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【新興ASIAウォッチ/第15回】政治混乱が続くタイの将来は大丈夫なのか?

■またも軍によるクーデターが勃発
この5月22日、とうとうタイで軍によるクーデターが起こった。
タイでは昨年から反タクシン派(反政府派)によるデモが続いており、ついこの間、インラック首相が憲法裁判所により違憲判決を言い渡されて失職したばかり。これに勢いづいた反タクシン派が攻勢を強めていたが、これを軍が後押しして、厳戒令が敷かれ、ついにクーデターとなったわけだ。

タイはじつは「政変大国」である。これまでの歴史を見ると、クーデターが頻繁に起きている。それにしても、1932年の立憲制定以降、この82年間で、なんと18回もクーデターが起きているというから驚きだ。今回の場合は、タクシン派と反タクシン派の対立が、もう収拾がつかないところまできてしまった結果だ。
こうなると、やはり心配なのは経済である。なにしろ、タイには日本企業が多く進出しているし、バンコクには日本人もたくさん住んでいる。デモが続いていたころバンコクに行くと、街では「イエローシャツ」(反タクシン派)の人々と「レッドシャツ」(タクシン派)の人々のにらみ合いと小競り合いが起こっていた。タイと言えば“微笑みの国”。いくら政変大国とはいえ、この光景は異常だった。


■タクシンはなぜ国民に人気があったのか?
それにしても、なぜ、タイではこんなに政変が続くのだろうか?
バンコク在住の知人(日本企業の駐在員)に言わせると、タイが微笑みの国というのは表面だけで、タイの本質は階級社会という。しかも、階級間の格差は近年開いているので、政治的な対立が起きやすくなっているという。

「経済成長してきたので階級間の対立は、これまで抑えられてきました。しかし、タクシンがあまりにバラマキをしすぎたため、今回は都市の中間層、インテリ層などが怒り出したというわけです。タイの経済成長を支えてきたのは、貧しい農民層ではなくオレたちだ。もう、農民や貧しい層にバラまきをするなというわけです」

タクシンといえば、国際的にはタイの名首相とされている。警察官僚のエリートで、ビジネスでも大成功を収め、政界に進出して、2001年にタイの首相の座に就いた。タクシンが画期的だったのは、それまでエリート層が見向きもしなかった農民や貧困層を政治に巻き込んだことだ。「貧困の一掃」をスローガンに掲げ、高額所得者や企業に増税し、それを原資にして貧困層に向けの福祉政策を次々に実行した。つまり、バラまきだが、これによって、国民の7割を占める貧困層の支持を得て、何度選挙をやっても圧勝するという体制をつくり上げたのである。


■日本と同じ立憲君主制で議院内閣の国
ただ、タクシンのバラまきは、自分の出身地の北部に集中した。これが、南部とインテリ層、都市住民の反発を招き、2006年にクーデターによって失脚した。その後、彼は亡命生活を続けている。しかし、2011年に妹のインラックが首相になり、タクシン派は巻き返した。これを、インテリ層、上流層、都市部の住民たち、そして南部の人間たちは、気にいらない。ともかく、タクシン派を一掃したいのである。

ところで、タイの政治体制は、国王を国家元首とする立憲君主制。日本と同じだ。また、議院内閣制を採用している点も同じである。このような政治形態は、政変や内部抗争を招きやすい。それは、日本でも首相がコロコロ代るのを見れば、わかるとおりだ。ただし、日本では軍が出動できない。


■経済成長に必要な三拍子がそろっている
とはいえ、いくら政変があろうと、経済活動に支障がなければ、問題はない。タイの現在の経済は、GDP約3871億ドル(2013年)で、日本の12分の1。これは、九州と同じ程度と考えればわかりやすい。しかし、1人当たりのGDPは5674ドルとまだまだ低く、やっと中進国と言える程度だ。ただ、1997年の通貨危機後も、タイ経済はずっと成長を続けてきた。次の図を見ればわかるように、リーマンショック後の2009年に1度だけマイナスを記録しただけである。



その結果、中流層も育ち、近年のタイは生産国から消費国に転換している。つまり、市場としても注目され、日本からも数多くの企業が進出し、個人投資家の投資マネーもバンコク中心に大量に入るようになっている。こうした点から見ると、現在のタイは、経済成長に必要な人口増加、インフラ整備に加え、海外からの投資の三拍子が揃っていると言える。しかし、今回の長引く政変で、当初5%ほどと見られていた今年の経済成長の見通しは、何度か下方修正されてきた。タイ中央銀行によると、2.7%である。

前出のバンコク在住の知人が言う。
「日系企業の工場の大半は、バンコク郊外の工業団地にあるので、今後よほどのことが起こらない限り大した影響はないですね。影響が大きかったのはデモや政変より、2年前の大洪水です。ただ、私のような駐在員はバンコクにいますから、治安が悪いのは不安です。去年のデモ騒ぎのときは、セントラルワールドの伊勢丹が臨時休業をしたりしましたが、今回は営業時間を短縮しているだけ。クーデターで経済は一時的に安定するはずです。ただし、消費は冷え込むでしょうね」


■タクシンも李光耀(リー・クアンユー)も客家
ところで、ここでタクシンが華人、それも「客家」(はっか)出身であるということも、今回の政変の知られざるポイントだ。新興アジアは華人(華僑)が経済を握る国が多く、タイもじつはその一国だ。タイ王家も、公然とは言われていないが、じつは中国がルーツとされる。タイは多民族国家で、大きく分けると3つの民族に分かれている。
バンコク中心の華人系、もっとも人口が多い北部中心のタイ族
イサーン、南部中心のマレー系ラオ族だ。
もともと華人の多くは商売には熱心だが、政治にはあまり関わろうとはしないできた。ところが、客家は政治に対して積極的で、とくに教育にはもっとも力を入れてきた。タクシンはまさにそんな人物で、バラマキによってタイの支配階級の権益を揺さぶってしまった。

昔から客家の特徴として挙げられるのは、我慢強く、粗食に耐え、団結心が強く、戦いに臨んで勇敢であるということ。これは、彼らが中国の福建省、広東省の山間部でよそ者として暮らし、狭く、痩せた土地しか耕作できなかった歴史に由来する。そのため、多くの客家が中国を出て華僑となった。
客家の有名人物としては、太平天国の指導者の洪秀全、国民党の孫文、孫文夫人の宋慶齢と蒋介石夫人の宋美齢などの宋姉妹、中国の改革開放のリーダー鄧小平、台湾の元総統の李登輝などが挙げられる。シンガポールの建国の父・李光耀(リー・クアンユー)一族、フィリピン大統領のコラソン・アキノ一族も、客家である。


■2020年がタイ経済のピークアウトの年に
タイ全土では約10万人、バンコクでは約4万人の日本人が暮らしている。これは、東南アジアの国の中で最大の日本人人口数だ。バンコクは、世界でも日本人が多い3番目の都市である。そのため、日本にあるものならなんでもある。日本食レストランも約1200店舗を数える。カラオケのビッグエコーもあるし、和定食の「大戸屋」もある。
私は主に出版界で仕事をしているので、バンコクに行くたびに日本の書店、現地の書店を見て回るが、日本の人気漫画から女性誌までタイ語翻訳版が出ているので、日本と変わらない気分になる。こういう国はほかにない。

今回のことで、タイの将来見通しを、日本コミュニティである日本食店や駐在員に聞いてみたが、みな、楽観的だった。
「厳戒令があったほうがデモでもめているときより、街は落ち着きます。軍政が続くことで、世界からは批判されるでしょうが、経済活動にはそのほうがいい」という見方が主流だった。
ただし、長期的に見ると、タイには懸念点がある。それは、経済にとってもっとも重要な生産年齢人口(15歳以上65歳未満)のピークが2020年に訪れるということだ。ここで、タイ経済はピークアウトすると考えられている。だから、タイに投資している個人投資家は、「2020年がイクジット(出口)」と見ている人間が多い。日本企業も、すでにタイより人口が若く、人件費が安いカンボジアやミャンマーに移っているところも出てきている。


新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2014年05月23日


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