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新型コロナウイルスのパンデミックが起こってから半年、いまだに収束が見えない。はたしていつになったら、私たちは世界を自由に動き回れるのだろうか?
今回は、この観点からアジア地域を見通してみたい。なにより、この私は今年になって一歩も国外に出ていない。というより出られないでいる。東南アジア地域も含めて、年に何度も足を運んでいたのにそれができない。
これはものすごいストレスだ。ただし、私は不要不急の用があるわけではない。行かないなら行かないですむ。取材や連絡はオンラインでもある程度可能だからだ。ところが、海外とビジネスをしている人間、海外取引や現地生産などで海外に出ている駐在員とその家族、また、家族・親戚などで海外とつながっている人間はそうはいかない。私などより、はるかにストレスを溜め込んでいる。
このコロナ禍で、東南アジア諸国にいた私の知人たちの多くが帰国した。それは、3月から4月初旬にかけてのこと。当時は、日本は安全と思われていた。また、夏になれば各国とも収束が見えてくる。そうすればまた行ける、戻れると考えたからだった。
それがどうだろう。たとえば、ミャンマーで事業をやっている知人は、3月にいったん帰国したきり帰れなくなった。成田~ヤンゴン便は、いまや1本も飛んでいないし、別ルートで入ったとしても、その後2週間の検疫が待っている。
コロナ禍は、ヒトのグローバル化を完全にストップさせ、世界中を「鎖国」状態にしてしまった。この鎖国を解こうと、この7月からやっと世界各国が動き出した。しかし、まだ先行きは霧の中だ。というのは、開国はコロナの感染状況がどうなっているかにかかっているからである。
簡単に言えば、コロナ感染を抑えること成功した「勝ち組」は開国できる。しかし、「負け組」はできない。国を開けたとしても、「勝ち組」から人は来てくれないだろうし、行けたとしても入国を拒否されるからだ。つまり、開国できるのは「勝ち組」同士だけである。
そこで、アジアの「勝ち組」と「負け組」がどうなっているのか? そして、私たち日本はどちらに入るのかを確認する必要がある。まず、言えるのは、アジアは全体では「勝ち組」ということだ。オーストラリアなどを含めたアジア太平洋地域の人口は、現在38億人。世界の半分である。このうち、新型コロナに感染したのは、現在(7月25日時点)で約190万人と、アメリカ1ヵ国の半分弱にとどまっている。
まさかの展開だが、アジア全域を見れば「勝ち組」の筆頭は発生源の中国である。感染者がまだポツポツと出てはいるが、感染はほぼ収束したと見て間違いない。感染者数、死者数がダントツに少ない台湾、ベトナムも「勝ち組」である。さらに、韓国、タイも「勝ち組」になるだろう。
7月22日、日本政府は感染症対策本部会合を官邸で開き、安倍首相が出入国制限の緩和に向け、12ヵ国とのビジネス往来再開について交渉に入るよう指示した。その12ヵ国とは、以下の通り。
中国、韓国、台湾、香港、マカオ、カンボジア、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス。
すでに、日本は、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドと6月より交渉を行っているので、この4ヶ国に12ヵ国を加えた16ヵ国が、日本から見た「勝ち組」である。
次は、「勝ち組」の台湾が、感染リスクが低い[低リスト国]として交流の再開交渉を行っている国だが、日本政府のリストとほぼ一致する。
ニュージーランド、オーストラリア、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネイ、ベトナム、香港、タイ、モンゴル、ブータン。
日本では、評判最悪の「Go To トラベル」キャンペーンが行われているが、じつは一足早くベトナムも旅行キャンペーンを行っている。5月から、感染が収束したと判断した政府は「ベトナム人がベトナムを旅する」という国内旅行活性化政策をスタートさせた。
このキャンペーンでは、宿泊費や航空運賃がほぼ半額になった。そのため、6月の国内小売業の売上は昨年同月比で5.3%増加し、さらに7月の国内旅行客は昨年同月比で24%増となった(見込み)。
ベトナムと日本の旅行キャンペーンが違うのは、ベトナムが「勝ち組」なのに、日本がとても「勝ち組」とは言えない点だ。7月からの日本の感染拡大は、「負け組」一直線という感じで、「Go To トラベル」キャンペーンは自殺行為と言っていい。
ベトナムではもう3ヵ月以上、確認感染者はゼロ。7月25日、100日ぶりに1人出ただけである。それもそのはず、ベトナムのロックダウンは中国と同じで徹底していて、当局は感染が疑われる者をなんと45万人も隔離してきた。IMFは各国の感染防止の取り組みを評価しているが、ベトナムは「他の途上国にひとつの未来予想図を示した」と、絶賛されている。
どの国も経済を考えると一刻も早く開国したい。しかし、「負け組」になると、開国したくてもできない。現段階での「負け組」筆頭は、インドネシアとフィリピンの2ヶ国。アジアに含めるなら、インドは「負け組大国」と言える。
インドネシア~日本の間は、コロナ禍の前まで毎日、定期便が飛んでいた。それが、いまはANAもJALも週4便程度しか飛ばしていない。ANAは7月半ばまで、8月から羽田~ジャカルタ便を再開する方針でいたが断念した。
深刻なのは、インドネシアのナショナルキャリア、ガルーダ航空の危機だ。毎月、大幅な赤字を計上し、政府が救済するほか存続できない状態に陥っている。それなのに、政府はジャカルタ特別州で、6月からロックダウンを段階的に緩和し、経済再開へと舵を切った。これにより感染者はさらに拡大してしまった。
フィリピンも感染拡大が続いている。耐えきれなくなった政府は、7月半ばから当局と警察が各戸を訪問して感染者を強制的に探し出しては隔離する方法を取るようになった。感染拡大の原因は、6月1日からロックダウンを解いたこと。これにより、感染者も死者も3倍に拡大した。これでは、インドネシア、フィリピンとも、開国したくてもできないし、したとしても他国から交渉すら拒否されるだろう。
ちなみにアジアのナショナルキャリアの危機は、「負け組」だけではない。「勝ち組」のベトナムでも、ベトナム航空が危機に陥っている。ベトナム航空は、今年の上半期の売上が前年比で50%減、予想では純利益が13兆ドン(約600億円)の赤字に転落するとされている。
ベトナムでは5月から国内線の運航が再開され、国際線についても、一部の路線で8月から一般運航が再開される。予定では、再開されるのは、東京、ソウル、広州、台北路線という。しかし、この程度の再開では焼け石に水だろう。
タイのタイ航空は長年、赤字を出し続けてきた。そのため、コロナ禍は資金繰りを一気に悪化させ、政府が救済する以外、道はなくなっている。すでに4月に、タイ航空は政府に対して700億バーツ(約2400億円)の融資保証を要請している。ただ、融資を受けても倒産は必至で、今後は会社更生手続きの下で再建に入るという。
再建のための資金提供には、飲料大手のタイ・ビバレッジやスーパーマーケット大手のビッグCスーパーセンターなど保有する大手財閥のTCCグループが興味を示しているとの報道があるが、見通しは立っていない。
以上が、東南アジア地域の現状だが、順調に行けば「勝ち組」同士の航空路線の再開は、8月〜9月にかけて進むだろう。そうなると、最も恩恵を受けるのは中国である。日本もなんとか中国並みに開国したい。しかし、現状ではそれはおこがましいと言うほかない。
前記したように、安倍政権は16ヵ国との相互開国を交渉中、あるいは交渉に入ろうとしている。しかし、この交渉は感染拡大が抑えられなければ成立しない。現在、日本の感拡大は止まる兆しさえなく、さらに拡大するのは確実だ。
しかも、問題はもう一つある。それは、空港検疫体制の不備である。開国した場合、当事国同士はお互いに空港でPCR検査を行うことになる。そうして陰性が証明されて、入国を許可することになる。
ところが、日本は成田はもとより、羽田、関空などいずれの空港も、PCR検査体制が整っていない。いまのところ、成田では1日1000件がやっと。しかも、検査結果の判明が遅い。
先日、日本に2週間の検疫覚悟で来日した知人のドイツ人は、かなり怒っていた。到着後の検疫場所は、空港内の一角で単にパーテーションで仕切られただけのスペース。また、そこにはダンボールベッドがあり、そこで結果を待つようになっていた。説明書を渡されたがよくわからず、英語で質問しても英語を話せる係官がいない。
それでもいろいろ書類に記入して、公共交通は不可なので取引先に用意してもらったハイヤーで都心に向かった。都内ではホテルは不可なので、自ら借りたサービスアパートに入った。陰性でも陽性でも、ここで2週間の隔離生活を送らなければならない。検査結果のメール通知が来たのは3日後。日本語だったのでわからず、知人に見てもらってやっと「陰性」とわかったという。これでは、どう見ても日本の開国は不可能。できたとしても大幅に遅れるだろう。
聞くところによると、台湾は交渉に入る予定だったが、日本の感染拡大を見て、交渉国リストから外すことにしたという。これまで、日本は[中リスク国]扱いだった。ここから外れれば、完全な「負け組」だ。台湾がそうなら、ほかの「勝ち組」国も同じスタンスを取るに違いない。私たちは、当分、アジアにすら行けそうもなくなってきた。
※状況次第によって、出入国制限は変わる可能性があります。必ず、当該国の政府系サイトなどでお確かめください。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2020年08月11日
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