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「円安・賃安」の中で暮れていく2014年の日本。しかし、アジアの国々では、一部の国で通貨安は起こったものの、賃金はここ数年で大きく上昇している。例えば、インドネシア、ベトナム、カンボジアでは、2010年と比較した最低賃金の伸びは、なんと2倍以上である。だから、アジアの国々には、日本のような閉塞感はない。人々は明るく、街には活気がある。2014年も、そんな中で暮れていく。
そこで今回は、年の暮れということで、アジア各国の「お正月」をウオッチしてみたい。まず驚くのが、アジア各国の「お正月」は日本とは大きく違っているということ。そして、アジア人が本当にお祭り好きということだ。どこの国でも、日本のように、「暮れの29日から年明けの3日まで休み」というような長期間の休暇はない。しかし、それに代わる別カレンダーのお正月があり、しかも、年に何度もお正月がやってくる。
カンボジアの首都・プノンペンでお正月を迎えたことがある。このときは、トレンサップ川沿いのヒマワリ・ホテルに滞在していた。大晦日の夜は、「マリス」という外国人向けにクメール料理を出す店で会食し、そこで、「ニューイヤーズイブ・ディナー」(たしかUSDで1人50ドル、まずかった)を食べた。そうして、ホテルに戻り、部屋のテレビでNHKの海外放送が入っていたので、「紅白歌合戦」を見た。
じつは、会食した日本人メンバーも家に帰って全員そうしていた。「やっぱり、日本人ですからね。こちらにいても大晦日は結局、こうしてしまうんです」と言うのだ。それで思ったのは、人間というのは、どこにいても生まれ育った国の文化・習慣から抜け出せないということだ。
「紅白」の後は、ホテルのバンケットルームに行き、そこで行われていた「カウントダウン・パーティ」に参加してみた。現地のバンドが入り、宿泊客が踊っている。現地の人間もいたが、ほとんどが外国人。カウントダウンが終わると、いっせいにクラッカーの音が鳴り響き歓声が上がった。しかし、それ以上のことはなかった。
明けて元旦。プノンペンの街は静かだった。店はみな閉まっていたが、それだけ。日本のお正月のように、門松のような特有の飾り付けがあったり、晴れ着を着た人たちが行き交ったりするような光景はなかった。なぜなら、カンボジアのお正月は、1月ではないからだ。
「カンボジアにはお正月が3回あるんですよ。1月の西暦によるお正月、それから2月の中国正月(春節)、それに4月のクメール歴によるお正月です。このうち、いちばん盛大なのが、クメール正月。このときは連休になって、みんな里帰りしますね」
「カンボジアのお正月を楽しみたいなら、4月にシュームリープに行くのがいいですよ。アンコールワットには全国から人が集まり、屋台が出て、伝統舞踊のパフォーマンス、ライブがあります。ライトアップされたアンコール遺跡は圧巻ですし、元旦は川で水浴びですね」と、現地の日本人駐在員。
カンボジアと同じく、ベトナムをのぞくインドシナ半島の国々(メコン5カ国)では、年にお正月が3回ある。この3回のうち、もっとも盛大なのが、4月の「水掛け祭り」だという。「水掛け祭り」では文字通り、人々が水を掛け合って新年の訪れを祝う。
例えばタイでは、西暦のお正月は、大晦日の12月31日と1月1日、2日が休みで、3日からは通常に戻る。これは、アメリカ、欧州諸国とほぼ同じだ。ただ、このあとに旧暦の正月(チェイニーズ・ニューイヤー)があり、そして4月に「ソンクラーン・フェスティバル」と呼ばれる「水掛け祭り」がある。タイ歴(チャントラカティ)では、太陽の軌道が12カ月の周期を終え、新たに白羊宮(おひつじ座)に入る時期が新年の訪れとされ、毎年4月13、14、15日の3日間がソンクラーンの本番。この前後に、さまざまな行事が行われる。
もともとソンクラーンでは、仏像や仏塔、さらに家族の年長者などの手に水を掛けてお清めをするのが風習だった。それが、いまや集まった人々で水を掛け合うという“お祭り”になった。じつに、南国らしい“お祭り”である。だから、ソンクラーンのときのバンコクでは、服やカバンは防水をしていないと大変なことになる。
ラオスもまったく同じ。西暦のお正月、旧歴のお正月に続いて、4月に「水掛け祭り」がある。ラオスでは水掛け祭りは「ピーマイラオ」と呼ばれ、海外からの観光客が集まる古都・ルアンプラバーンでは、盛大な水掛け祭りが行われる。
ミャンマーも同じ。私は残念ながらミャンマーにはまだ行っていないので、現地の知人の話でしか知らないが、首都・ヤンゴンの水掛け祭り(「ティンジャン」と呼ばれる)は、すさまじいという。
「正月の4日間は、銀行、レストラン、店など、すべての店が休みです。人々は家にあるお風呂用の樽にたっぷり水を入れて街に出ます。それで、通りがかる車めがけて、手桶に入った水を思っきり掛けるんですね。また、水を掛けられるとお清めになるらしく、掛けられたい人たちは、トラックの荷台に乗り込んで、街中を回ります。また、それをめがけて、水が飛んでくるわけです」
ベトナムでは、西暦のお正月には、ほとんどイベントらしきものは行われない。しかし、旧暦となると、ほぼ1週間が休みとなり、中国と変らない「春節」の行事が行われる。ベトナムでは春節を「テト」と呼び、正月を迎える前から、ホーチミンでは風物詩の花市が立ち、年末の買い出し客でごったがえす。また、帰省ラッシュも起こる。こうして、元旦は親戚や友人を訪ね合って正月料理を囲むので、季節が違うだけで、人々がやることは日本とそう変わらない。
ベトナムでは、年賀カードを送る。バインテトと呼ばれるお正月独特のちまきを食べる。お年玉をあげるなどの習慣があり、これも、中国、日本と変らない。つまり、ベトナムは東南アジアというより、東アジア文化に近いようだ。じつは、私たち日本人も、明治の初期まではベトナムや中国と同じように旧正月を祝ってきた。しかし、明治に西洋文化を取り入れるために、カレンダーを一気に西暦に替えたので、旧正月は忘れられてしまった。
メコン5カ国の年3回のお正月だけでも私たちには驚きだが、マレーシアとなると、なんと年4回もお正月がある。まず西洋のお正月、続いて旧暦のお正月、さらにマレーシアの国教であるイスラム暦のお正月、そして、インド人たちが祝う「ディパバリ」と呼ばれるヒンズー暦のお正月だ。メコン5カ国にあった水掛祭りはないが、その代わりに、イスラムとヒンズーのお正月が加わり、年4回なのである。これは、マレーシアが多民族国家であるためだ。
以下、クアランプールの日本人駐在員一家の話を聞いた。
「ここにいると、日本のお正月に里帰りできないのが残念です。なにしろ大晦日までビジネスデイで、休みは元旦だけ。2日からはまた普段どおりのビジネスデイです。ただ、中国系の人たちが祝うチャイニーズ・ニューイヤーは派手。旧暦の大晦日には花火と爆竹と獅子舞が盛大に行われ、街はすごい騒ぎです。その点、イスラム暦の新年は、お祭り騒ぎにはなりませね。しかし、彼らには毎年1カ月間も断食期間(ラマダン)があるので、その間はほとんど仕事にならず、役所などは開店休業のような状態です。もともと金曜日は、イスラム教徒のお祈りのため、ランチタイムがとても長いから、ビジネスがしにくいこともあります。ラマダンが明けると、ハリラヤ・プアサというお祭りがあり、このときは盛大に祝います」
「盛大と言えば、11月のヒンズーのお正月“ディパバリ”(Deepavali)もすごいですね。インド人も花火が大好きで、街中花火です。ディパバリは“光の祭典”とも呼ばれ、インド人街、ヒンズー寺院は盛大にライトアップされ、花火も打ち上げられます。ディパバリでは祖先に祈りを捧げるので、日本のお盆にも相当する行事のようですね」
マレーシアのヒンズー正月ディパバリは、本家のインドでは「ディワリ(Diwali)」と呼ばれている。インドでは、国民の8割がヒンズー教徒のため、正月などの祝祭日は「ビクラマディティヤ」という太陰太陽暦の「ヒンドゥー暦」に従っている。ディワリは10月末から11月の、満月から2週間後の「新月の日」に行われる。ディワリの前後2週間ぐらいは、インド全土がお祭りムードになる。ビジネスは、完全なオフモードだ。街はライトアップされ、特有の飾りつけがされて、屋台も出る。「Happy Diwali」の文字が溢れ、花火や爆竹なども上げられて、活気が溢れる。
このように、ディワリは「光の祭典」だが、なぜ、インド人はここまで灯りが好きなのだろうか?それをインド人に聞いたことがあるが、その答えはあっけなかった。「誰だって暗闇が嫌いでしょう」
スリランカのお正月は、なんと星占いに従って行事が行われる。太陰暦に従い、毎年 4月12~14日がお正月となり、元旦前には物忌みの時間があり、食べ物を食べてはいけないなどの決まりがある。例えば、元旦が午前1時35分なら、その前はダメ。縁起がいい時間が午前4時なら、そこからお正月料理をつくる、などだ。この時間は毎年変わるため、新年の1週間くらい前に発表される。こうした一通りの新年の儀式が終わると、あとはお祭りになる。
バングラディシュはイスラム教国である。しかし、イスラム教に基づく祝日のほか、ヒンズー教、仏教、キリスト教に基づく祝日もある。そんな中、日本の盆や正月に当たるのが、イード(Eid)と呼ばれる4月の大型連休。これは、ベンガル暦の新年で、元旦には各地で「メラ」というお祭りが行われる。
インドネシアは国民の9割がイスラム教徒。しかし、インドネシア政府は、主な宗教の祝祭日を万遍なく採用し、全国民の祝祭日として受け入れている。そのため、インドネシアでもお正月は、マレーシアと同じく4回もある。西暦の正月は1月1日のみで、暮れの30日から3連休となる。続いて、旧暦の正月。これは「イムレック」と呼ばれ、華人が中心に祝う。さらに、「ニュピ」と呼ばれるヒンズーの正月、そしてイスラムの正月がある。
ただし、イスラムの正月より、断食明けの「イドゥル・フィトリ」(俗称レバラン)のほうが、インドネシア人にとってのいわゆるお正月で、休みも長いし、盛大に祝われる。ジャカルタでは、レバランを故郷で迎えるための帰省ラッシュが起こり、故郷に戻った人間は少なくとも1週間は帰ってこない。したがって、レバランの間は、1週間以上会社は閉店休業状態になる。インドネシアのレバランは、日本で言う、それこそ盆と正月が来たような感じである。
シンガポールは、アジア有数の国際都市だけあって、各種の宗教、民族のお祭りが行なわれる。お正月行事も同じだ。マレーシアやインドネシアと同じく、イスラムの正月もあれば、ヒンズーのお正月「ディワリ」もある。ただし、この光の祭典は「フェスティバル・オブ・ライト」という名前で親しまれている。
とはいえ、国民の7割が華人(中国系)なので、シンガポールのお正月といえば、やはり旧正月(春節祭)である。年末に大掃除をし、元旦には家族が集い、親戚、友人を訪問する「年始回り」もある。チャイナタウンでは、ストリートがライトアップされ、夜市が立ち、祭り用の飾りに彩られたなかで、ドラゴンダンス(龍踊り)やライオンダンス(獅子舞)行われ、花火も上がる。春節祭の間は、シンガポールがもっとも華やかなときで、さまざまなアクティビティやイベントが目白押しとなる。観光客も多い。といっても、シンガポールはカジノやテーマパークなどの観光資源が充実しているので、1年中、お正月をやっていると言っていいのではないだろうか。
フィリピンのお正月は、アジア各国の中では異色だ。マニラのお正月は元日を1日休むだけの静かなもので、2日から平常に戻ってしまう。この点は、ほかの国と共通しているが、旧正月やイスラム正月などはあまり祝われない。旧正月は休日にはなっているが、元旦1日だけである。これは、国民の9割がキリスト教徒だからである。したがって、フィリピンでは、クリスマスが一大行事で、11月になるとクリスマスの飾り付けが始まり、カウントダウンとなる。クリスマスイブが、家族が集まるディナーだから、ここがほかの国の元旦に当たる。ただし、クリスマスから暮れまでは行事も多く、欧米よりクリスマスシーズンが長いのが特長だ。
このように、アジア各国のお正月をウオッチしてみた。国によって、さまざまな違いがあるものの、アジア人がお祭り好きだというのがわかる。日本はお正月がたった1回とはいえ、それに代わる行事やお祭りは数多い。クリスマスはもちろん、最近はハロウィーンまで一大行事になった。日本人もアジア人と同じように、お祭り好きである。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2014年12月24日
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