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【新興ASIAウォッチ/第86回】ポストコロナでベトナムが一人勝ちか!?

コロナ勝ち組と米中戦争激化が後押し

依然として続く、新型コロナの世界的なパンデミック。しかし、アジアは例外のようで、ポストコロナに向けた経済活動が活発化している。最近、東南アジア圏に投資している投資家、企業人数人と話す機会があったが、彼らが真っ先に挙げるのがベトナムだった。「おそらく、ポストコロナでベトナムは一人勝ちになる」と、全員の意見が一致した。

その理由を聞くと、まずコロナ禍が抑えられて、コロナの「勝ち組国家」と言えること。次に、米中戦争の恩恵により、中国からの産業シフトがベトナムに集中することの2点を強調する。

確かに、ベトナムはコロナの「勝ち組国家」で、2020年9月末時点で、新規感染者数はほぼゼロ、累計感染者数1000人余り、死亡者35人。人口9600万人という中規模国家でこの数字は驚異的に低い。社会主義国家で中国と同じように強制封鎖、隔離政策が取られたこともあるが、ベトナム国民が真面目で保険衛生意識も高く、さらに若いことも大きいと思われる。

国民の平均年齢が若く、真面目でよく働き、保険衛生意識が高いということは、経済発展に大きく影響する。また、ベトナムは日本と違って人口が増え続けている。出生率は低下を続けているが、それでもまだ2.0%を切っていない。発展余地は十分なのだ。

イオンモールで起こったネズミ騒動

ベトナムを含め東南アジア諸国は、ついこの前まで衛生状況があまりよくなかった。しかし、下水道が完備され、エアコン、空気清浄機などを含む家電が普及し、新興住宅開発、コンドミニアム建設などが進むにつれ、衛生環境が改善された。

つい先ごろ、ホーチミンのタンフー区にある「イオンモール」で“大事件”があった。フードコート内のショーケースの中で、2匹のネズミが食品を食べている様子が撮影された写真がSNSに投稿されたのである。そのため、イオンモールは、客足が一気に遠のいた。慌てたイオンはプレスリリースを出して顧客に謝罪し、店内の衛生設備点検、消毒を行った。

日本のスーパーがこんなことを起こすとは信じがたいが、ベトナムの衛生意識が高まったことを象徴する騒動だった。世界中の大都市にネズミはいる。しかし、彼らは人間の目につくところに出てこられないような措置が取られている。イオンは、配慮が足りなかったようだ。

衛生環境の改善と経済成長は連動している。もう完全に昔話になったが、日本で水洗便所が普及したのは高度成長期である。ベトナムは数年前から、その時期を迎えている。

目ざとく素早い韓国企業の動き

日本から「世界の工場」の地位を奪ったのが中国。その中国から、今度はベトナムが「世界の工場」の地位を奪おうとしている。コロナ禍がなくとも、この流れは加速している。とくに、米中戦争が激化してからは、アメリカが中国をディカップリングすることが確実になったので、生産拠点の脱中国化が加速。その最適候補地がベトナムとなった。

このベトナムに早くから目をつけたのが韓国。動きが遅い日本に比べたら、最速のスピードでベトナムに進出、投資を開始した。現在、ベトナムへの海外投資の1位は韓国、2位が日本、3位がシンガポール、4位が台湾だ。

なんといっても韓国の投資ナンバーワン企業はサムスン。すでに生産拠点以外に、研究開発センターもつくった。サムスン電子は、テレビ、エアコンなどの家電製品、スマホなどをホーチミン郊外の工場で生産している。サムスンに続いて、LGエレクトロニクスもハイフォン市に大型家電工場を運営している。

韓国財閥第2位の現代自動車グループも、ベトナムで委託生産を開始している。いまや韓国の財閥のほとんどがベトナムに進出している。SKグループ、LGグループもベトナムでのビジネスを拡大しており、とくにLGグループでは、LGディスプレイ、LGイノテックといった関連企業がベトナムで生産拠点を構築した。

貿易立国にとって最善の環境

いまのベトナム経済は輸出主導型経済で、かつての日本、少し前の中国がそうだったように「貿易立国」である。この貿易において、ベトナムは有利なポジションにある。

まずは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の一員であり、ASEANが進める「AEC」(ASEAN経済共同体)の広大な市場があること。東南アジア10ヵ国、総人口6億1500万人、総GDP2兆4000億ドルに達する大経済圏だ。さらに、このAECは中国や日本を含む「RCEP」(東アジア地域包括的経済連携)に接続されている。

また、ベトナムはアメリカが抜けた「TPP11」(正式名CPTPP:環太平洋.パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)の加盟国だから、オーストラリアやチリなどとも自由貿易ができる。さらに、今年の8月1日からは、EVFTA(EU・ベトナム自由貿易協定)も発効した。

ベトナムからの輸出相手国大1位はアメリカで、総輸出の19.4%を占めている。2位が中国で16.6%、3位が日本で7.9%である。したがって、アメリカ経済が中国に続いてコロナ禍を脱出すれば、ベトナム経済はさらに飛躍する。

ただ、懸念は中国が関税障壁などのよりアメリカに直接輸出できなくなったため、ベトナム経由の迂回輸出が増えることだ。これは、原産国偽装だから、いくら儲かるとはいえバレると、アメリカからの制裁を受ける。

2021年GDP成長率はなんと8.1%

9月22日、ゴールドマン・サックスは投資家向けのレポートを発表した。その中で、ベトナム経済は輸出が牽引車となり、2021年のGDP成長率は8.1%と、1997年以降の最高値を記録すると予想している。

その理由としてゴールドマン・サックスが挙げるのは、人件費の安さ、自由貿易協定(FTA)の恩恵、製造業の中国からの生産拠点移転、ベトナムにとって最大の輸出相手国である中国の経済回復などだ。それにしても、8.1%は世界でもダントツに高い。

すでに世界銀行(WB)は、7月30日に今年のベトナムのGDP成長率を2.8%と発表している。これは、世界の国々が大幅に落ち込む中で、最高水準の数値で世界5位である。そして、来期のGDP成長率を6.8%と予想した。

また、消費者物価指数(CPI)上昇率予測を+3.9%とした。公的債務の対GDP比は56.1%に拡大し、財政赤字も拡大するが、経常収支は引き続き黒字を計上する見通しだ。ゴールドマン・サックスのレポートよりは低いとはいえ、こんな数字を叩き出せる経済は、いまや、世界にはほとんどない。

ベトナムから日本に来なくなる日

ホーチミンでは、ひところのロックダウンが終わり、街は賑わいを取り戻している。バーもレストランも通常通り営業し、ソーシャルディスタンスもなくなった。知人の日本人駐在員は、ふたたび夜になると、クラブやバーをはしごするような“南国ナイト”を謳歌しているが、それもいつまで続くか?

ベトナムの2018年のGDP成長率はここ数年7%平均で中国を上回り、日本の1%、アメリカの 2〜3%などと比べたらはるかに高い。それでも現在の1人当たりGDPは2700ドル程度(日本は約4万ドル、アメリカは約6万ドル)とされているが、それは数値だけの話。庶民生活は、もうそれほど変わらない。

話を戻して、先日会った投資家、企業人の言わせると、いまのベトナムは「70年代〜80年代の日本」に相当するという。とすれば、日本の現在になるにまで、あと30年以上はかかることになるが、私はそうは思わない。いずれ、10年以内に1人当たりのGDPは1万ドルに達し、その後、あっという間に2万ドル、3万ドルになる。 

現在、コンビニに行くと、多くのベトナム人のアルバイト店員に出くわす。しかし、1人当たりのGDPは1万ドルを超えたあたりから、彼らが日本に来ることはなくなるだろう。ベトナムばかりか、アジアから日本に来る労働者はいなくなり、逆に日本の若者がアジアに出て行く時代になるだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2020年09月25日


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