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【新興ASIAウォッチ/第113回】シンガポールの不動産はなぜ上がり続けるのか?

アジアの大都市で例外中の例外

コロナ禍が続いたこの3年間、世界経済は停滞し、不動産価格はアジア各国の大都市で下落した。特に中国では、不動産バブルが崩壊寸前までいった。そんな中で例外中の例外と言えるのが、シンガポールだ。

シンガポールの不動産価格は、ここ十数年にわたって上がってきたが、なんとコロナ禍になってからさらに上昇したのである。不動産サービス会社ナイトフランクの直近のデータによると、2022年第3四半期のシンガポールの居住用不動産価格は、前年同期比で14%上昇した。同時期に香港は7%、シドニーは4%も下落しているので、これは驚くべきことだ。

世界一のニューヨークに並んだ

不動産価格がコロナ禍の影響を受けなかったのはアメリカで、S&P/ケース・シラー住宅価格指数を見ると、2020年からの3年間で全米の住宅価格は約40%上昇している。これは金融緩和とコロナ給付金の支給で、市場にマネーがバラまかれたからである。

その結果、もともと世界一の不動産価格を誇るニューヨークでも、住宅価格は上がり続けた。ただ、金融緩和は手仕舞いされ、インフレ抑制のための金利の値上げに入ったため、上昇率は減速を始めている。

しかし、シンガポールの上昇トレンドは収まる様子はなく、最近のブルームバーグの報道では、「シンガポールの家賃は2022年上半期に世界の30都市の中で最も高くなり、ニューヨークと並んだ」としている。

マンションはすべて“億ション”

不動産市場を見る場合、商業用不動産、居住用不動産の価格と同じように、両者の賃貸料を見なければならない。また、ホテルの宿泊料なども見る必要がある。これらの指数すべてで、シンガポールは上昇している。例えば、コンドミニアムの賃貸料は昨年9月の時点で26ヵ月連続で上昇した。

シンガポール不動産仲介大手サヴィルズ・シンガポールのデータによると、2022年第3四半期の1平方フィート当たり平均月額賃貸料は、前期比13%上昇の5.41シンガポールドル(約545円)となっている。

日本でもコロナ禍によるバラマキと金融緩和の続行で、大都市部の不動産価格は上昇している。特に、東京都心部の値上がりはバブル時代を超えて、一般サラリーマンには手の届かないところにきている。しかし、シンガポールのコンドミニアム(日本でいうマンション)は、もはやすべて“億ション”と言っていい。

100万ドルで買えるのは東京の半分

日本不動産研究所が発表している「国際不動産価格賃料指数」というデータの一つに、世界の大都市の賃貸料水準の比較があり、それによると東京を100とした各都市の賃比較は以下の通りになっている。

ロンドン:222.2
ニューヨーク:191.5
香港:156.6
シンガポール:113.2
東京:100.0

 

これだけを見ると、シンガポールはそう高くないように見えるが、同じ賃貸料だとシンガポールの物件は東京の物件の半分の広さしかない。また、ナイトフランクの「ウェルスレポート」によると、100万米ドルで購入できる世界の一等地の面積ランキングでは、シンガポールは狭い方から5番目で、約35平方メートルの広さしか買えない。

シンガポールの住宅の3様式

一口にシンガポールの不動産と言っても、多種多様だ。移住するにしても、投資するにしても、最低限大まかに次の3様式を知っておかねばならない。

(1)政府系集合住宅(HDB)
(2)民間集合住宅(コンドミニアム)
(3)戸建て住宅

そして、最も大事なことは、シンガポールでは不動産そのものを所有できないことだ。これは、国土のほとんどが国有地で、個人が永久保有できる不動産が少ないからだ。よって、ほとんどの不動産は99年、999年などの定期借地権型で売買されている。さらに、外国人は(1)政府系集合住宅(HDB)と(3)戸建て住宅は購入できないことになっている。

(1)政府系集合住宅(HDB)

「The Housing & Development Board」という公的機関が建築・販売しているため、「HDB」と呼ばれていて、シンガポール国民の90%近くが暮らしている。コンドミニアム仕様だが、民間のコンドミニアムより価格は安い。外国人は購入することはできないが、借りることはできる。

(2)民間集合住宅(コンドミニアム) 

一般的なアパートから高級物件までさまざま。海外からの駐在員、ビジネス移住者、富裕層が暮らしているが、投資物件として売買されることが多いので、所有者が外国人のことがある。

(3)戸建て住宅

戸建て住宅の数は少なく、ほぼ邸宅クラスのハイエンド物件で、住んでいるのは一部の富裕層。一般的に外国人は一部の地域物件を除いて買うことができない。

「住宅が高すぎる」と悲鳴を上げる

シンガポールの不動産価格の高騰を牽引しているのは、(2)民間集合住宅(コンドミニアム)と(3)戸建て住宅である。ビジネス移住者、富裕層移住者が増えたため物件は不足気味で、それが(1)政府系集合住宅(HDB)の価格高騰を招いている。HDBの価格が上がれば、賃貸料も上がるわけで、出稼ぎ外国人はHDBをシェアして住んでいる例が多い。

もちろん、シンガポール国民にとってもHDB価格の上昇は頭痛のタネ。新しく設備のいいHDBに買い換えしたくても、高嶺の花になりつつあるからだ。

賃貸住宅ポータルサイトを運営する99グループが7月に実施した790人の回答者に対する世論調査によると、賃貸または購入を希望する人の10人に6人近くが、不動産は手が届かなくなってきていると回答している。実際、地元メディアが街の声を聞くと、シンガポール国民も外国人居住者も、「住宅が高すぎる」と悲鳴を上げている。そのため、政府はコロナ禍で遅れた新規HDB建設を、昨年半ばから急ぎ出した。

富裕層、特に中国人富裕層が投資

ではなぜ、ここまでシンガポールの不動産は上がり続けるのか?その理由をまとめておきたい。

まずなんといっても、シンガポール経済の好調さを挙げなければならない。IMFによれば、コロナ禍に見舞われた2020年はGDPはマイナス4.14%になったが、2021年はV時回復して7.61%、2022年も堅実に3.02%となっている。

こうした経済成長に裏付けられて不動産価格が上昇しているわけだが、このところの最大の理由は、中国人富裕層による投資だ。もともと、シンガポールは中国人富裕層には、香港以上に安定したオフショアだった。香港の治安が悪化してから、シンガポールに資産を移した富裕層は多い。

そうした中で、習近平政権は「共同富裕」政策を推進したため、富裕層はいっそうシンガポールを目指すようになった。さらに、ゼロコロナ政策も富裕層の資産フライトを加速させた。ロイターの報道によると、2022年1〜8月にシンガポールで販売された高級分譲コンドミニアム425戸の約20%は中国人が購入したという。中国は今年からゼロコロナを解除したので、より多くの中国マネーがシンガポールに流れ込むのは間違いない。

オフショアの税制が最大の魅力

シンガポールの不動産価格を吊り上げているのは、実需よりも投資である。なんといってもオフショアだけに、不動産投資するための税制上のメリットが大きい。

まず、キャピタルゲイン税、相続税がない。日本ではキャピタルゲイン税が一律20.315%かかり、相続税は累進課税で最大55%となっているが、シンガポールはどちらも非課税だ(ただし、居住者でなければならない。日本居住者なら日本で課税される)。

さらに、所得税の面から見ると、シンガポールも所得に応じて課税率が高くなる累進課税だが、最高税率は22%と低い(今後24%にまで引き上げられる予定)。日本では住民税も加えれば最高55%である。

いくら、物件価格が高いとはいえ、このオフショア税制の魅力にかなうものはない。ただし、シンガポール政府は、価格高騰がすぎるため、2021年12月に、2軒目の住宅購入および外国人の住宅購入には、より高い印紙税を支払う制度をつくった。これにより、不動産を購入する場合は最高30%の印紙税が課税されることになった。

シンガポール国債は「トリプルA」

このように見てくると、世界的な金融バブルの崩壊でも起きない限り、シンガポールの不動産価格は、今後も堅調に推移していくだろう。

シンガポールの国家としての信用度を表すには国債の格付けを見るのが一番だが、シンガポール国債はムーディーズ、S&P、フィッチ、いずれの格付け会社でも「トリプルA」である。ちなみに、日本国債はいまや「シングルA」から格下げされようとしている。また、シンガポールドルは、コロナ禍以前は1ドル75〜80円だったが、いまや100円前後である。

中国人富裕層とともに、アジア、いや世界中から富裕層が集まり、また、コロナ禍で一時帰国したエリートビジネスマンたちも続々と戻ってきている。もはや、シンガポールがアジアのすべての中心であると見て間違いないだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2023年01月31日


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