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【新興ASIAウォッチ/第56回】冬季オリンピックと東南アジア

冬季オリンピック史上最多の参加国

羽生結弦選手、小平奈緒選手などの金メダルによって日本中が湧いた平昌冬季オリンピックが終わった。しかし、東南アジア各国では、冬季オリンピックは人々の関心外、話題になることもほとんどない。なにしろ、テレビ中継はほぼないし、新聞でも各競技の結果が載るぐらいだからだ。そこで今回は、本当に寂しい、東南アジア各国の冬季オリンピック事情についてまとめてみることにした。

この時期、バンコク在住の私の知人は、毎日、NHKの国際放送でオリンピックを観ていた。羽生選手の金メダルの瞬間は思わずもらい泣きしたというが、その後、街に出ると、そこにあるのは冬とはいえ最高気温が30度を超える熱帯の喧騒。まったく、実感が湧かないと言う。なにしろ、タイ人は川や池が凍ることも、雨が雪に変わることも知らないのだから、冬季オリンピックに関心がないのも無理もない。

これは、ベトナム、マレーシア、シンガポール、フィリピンなど、東南アジアならどこに行っても同じ。雪が降らないのだから、当然だ。とはいえ、今回の平昌五輪には、東南アジアから冬季オリンピック史上一番多くの国が参加した(といっても4ヵ国)。東南アジア諸国の冬季オリンピック参加は、1972年の札幌のフィリピンが最初で、その後2002年のソルトレークではタイが初参加。そして今回は、シンガポールとマレーシアが初参加したのである。では、いったいどんな競技にどんな選手が参加したのだろうか?

カナダで練習して初のオリンピック出場

まず、初参加のシンガポールは、スピードスケート女子1500メートルに、18歳のシャイアン・ゴー選手が参加した。シンガポール代表は、彼女たった1人である。オリンピックに参加といっても、誰もがエントリーすれば出られるわけではない。IOCが決めた出場資格をクリアしなければならない。

シンガポールの現地サイトを見ると、彼女は2017年に札幌で開催された「Asian Winter Games」(アジア冬季競技大会)に出場したうえ、同年の「Southeast Asian Games」(東南アジア競技大会/SEA Games)で、個人1000メートルで銀メダル、個人500メートルで銅メダルを獲得している。この実績で、五輪切符を得たわけだ。

シンガポールでは本格的なスケートの練習はできない。レジャー用のリンクはあっても競技用のリンクはないからだ。じつは、彼女は4歳のときからカナダに引っ越して、父親の勧めでスケートに取り組んできた。シンガポール代表とはいえ、カナダで練習を積んできた選手という点で、羽生選手と同じである。では、結果は?2月17日、予選3組に出場した彼女の成績は、2分36秒971で6人中5位、トップとは9秒241秒差。予選参加者36人(5人失格)中、29位となり、残念ながら敗退した。

シンガポールといえば、2016年のリオデジャネイロ・夏季オリンピックの競泳男子100メートルバタフライで金メダルを獲ったジョセフ・スクーリング選手(21)がいる。このときは、世界中が本当に驚いた。もちろん、シンガポール史上初の金メダリスト誕生ということもあったが、勝った相手がなんと米国のフェルプス選手だったからだ。じつは、このスクーリング選手も、自国では練習していない。13歳から渡米し、主にフロリダで練習に励んできた。

マレーシアとフィリピンのフィギュア代表

世界にはスポーツ小国がいくらでもある。日本にいると感じないが、世界のほとんどの国ではオリンピック選手は珍しい。まして、メダリストなどほんの一握りだ。しかし、スポーツ小国でもオリンピック選手が出るようになったのは、グローバル化のおかげである。いまや、選手たちは、自国に適した環境がなければ、世界に出て自由に練習が行えるようになった。

シンガポールと同じく冬季オリンピック初参加のマレーシアの代表イー・ジージエ(ジュリアン志傑乙)選手(20歳)も、自国を離れて練習を積んできた1人である。参加競技は、フィギュアスケート男子。彼はショートプログラムで、トリプルアクセルを飛んで自己ベストを更新した。しかし、得点は73.58で 25位(ちなみに羽生選手は111.68)。24位以内なら次のフリーに進めたが、惜しくも敗退。このイー選手が異色なのは、クラウドファンディングで支援を募りながら、カナダに渡って練習を続けてきたことだ。

フィギュアといえば、東南アジアで最も有名な選手は、フィリピンのマイケル・クリスチャン・マルティネス選手(21歳)だ。身長180cmでイケメンとあって、女性ファンが多い。2014年のソチにも出場しており、今回の平昌は2度目の出場となったが、ショートプログラムで55.56の28位に沈み、マレーシアのイー・ジージエ選手にもかなわなかった。なお、フィリピンはもう1人代表選手を送っているが、こちらはフィリピン系アメリカ人、オレゴン州生まれのアサ・ミラー選手(17歳)。二重国籍のため、フィリピンを選択し、男子大回転に出て70位だった。

タイ代表はいずれも二重国籍選手

さて今回、東南アジア諸国としては最多の4名の選手を出場させたのが、タイである。出場競技は、なんと全員スキー。タイは雪が降ったことがなくスキー場もないのに、なぜアルペンとノルディクで4選手も出場できたのだろか? と不思議に思い、オリンピックのオフィシャルサイトを見ると、4選手ともやはり二重国籍だった。

まずは、クロスカントリースキー男子15キロフリーのマーク・チャンルン選手(23歳)。タイとイタリアの二重国籍で、イタリアのミラノ大学でスポーツ生理学を学ぶ現役の大学生。成績は79位に終わった。このマーク・チャンルン選手の妹のカレン・チャンルン選手(21歳)も出場しており、こちらも同じくイタリアの大学生で、クロスカントリースキー女子10キロフリーで82位に終わっている。彼女の場合、2016年まではイタリア代表選手で、世界ランキングは70位だった。

このチャンルン兄妹と同じイタリアとの二重国籍で回転、大回転に出場したのが、ニコラ・ザノン選手(21歳)。2012年までジュニア大会に出場していたものの引退。それをタイのスキー・スノーボード協会が支援して復帰させての出場となったが、両種目であえなく予選落ちした。ザノン選手と同じく回転、大回転の女子に出場したのが、アレクサ・アリサラ選手(21歳)。彼女はスイス人の父と、タイ人の母を持ち、2013年にオーストリアでスキーを始め、その後スイスで練習を重ねてきたが、両種目とも途中棄権(DNF)となった。

東南アジア初の五輪はバンコク

というわけで、以上4ヵ国が今回の平昌オリンピック出場国だが、これをASEAN10ヵ国ということでいうと、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、インドネシア、ブルネイの6ヵ国は出場していない。ただ、こうした国々も、さらに経済発展すれば、例えウィンタースポーツの環境がなくとも、やがて出場選手が出るようになると思われる。

それでは、冬季オリンピックはこのように低調としても、夏季オリンピックはどうだろうか?じつは、夏季オリンピックは今後、東南アジア諸国において一大イベントになる可能性がある。各国は経済成長とともにスポーツ人口が増え、どの国もスポーツに力を入れるようになってきたからだ。前記したように、シンガポールはリオで初めてゴールドメダリストを誕生させ、国中が湧きに湧いた。

そんな東南アジア諸国の中で、いま、もっともオリンピックに力を入れているのが、タイである。あまり知られていないが、バンコクはこれまでに1度、夏季オリンピックに立候補したことがある。2008年の北京オリンピックのときは、北京、トロント、パリ、イスタンブール、大阪で選挙が行われたが、これは最終立候補都市で、最初の立候補表明都市の中にはバンコクが含まれていた。しかし、IOCによる書類選考で落選している。

聞くところによると、今後またバンコクはオリンピックに立候補する可能性があるという。すでに、アジア大会などの大きな国際大会も成功させ、1人あたりのGDPでは、先のリオでジャネイロ・オリンピックを成功させたブラジルに匹敵している。ただ、問題は軍事政権が続いていることだ。しかし今後、民主化に戻れば、東南アジア初のオリンピックがバンコクで開かれることは十分に可能性があるだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2018年01月25日


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