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【新興ASIAウォッチ/第85回】コロナ禍で韓国ドラマが大ブレーク

涙が止まらない禁断の恋『愛の不時着』

どの国もコロナ禍で外出機会が少なくなり、家にいる「ステイホーム」の時間が多くなった。その影響もあってか、いま韓国ドラマが東南アジア圏で大ブレークしている。日本でも『愛の不時着』や『梨泰院クラス』がブレークし、第3次韓流ブームと言われているが、東南アジアも同じ状況だ。

現在、東南アジア圏ではドラマと言えば韓国ドラマ。かつて(といっても20〜30年も前になる)、全盛を誇った日本ドラマは見る影もない。

じつは私も、久しぶりに韓国のヒットドラマで、涙が止まらなくなるという『愛の不時着』を見た。見る前は、韓国の財閥令嬢のヒロインが突風によるパラグライダーの事故で北朝鮮に不時着し、出会った北朝鮮のイケメン将校と禁断の恋に陥るというストーリーに、「韓国ドラマ得意のありえない設定か」とあまり期待していなかった。それでも、「評判だから見ておこうか」くらいの気持ちだった。

ところが、見初めてすぐに惹き込まれた。描かれている北朝鮮の様子と恋愛ドラマの進行があまりに新鮮で、どんどんはまってしまった。評判通り、毎回涙なしでは見られなくなった。家内も毎回、テッシュペーパー1箱を用意して見続けた。その結果、5日ほどで全16話(1話約1時間半)を見終えてしまった。

韓国ドラマがランキングトップを席巻

『愛の不時着』は、昨年12月から今年の2月にかけて「tvN」で放映され、最高視聴率(第16回)21.683%を記録した。これは、歴代の韓国ドラマで3番目の記録だという。現在、韓国ドラマはテレビ放映が終わると、すぐにネット配信される。

  『愛の不時着』は、「ネットフリックス」(Netflix)で世界中に配信された。配信されるとたちまち評判になり、『CNN』『AP通信』『ABC News』『Forbes』などが取り上げた。こうなると、もうその勢いは止まらない。あっという間に東南アジア圏でもブレークし、このままいけば、今年度ナンバー1のドラマコンテンツになるだろう。

『愛の不時着』に続いて、『梨泰院クラス』も同じようにブレークし、ネットフリックスのランキングで1、2位を争うようになった。6月末、ネットフリックスが発表した「国別のデイリートップ10」(アジア圏)を見ると、ベトナムではトップ10のうちの8作品が韓国コンテンツで、タイ、台湾、フィリピンでは6作品、香港、シンガポールでは5作品、日本では4作品が韓国コンテンツとなっている。

ベトナムで人気上昇『コンビニのセッピョル』

韓国ドラマは、東南アジア諸国のどこにいっても人気がある。その筆頭はと言えば、やはりベトナムとフィリピンだろう。ベトナムの場合、日本企業以上に韓国企業が進出しているので、韓国カルチャーの浸透度は高い。そのためか、ベトナム人、とくに若い世代は、韓国ドラが描く韓国カルチャーに憧れる。とくにラブロマンスは人気が高く、若い女性たちはいわゆる「韓流」にどっぷりとはまっている。

私の知り合いで、ベトナム在住の女性ジャーナリストは、こう言う。
「私も韓国ドラマの大ファンですが、こちらの女性はもっと熱烈です。幼いころからKポップのアイドルグループの音楽と動画、韓国映画とドラマを見て育ち、韓国カルチャーに親しんでいるので、とくに恋愛ドラマにはまってしまうんです。それに、韓国コスメはベトナムでは本当に人気があります」

現在、ベトナムの若者は、アジアでの留学先としては日本より韓国を選ぶという。日本は漫画、アニメ、ゲームの国と思われていて、音楽、動画、ファッション、コスメでは韓国の方に親しみを持つそうだ。それに、韓国の方が英語のレベルがはるかに高い。

「先日、ハノイの大学生を取材しましたが、日本のアイドルの名前は出てこず、韓国のインフィニティ(INFINITE)、防弾少年団(BTS)がすぐに出てきてがっかりしました。いま、ベトナムでは『愛の不時着』などに続いて、キム・ユジョン主演のドラマ『コンビニのセッピョル』が配信されていて大人気です。その効果で、韓国のコンビニ“GS25”がホットプレイスになっていて、売り上げが急増しているというからびっくりです」

フィリピンで人気の「新韓流四天王」

フィリピンでの韓国ドラマの人気は、ベトナム以上かもしれない。この国では韓国ドラマは「Kドラマ」と呼ばれ、ベトナムと同じように若い女性の必見アイテムになっている。韓流はもはやフィリピン女性の日常だ。昔はありえなかったが、最近は日本人であっても「アニョハセヨ」と声をかけられる。

韓国ドラマのスターで、フィリピンで最も人気があるのがイ・ミンホ。イ・ミンホのフィリピン訪問が決まったときは、「イ・ミンホが来る日を休日に!」と、ネットで大いに盛り上がった。

フィリピンの女性ジャーナリストに韓国ドラマのどこがいいのかと聞いたことがあるが、ラブストーリーがたまらないという返事だった。奇想天外で次々に予期せぬことが起こる。そのうえ、恋人たちが交わす言葉が胸にしみて、泣けるからだという。

確かに韓国ドラマは独特で、日本のドラマと大きく違っている。それが、フィリピン人女性の感性を刺激するという。 現在「新韓流四天王」と言われているのが、イ・ミンホ、イ・ジョンソク、キム・スヒョン、キム・ウビンだが、4人ともフィリピンでの人気はすさまじい。ただし、フィリピン人の男性は、韓国ドラマには見向きもしないとか。

韓国ドラマのブレークの原因は2つか?

それにしても、最近の韓国ドラマはなぜこうまで人気があり、大ブレークしているのだろうか? その反面で、日本のドラマはなぜ人気がないのだろうか?この点について、一般的な見方は、次の2点だ。

(1)韓国では国が文化の輸出をバックアップ。これが成功した。アジア通貨危機以来、音楽、映画、ドラマ、ゲームなどのコンテンツの開発と輸出に国費を投入、とくに2009年には大統領直属の大韓民国国家ブランド委員会が設置され、官民挙げた取り組みが進んだ。

(2)韓国は国が狭く、マーケットが小さい。そこで海外にマーケットを求め、海外に通用する作品づくりに努力してきた。

これを言われると誰もが「なるほど」と思うが、私に言わせるとこれだけが本当の原因ではない。なぜなら、いくら国が奨励しようと、海外マーケットに進出するために努力しようと、もともといい作品でなければブレークなどしないからだ。日本人、とくに中高年は韓国を下に見たがるので、こういうことを言われると納得してしまう。しかし、それはとんだ時代錯誤だ。

つまり、本当の原因は韓国の製作者たちの情熱、意欲と、作品のレベルの高さにある。それが、近年は日本を大きく上回っている。BTSのアルバムが「ビルボードHot 200」で1位を獲得したことや、映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を受賞したことは、その証左だ。これらはいずれも、日本が何年かかっても成し遂げられなかったことだ。

現実離れしたドラマの設定が人気

それではここで、韓国ドラマと日本のドラマを比べてみよう。まずはその設定の違いだが、これは韓国の方がバラエティに富み、また現実を超越していて面白い。韓国ドラマが得意とする恋愛もので比較してみると、日本の恋愛ドラマの主人公、ヒロインたちは、会社の同僚、上司と部下、学校の同級生、医者と看護師など、実際にある組み合わせばかりだ。ところが、韓国ドラマは、『愛の不時着』なら財閥令嬢と北朝鮮のエリート将校というように、現実離れしている。

『愛の不時着』の設定はまだいい方で、例えば大ヒットした『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』では、ヒロインは女子高生だが、相手はなんと939歳。つまり、900年生き続ける不老不死の男という設定だ。この設定で、20%を超える視聴率を叩き出した。また、『青い海の伝説』では、ヒロインがなんと人魚である。多くの韓国ドラマで財閥の御曹司や令嬢が登場するが、これも日本ドラマにはほとんどない。

そのため、日本のドラマは日本という国のありふれた現実の中で、小さなエピソードが積み重なっていくだけのものになっている。これでは、韓国ドラマを超えられるわけがない。東南アジア圏で『東京ラブストーリー』や『ロングバケーション』がヒットしたころは、日本はアジアで最先端を行っていたが、いまはどうだろうか?残念だが、日本のドラマはガラパゴス化が進んでしまった。

脚本軽視でキャスティング、視聴率を重視

韓国ドラマが非現実的で、飛びすぎた設定でも、十分にリアリティを感じられるのは、脚本が十分に練られているからである。ドラマや映画では、脚本が命だ。

ところが、日本では脚本が軽視される。その代わり、視聴率獲得のためにキャスティングが重視される。また、テレビの制作現場は、当たりそうで無難なストーリーばかりを選ぶ。その結果、中身は限りなくマンネリ化してしまった。かつて週刊誌で芸能界、テレビ局を取材してきた私は、日本の制作現場がダメになっていく過程をつぶさに見てきた。

いま、知人の脚本家は、こう言って嘆く。
「知っての通り、ともかく視聴率が取れ、スポンサー受けがよければいいので、制作側の意向で脚本はどんどん変えられてしまう。文句を言うと外されるので、若手の脚本家は書いたらあとはお任せというのが多い。また、大手プロはすぐに横槍を入れてくる。自分のところの人気俳優の出番が少ないと、口をはさんでくる、こんなんではいい作品などできるわけがない」

日本以外の国では、とくにアメリカではドラマではまず企画と脚本があり、その配役を決めるためのオーディションが行われる。日本のように大手プロとテレビ局の意向で、企画やキャスティングが決まることはまずない。

ネットフリックスが韓国ドラマに投資

韓国ドラマのブレークの原因は、制作費が潤沢なことにもある。現在、韓国ドラマの制作費は日本の比ではない。日本のドラマは、テレビのワンクール(8〜10回)を、大体1話45〜50分で制作する。1話あたりの制作費は3,000〜4,000万円が相場だ。

一方、韓国のドラマは、大体1話1時間10分〜1時間30分でCMがなく、ほとんどが16話〜20話完結で、1週間に2話放送される。制作費は1話あたり2億円するものもある。こうしたことが可能になったのは、ネットによる映像配信が進み、ネットフリックスやフールー(Hulu)、アマゾンプライムなどがオリジナルコンテンツ制作のために大金を投じるようになったからだ。

『愛の不時着』の場合、ネットフリックスが資金を出した。韓国発のコンテンツには投資価値が十分あると判断したからだ。ネットフリックスは、2016年に韓国進出を本格化し、2017年、ポン・ジュノ監督の映画『オクジャ』に578億ウォン(約57億円)を投資した。その後、ドラマにも次々と投資した。

こうなると、テレビ局の予算では制作できそうにない企画でも、地上波放送終了後にネット配信を独占させるという契約を結べば、資金が得られる。そのため、韓国ドラマ界は再びは活気づいたのである。

もはや『冬のソナタ』や『天国の階段』が日本で大ブレークした頃と比べると、時代は大きく変わっている。このことに思い至らないと、東南アジア圏での日本のプレゼンスは、今後も後退し続けるだけだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2020年09月15日


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