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最近のASEAN(アセアン)は、かつて私たちが思っていたようなところではなくなってきた。日本人はお人好しというか、すぐに相手を信じてしまう傾向がある。国に対しても同じだ。
ASEAN各国はほぼ「親日」と言われてきたから、これまで私たちは、どこでも歓迎されていると信じてきた。なにしろ、つい先ごろまで、日本はASEAN各国の最大の援助国だったのだから、なおさらだ。
しかし、もうこの見方を捨てる必要がある。ASEAN各国は、親日国ばかりではなくなった。これからは、したたかさを持って、ASEAN各国と付き合っていかねばならない。なぜ、私がそう思うようになったかというと、ある世論調査の結果が出たからだ。
「産経新聞」の報道(10月22日)によると、ASEAN加盟10ヵ国の識者らを対象にした年次調査で、米国と中国のいずれかと同盟を結ぶことを迫られた場合、中国を選ぶべきだとの回答が2020年の質問設定以来、初めて米国を上回ったという。
この調査は、シンガポールのシンクタンク「ISEASユソフ・イシャク研究所」が行ったもので、対象者は、研究者や市民団体代表、政府関係者ら約2,000人。調査の結果、中国との同盟を選んだ回答は過半数の50.5%を占め、米国の49.5%を超えた。2023年の前回調査では、米国が61.1%で、中国が38.9%だったから、米国の後退ぶりが目立つ。
ただ、ASEAN各国によって、どちらを選ぶかの比率は違う。マレーシア、インドネシア、ラオス、ブルネイでは、中国の支持が7割を超えた。その一方で、フィリピンは米国支持が8割を超え、ベトナム、シンガポールなども過半数が米国を選択している。
ただ、米中対立のリスク回避のために信頼できる戦略的パートナーとしてどこを選ぶかという質問に関しては、トップはEUの37.2%で、日本は27.7%と後退。ASEANの“頼もしいパートナー”としての日本のプレゼンスは、失われたと言っていい。
この調査は安全保障に関するものだが、経済とも密接に関係している。それは、中国のASEANにおけるプレゼンスが、「一帯一路」などにより年々増しているからだ。アメリカの中国分断政策も、中国のプレゼンスを高めることに大きく影響している。
このところの米中対立により、ASEAN各国はどちらを取るかの選択に迫られるようになったからだ。ウクライナ戦争、中東戦争で世界の分断が進んでいることも、この選択に拍車をかけている。
こうしたことの結果、ASEAN各国はいま、「親米」「親中」「中立」(非同盟)の3つの立場を取らざるを得なくなった。
はっきりした「親米」は、フィリピンである。南シナ海のスカボロー礁を中国に奪われて、深刻な対立をしている以上、これは仕方ないことだ。日本は、アメリカの同盟・属国である以上、フィリピンに最大限の援助をせざるを得ない。中国と対峙しているフィリピンの沿岸警備隊の巡視船12隻は、日本からの供与である。日本はこの先、さらに大型の巡視船5隻を供与することになっている。
フィリピンと真逆で、完全な「親中」がラオスとカンボジアである。ラオスに至っては、もはや中国の属国、植民地と言っていい。ラオスは長年中国から多額の財政支援を受け、インフラ整備などをしてきた。すでに首都ビエンチャンと中国南部・昆明は、中国が建設した高速鉄道で結ばれている。
カンボジアは、かつて日本の援助を多大に受けていた。プノンペンには、チュルイ・チョンバー橋という「日本・カンボジア友好橋」がかかっている。しかし、いまはその隣に中国援助による橋がかかっている。そして、市内の環状道路は、習近平大通りと命名されている。
もう10年以上前から中国の援助は日本を上回り、いまや多くの中国企業がカンボジアに進出している。日本企業は見る影もなくなった。ミャンマーも同じだ。民主化で日本企業はこぞって投資したが、軍部支配が復活して、利権はほぼ中国に奪われた。
もともとASEAN各国は、中立的立場を取ることで世界中から援助を引き出して生き抜いてきた。米国、日本、EU諸国、中国のどこともうまくやり、こっちがダメならあっちという国益第一主義をやってきた。その意味では、カメレオン外交(非同盟外交)である。
ASEANで最大の人口を有するインドネシアは、その典型国家だ。インドネシアでは10月20日、ジョコ前政権で国防大臣を務めたプラボウォ氏が新大統領に就任したが、従来の路線を引き継ぎ、どの国とも同盟関係を結ばないと宣言した。しかし、新幹線建設で中国と日本を天秤にかけたりする外交は、今後とも成功するかどうかは未知数だ。
いずれにせよ、ASEAN各国は日本人が思っているよりはるかにしたたかだ。ベトナムは南シナ海でフィリピン同様、中国と争っているが、経済は中国にべったりである。もちろん、日本にもいい顔をしている。
ここで最近のASEANの経済を見ると、米中対立が追い風になり、貿易拡大が続き、経済成長率も高い。2024年4~6月期の経済成長率は、ベトナムが前年同期比6.9%、マレーシアが同5.9%、タイが同2.3%、フィリピンが同6.3%、インドネシアが同5.0%となっている。こうした数字を見ると、ASEANは米中対立、世界の分断が進むなかで、「漁夫の利」を得ていると思える。
そして、この「漁夫の利」を支えているのが、「華人」であることを忘れてはならない。シンガポールにしても、タイにしても、その経済を牽引しているのは、中国系の「華人」たちである。いまの中国共産党とは一線を画していても、ルーツは中国にあるという人々が経済を回しているのだ。中国の経済拡大で、ASEANの華人経済圏は拡大・成長しているのである。
最近、中国のプレゼンスが日本を超えたと実感できるのが、タイである。タイほど親日国家はないと思われてきたが、EVシフトにより中国製EVが大普及し、日本車を駆逐するようになっている。タイの「日本車天国」は崩れつつあるのだ。
中国メーカーのEVがどんどん輸入されるとともに、中国のEVメーカーが進出し、タイ国内でEVを生産している。この背景には、タイ政府が補助金、減税措置を講じて、サプライチェーン全体でEV化、温暖化対策を進めていることがある。ところが、日本メーカーおよび日本政府は、温暖化対策に消極的なため、こうした時代の変化に乗り遅れてしまった。
タイでは、すでに中国が高速鉄道の建設を手がけ、ネット通販企業の多くが中国系ネット企業の傘下に入っている。やがて、タイ生産のEVがASEAN各国に溢れるだろう。日本はASEANに対する認識を改め、この市場でのプレゼンスを再度高めなければならない。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2024年11月27日
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