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【新興ASIAウォッチ/第109回】東南アジアの食のトレンド「ファーム・トゥ・テーブル」

「農場から食卓へ」がコンセプト

ようやくコロナ禍も終わりつつあり、日本と中国を除いて、アジア地域には日常の生活・ビジネスが戻ってきた。そこで、街に出て外食してみると、フードシーンのトレンドが以前とは大きく変わっていることに気がつく。今回は、東南アジアの主要2都市、バンコクとシンガポールの食の最新情報をお届けしたい。

ミシュランの星に代表される高級レストランでは、相変わらずイノベーティブ、プログレッシブのブームが続いているが、最近急速に増えてきたのが、「ファーム・トゥ・テーブル」(Farm to Table)だ。「農場から食卓へ」ということで、農場と直結してオーガニック野菜を中心とした料理を出すレストランである。

 

最近は、東京にもそういう店が増えた。例えば、オーガニック野菜を多彩なアレンジで提供するベジタブルレストラン『ウィーアーザファーム(We Are The Farm)』(目黒、恵比寿など6店舗)、日本各地の生産者からオーガニック野菜を直接調達しているイタリアン『グリップ』(池袋)、提携農家から直接仕入れた野菜のみ使用のフレンチの名店『ラ・ブランシュ』(青山)などだ。

“食の革命家”アリスが先駆者

「ファーム・トゥ・テーブル」は、2010年代にアメリカ西海岸から広まり、いまや東海岸、ニューヨークでもトレンドとなっている。それは、この考え方が環境問題に通じ、「地産地消」や「サステナブル(持続可能)」というコンセプト結びつくからだろう。もちろんその背景には、ミレニアム世代、Z世代のヘルシー志向がある。

「ファーム・トゥ・テーブル」の先駆けは、“食の革命家”として知られるアリス・ウォータースだ。彼女が開いたサンフランシスコ近郊の学生街バークレーにあるスローフード・レストラン『Chez Panisse(シェ・パニーズ)』は、まさに、その最初の実践例だった。自分で育てた野菜を使った料理を提供したことで、全米から美食家がやってきた。何冊もの食に関する本を書き、オーガニックの大切さを訴えた。いわば、ファーストフードのアンチテーゼである。

その功績で、2015年、彼女はオバマ元大統領により米国人文科学勲章を授与された。西海岸がアリス・ウォータースの『Chez Panisse(シェ・パニーズ)』なら、東海岸はニューヨーク郊外タリータウンにある『Blue Hill at Stone Barns(ブルーヒル・アット・ストーンバーンズ)』だろう。ここは、農場直結型レストランのお手本として知られ、マンハッタンからひっきしりなしに美食家が訪れる。

バンコクのミシュラン・シーン

では、「ファーム・トゥ・テーブル」なレストランを、まずバンコクから紹介していきたい。バンコクといえば、アジアNo.1レストランとなった『ガガン(Gaggan)』が筆頭だが、残念ながら2020年に閉店。現在、ミシュランで星を獲得している中では、『ラ・ノルマンディ(Le Normandie)』(フレンチ)、『シェフズテーブル(Chef’s Table)』(フレンチ)、『ズーリング(Suhring)』(ジャーマン)などが、ヘルシー志向だ。

しかし、「ファーム・トゥ・テーブル」の観点からは、やはり地元のタイ料理が主流で、ミシュランで星を獲得している中では、『R-Haan(アハン)』と『Sorn(ソーン)』の2店が人気だ。

『R-Haan(アハン)』は、タイ料理レストランの中ではトップに位置し、タイ版「料理の鉄人」のセレブシェフが腕を振るっている。すべてタイの地元の高級食材を使い、コース料理のみを提供している。『Sorn(ソーン)』は、タイ南部の郷土料理だが、コンテンポラリーにアレンジされ、なかなか予約が取れない人気店。タイのトップ企業がビジネスディナーに使っていて、海外からの顧客の満足度No.1という。

まさに「農園レストラン」の人気2店

バンコクの「ファーム・トゥ・テーブル」を代表するのは、実はミシュランの星獲得店ではなく、もっとカジュアルな店だ。その中でいまもっとも人気なのが、郊外ラムカムヘンに2020年1月にオープンした『バーン・テパ(Baan Tepa)』だろう。

『バーン・テパ(Baan Tepa)』のシェフは、「トップシェフタイランド」というタイの人気番組のシーズン1で優勝したまだ20代というタム(Tam)。レストランは、彼女の祖父が建てた邸宅を改造したもので、邸宅裏に菜園を持ち、そこで育てたオーガニック野菜を中心に、コンテンポラリーを提供する。食材はすべてタイ。地元食材にこだわり、鶏肉も地元の地鶏だ。

もう1店は、バンコクのど真ん中、日本人にも馴染みが深いスクンビット地区にある『バトム・オーガニック・リビング (Patom Organic Living)』。ここは、まさに都会のオアシスといったところで、広い緑あふれるガーデン内にガラス張りのカフェがある。ナコーンパトム県のオーガニック農場直営カフェで、ドリンクと軽食(ランチパック)を提供している。

軽食といっても、けっこうメニューは豊富で、もちろんオーガニック野菜にこだわったタイ料理。「ガイヤーン」(焼き豚)や「パオクルックガピ」(野菜混ぜご飯)が人気だ。緑あふれるガーデンを眺めながらのランチは、まさに癒される贅沢な時間だ。

政府主導でオーガニックを導入

続いて、シンガポール。シンガポールは富裕層都市だけあって、東南アジア最大の美食都市でもある。ただ、熱帯なので、これまで生野菜を食べる習慣がなかった。また、中華系の人々が多く、料理といえば基本的に火が通ったものが中心で、オーガニックとは縁遠かった。ところが、最近はガラリと一変し、オーガニックブームになっている。

例えば、『The Salad Shop』というそのものズバリのサラダバーの店が人気だ。チェーン店で、オフィス街を中心に店舗を増やしている。また、シンガポールといえば「ホーカーセンター」と呼ばれる屋台が集まった食のスポットが数多くあるが、ここでも、ヘルシーメニューが好まれるようになってきた。

これは、シンガポール政府が、「Healthier Choice Symbols」という6つのシンボルマークをつくって食品に付ける制度を導入したからだ。「砂糖が少ない」「油分が少ない」など、一定の基準を満たしている食品に対して、このマークが表示される。そのため、人々はマーク付きの食品を使った料理が、健康にいいということで率先して選択するようになったのだ。

実は、シンガポールは糖尿病患者が多い。シンガポール人の9人に1人、60 歳以上に限ると10 人中3人が糖尿病であるという統計がある。オーガニックで糖分を控えめにし、玄米や胚芽米、緑黄色野菜を多く摂取することは糖尿病に多大な効果がある。

日本食レストランも食材は自家野菜

もちろん、シンガポールは富裕層が住む美食都市だけあって、ミシュランの星獲得店、とくに3星獲得の『オデット(Odette)』(フレンチ)、『レザミ(Les Amis)』(モダンフレンチ)、『ゼン(Zen)』(コンテンポラリーヨーロピアン)は大人気だ。しかし、最近は、「ファーム・トゥ・テーブル」レストランの人気が高まっている。

まず紹介したいのは、在住日本人の間で人気の日本食レストラン『ノカ(noka)』だ。ショッピングモールの「FUNAN」にあり、ここの野菜食材は、なんと、ビルのルーフトップ・ガーデンから採ったオーガニック野菜である。

また、ミシュランの1つ星を獲得している『ラビリンス(Labyrinth)』は、地元料理の海南鶏飯、チリクラブなどをイノベーティブに昇華して人気の店だが、食材は徹底的にシンガポールのローカル食材にこだわっている。ただし、ディナーメニューは、おまかせコースの1つだけ。

人気のオーガニックレストラン3店

では、シンガポールでいま人気の「ファーム・トゥ・テーブル」レストラン3店を紹介したい。

まずは、『ザ・サマーハウス(The Summerhouse)』。ここは、かつて英国空軍の高官が住んでいた邸宅をリノベーションしてつくられたレストラン、バー、カフェの複合施設。シンガポール東部のセレター空港の近くにあり、シェフが「ファーム・トゥ・テーブル」のコンセンプトに徹底してこだわり、シンガポールの食材のみを使っている。自家栽培の野菜ばかりか、「ケロン」(昔ながらの海上で漁をするための仕掛け)で獲った地元の魚介類を使っている。ディナーコースは「The Collective Farming Menu」という名前で、まさに「農場から食卓へ」メニューだ。

『オープン・ファーム・コミュニティ(Open Farm Community)』は、デンプシー・ヒルの森の中にあるレストランで、地元で調達した旬の食材のみを使用した西洋料理を提供。例えば、人気の「カンポンチキン」は、放し飼いのニワトリを使った人気料理だ。

『ア・ホァ・ケロン(Ah Hua Kelong)』は、シンガポール北部にある人気シーフードレストラン。普通は「ファーム・トゥ・テーブル」というと「農場」だが、ここは「漁場」直結。そのため、シーフードの鮮度は抜群。人気は、自家製カレーで煮込んだムール貝や、柚子胡椒を添えたザルガイ。シーフードのメニューは多彩だ。

コロナ禍が収束した東南アジアに行ったのなら、ぜひ、「ファーム・トゥ・テーブル」で、地元の食材を使った新鮮な料理を楽しんでほしい。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2022年08月30日


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