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世界どこの街に行っても、私はマクドナルド(マック)に行く。私が18歳のとき、マックは日本に上陸し、銀座に1号店ができた。それからの5年間でマックは100店舗に増え、大学時代は本当によくマックに行った。
当時は、ハンバーガーとコーラさえあれば、それだけで幸せな時代だった。私は横浜生まれ鎌倉育ちだから、1980年に鎌倉店と江ノ島店が1日の売上世界一を記録したことには本当にびっくりした。このように、私の人生はマックとともにあり、それはこの年になっても続いている。ところが、新興アジアには、マックが1店舗もない国がある。カンボジア、ベトナム、ラオス、ミャンマーには、いまもマックがない。
5年前、初めてアンコールワットに行き、シェムリアップの街でマックを探して、「ここにはない」と言われてがっかりしたことがある。カンボジアには、いまだにマックもスターバックスもない。ベトナムのホーチミン(旧サイゴン)にもない。
ところが、来年(2014年)はとうとう、ベトナムにマックができるという。マックのベトナム1号店は、2月にホーチミン市内にオープンする予定になっている。といってもすでにバーガーキング、ケンタッキー・フライドチキンは進出していて、スタバも2013年2月に1号店を出しているから、なんでマックだけがこれほど遅れたのかよくわからない。
というわけで、新興アジア各国で、マックが食べられるのは、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、インドなどになる。ところが、これらの国のマックは、日本やアメリカでマックを食べ慣れた感覚からいうと、「えっ!これがマック」と驚くことがある。というのは、それぞれの国情から、同じマックでもまったく違うものになっているからだ。
よく知られているのは、インドのマックだろう。この国のマックでは、牛肉と豚肉はタブーである。ヒンズー教徒は牛を食べないし、イスラム教徒は豚を食べないからだ。それで、代わりに、マック・アルー・ティキ(香辛料の入ったマッシュポテトのパティを揚げたもの)や、マック・スパイシー・パニール(インドの伝統的なチーズのパティ)といったメニューがある。最近では、野菜だけのベジタリアンマックもできた。
インドと同じような傾向にあるのが、インドネシアだ。ここは世界一イスラム教徒が多い国だから、ビーフバーガーはない。しかし、その代わりにチキンバーガーが人気ナンバーワンで、驚くのは「チキンセット」だ。これを頼むと、なんとご飯が一緒についてくる。これはインドネシアが「コメ大国」でもあることも影響しているのだろう。ランチ時にマックに行くと、ほとんどの客が「チキンセット」を食べている。「マックのチキンの方がケンタッキーよりうまい」という人が多いから、これにも驚く。
シンガポールは国際都市だけに、あらゆる種類のマックがあるが、日本ではモスバーガーが流行らせたライスバーガーもあって、これがかなりの人気だ。マレーシアも、たとえばクアラルンプールなどは街角のどこにでもマックがあり、メニューも豊富で、日本と変わらない。
しかし、タイのマックはひと味違う。定番のバーガー以外に、カレーライスも売っている。「カーオ・ゲーンペット・ガイヤーン」といって、具はグリルチキンとグリーンピースと唐辛子。タイ料理の独特のトロ味と甘さのあるカレーだ。マックでカレーが食べられるのだから、インド人もびっくりかもしれない。
ところで、マックはその国の経済を表す指標の一つになっている。「ビッグマック指数」(BMI:Big Mac Index)というのを聞いたことがある人も多いと思うが、これは、ビッグマックの値段で、各国の経済、為替を比較したものだ。
たとえば、日本でビッグマックが320円、アメリカで4.56ドルの場合、320円と4.56ドルが等価と考える。すると、320円を4.56ドルで割れば70.18円(320/4.56=70.18円)となるので、円の適正為替レートは70.18円となる。
実際、現在(2013年)、ビッグマックはこの値段だから、現在の1ドル100円以上というのは、明らかに適正ではなく、アベノミクス以前の1ドル80円時代のほうが適正レートだったことになる。いまとなってはそんなバカなと思うが、ビックマック指数だとこうなってしまうのだ。
ビックマック指数は、1986年に英『エコノミスト』誌によって考案された。マックは世界中に店舗を持ち、どこの国でもほぼ同一品質のものが販売されており、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金などによって価格が決まる。そこで、この価格を比較すれば、経済指標になると考えたのだ。
各国の経済の総合力は、その国の通貨に反映されるので、為替レートを考えるとき、ビックマック指数は意味を持つとされた。しかし、リーマンショック以後、アメリカをはじめとして、世界中が通貨膨張政策(お金を刷る量的金融緩和)をやり出したので、ほとんど意味がなくなってしまった。マックに行って、その国のマックのメニューや価格を知る。そうして、経済を考えられたのは世界が平和な時代だったようだ。いまは、どうやらそうでないらしい。
ビッグマック指数は、各国によって事情が異なる食文化に関しては考察していない。前記したように、新興アジア各国では、マックそのものがアメリカと同じビーフハンバーガーではない。また、ビッグマックがいまも高級品とされる国もあれば、ただのファースト・フードとされている国もある。
つまり、基本的に同じ価値であるとする前提が、グローバル化によるローカライズが進むと成立しなくなったと言えるのだ。また、驚くのは、サウジアラビアではビッグマックの値段が異常に安い。日本円にして80円ぐらいである。これは、なんとサウジ政府がマックに国の補助金を出しているからだ。
そこで、考案されたのが、ビッグマック1個を買う場合、その価格を稼ぐために、どれくらいの労働時間が必要かという比較だ。これは、その国の最低賃金を用いて計算する。すると、なんと日本が1位になる。ちょっとデータは古いが、「Wikipedia」に載っているので、それを以下に挙げてみよう。
《1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間のトップ10都市(2009年7月現在)》
1、東京(日本)10分
2、ロサンゼルス(米)11分
3、シカゴ(米)12分
3、マイアミ(米)12分
5、ニューヨーク(米)13分
6、オークランド (ニュージーランド)14分
7、シドニー(オーストラリア)14分
7、トロント(カナダ)14分
9、チューリッヒ(スイス)15分
9、ダブリン(アイルランド)15分
いずれも先進国の都市で、新興アジアの諸都市はランク入りしていない。
さて、最後は、新興アジアの主な国のビッグマック指数である。これを参考にして、新興アジアの街でマックに行ったとき、あまり参考にならないとはいえ、その国の経済を考えてみるのも一考だと思う。
《ビッグマック指数(BMI):2013年7月時(1ドル=100.11円)》
国名 | ビックマック価格 | BMI |
アメリカ | 4.56ドル | 0.00 |
日本 | 3.20ドル(320円) | -29.85 |
タイ | 2.85ドル(89バーツ) | -37.55 |
インドネシア | 2.80ドル(27,939ルピア) | -38.47 |
フィリピン | 2.65ドル (115.21ペソ) | -41.80 |
インド | 1.50ドル(90ルピー) | -67.07 |
マレーシア | 2.30ドル(7.3リンギット) | -49.63 |
シンガポール | 3.69ドル(4.70 Sドル) | -19.08 |
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2013年12月24日
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