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■「シティ・オブ・ドリームズ・マニラ」のオープン
日本ではこの4月、やっと「カジノ法案」(「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」)が国会に提出された。この法案は、カジノを「統合型リゾート(IR)」と位置づけて、その設置を認めるものだ。だから、法案が通れば、日本にシンガポールやマカオのようなカジノができることになる。しかし、法案が成立しても実際の実施法ができるのは1年以上先。したがって、工事が始まるのは早くとも2017年になるので、東京オリンピックに間に合わない可能性がある。
そんな日本を尻目に、着々とカジノ建設を行っているのがフィリピンだ。首都マニラのウォーターフロント地区、「モール・オブ・アジア(Mall of Asia)」に隣接する埋立地に、この2月、2カ所目のIR「シティ・オブ・ドリームズ・マニラ(City of Dreams Manila)」がオープンした。「シティ・オブ・ドリームズ」といえば、すでにマカオにあるが、マニアの「シティ・オブ・ドリームズ」もマカオと同様、マカオのカジノ会社メルコ・クラウン・エンターテインメント(新濠博亜娯楽)が建設した。
「マニラ湾に臨む絶好のロケーション、近づくとタマゴ型のビルが目に入ります。駐車場に入ると、車でいっぱい。オープンしたばかりとあって人気のようです。実際、カジノの中に入ると、客はけっこう多い。ただ、マカオのように中国人ばかりということはありませんでした。地元の人間の方が多い印象でした。カジノがあるのは1階と2階で、その上はホテル。1階はスロットマシンやバカラなどのテーブルがあり、中には空いているテーブルもあり、ディーラーが手持ち無沙汰に客を待っていました。もちろん、2階にはVIP専用フロアがあって、普通の客は入れません」と、2月後半にここを訪れた私の知人は言う。
■シンガポールを抜いてアジア第2位に
「シティ・オブ・ドリームズ・マニラ」が建設された一帯は、“エンターテインメントシティ”と呼ばれ、今後さらに2つのIRができて、全部で4つのカジノIRが世界中から客を集める計画になっている。すでに、2013年に、最初のIR「「ソレア・リゾート・アンド・カジノ(Solaire Resort & Casino)」がオープンし、まずまずの成功を収めている。
マニラ空港からのスカイウエイの建設も急ピッチで進められ、モノレールの建設計画もできあがっている。フィリピン政府関係者によると、「いずれアジアではマカオに次ぐカジノシティにします。少なくとも、シンガポールを抜き、マカオに次ぐカジノシティになるはずです。カジノ客ばかりか、東南アジア各地からの観光客も誘致します。日本からも大歓迎です」とのことだ。
■既存カジノの規模をはるかに上回る
フィリピンは、じつは“隠れカジノ天国”である。政府系のPAGCOR(フィリピン・アミューズメント・アンド・ゲーミング公社)経営のカジノが各地にあり、観光客を集めている。私もかつてマニラに行くと、こうしたカジノに立ち寄った。マニラにあるカジノはホテル内の施設で、有名なのは「リゾートワールド」(ニューポートシティ、パサイ)、「ヘリテージホテル」(EDSA、パサイ)、「マニラ・パビリオン・ホテル」(エルミタ、マニラ)、「ハイアット・マニラ・ホテル」(マラテ、マニラ)の4つだ。
しかし、ベイエリアのIRは、これらの既存カジノの規模をはるかに上回る。PAGCORでは、向こう10年間でフィリピンの年間のカジノ収入がラスベガスやシンガポールを上回る100億ドル(約1兆2000億円)に達するという試算を発表している。
現在、ラスベガスとシンガポールの年間カジノ収入は、約60億ドルと肩を並べている。一方のマカオは、2014年のカジノ収入は440億ドルである。つまり、マカオにはかなわないが、それに次ぐ規模のカジノシティがマニラに出現するというのだ。
■「贅沢禁止令」の影響が深刻なマカオ
ただ気になることがある。それは、最近、マカオもシンガポールもカジノの売り上げを落としていることだ。
とくにマカオのカジノ収入は、昨年、自由化された2002年以降で初めて前年実績を下回った。前年比2.6%減である。そのため、カジノに併設される高級ホテルやショッピングモールも売り上げを落とした。これをブルームバーグニュースは「中国本土からの観光客は以前より出費を抑えている」と伝えたが、その原因は、習近平政権が進めてきた「贅沢禁止令」にある。贅沢禁止令の効果はすさまじく、マカオのカジノの売り上げは2015年に入って2月は前年比49%、3月は同39%と大きく落ち込んだ。
当初、贅沢禁止令は本土だけだったはずが、さすがに中国共産党。マカオで密かに遊んでいる党幹部や富裕層も密告されるようになり、それを恐れて彼らは派手に遊ばなくなってしまったのだ。さらに、最近のロイター通信は、「中国当局が中国本土の観光客の呼び込みを図るマカオのカジノ産業に対し、取り締まりを強化する方針を伝えた」と報道した。
■中国人VIPはマカオからマニラに鞍替え
実際のところ、カジノの収入というのは、ハイローラーと呼ばれる大口のVIP客が支えている。とくにマカオの場合、中国人ハイローラーの落とすカネがカジノ産業を発展させてきた。こうした中国人ハイローラーが来なくなれば、後発のマニラのカジノも厳しいという声も聞こえる。
ところが、前出の私の知人はこう言う。
「その辺のところをずばり関係者に聞くと、大丈夫だと言うのです。それは、マカオは中国当局の目が厳しいが、マニラまでくればその目から逃れられるからだと言うのです」
中国とフィリピンの間には、南シナ海の領海をめぐる領土・外交問題が存在する。中国政府は昨年9月、フィリピンの「治安状況の悪化」を理由に、国民に同国への渡航を避ける勧告を出している。
「だからこそ、お忍びで中国人ハイローラーはやってくると言うのですから、彼らはたいしたものです」
ただし、「シティ・オブ・ドリームズ・マニラ」のオープンに際して、メルコ・クラウンのローレンス・ホー共同会長兼最高経営責任者(CEO)は、「マニラの将来の展望では中国人ハイローラーを重要視していない」と述べている。同氏は、ターゲット市場は「なによりもまず国内市場」であり、さらにほかの東南アジア諸国のハイローラーや韓国人客だと語ったのである。
■日本版カジノもはや手遅れか!?
すでに始動しているマニラの“エンターテインメントシティ”構想を見るにつけ、日本版カジノ構想はつくづく手遅れになったと思う。日本のカジノ推進派の人々は、10年以上前から「カジノをつくれば外国人観光客が押し寄せ、その経済効果は大きい」「カジノからの収入は少なくとも年2兆円は見込める。税収も莫大になる」などと言ってきた。しかし、まだなにも実現していない。
日本がモタモタするうちに、マカオは2002年にカジノを自由化し、その後、次々とニューカジノをオープンさせた。これに、シンガポールが続いた。そして、いまやマニラがシンガポールに迫ろうとしている。日本は、それを横目で見ているだけで、いまだに延々と議論を続けている。
シンガポールのカジノも素晴らしいが、マニラのカジノも素晴らしい。なにより、トロピカルリゾートとしての絶好のロケーションを有している。マニラ湾の夕日を眺め、カクテルを傾けながらカジノをやる。日本版カジノは、はたしてそれ以上のものを提供できるのだろうか?
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2015年04月23日
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