった。その背景にあったのは、日本企業のアジア進出である。現地採用も増え、日本人向けの転職サービスが開始されたころの話だ。しかし、現在の「出国女子」は、自ら率先して日本を捨てて出国している。つまり、日本経済の衰退と日本社会の停滞、旧態依然ぶりが、「出国女子」をつくり出したと言える。

例えばシンガポール。ビザのハードルは高くなったが、学歴と英語力、できれば専門キャリアがあれば、エンプロイメント・パスもしくはSパスでの就労は可能だ。いまこのときも、「出国女子」予備軍は増え続けている。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2023年08月28日


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