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【新興ASIAウォッチ/第39回】新興アジアで五輪が開かれる日は来るのか?

■新興アジアでは五輪はそれほど盛り上がらない
リオデジャネイロ五輪が、8月21日、日本中が大興奮の中で幕を閉じた。メディアによる毎日のメダル報道に、これほど国民が熱狂する国はないのではなかろうか。そこで、今回の五輪を新興アジア諸国の視点から見てみたい。というのは、これまでの新興アジア各国の五輪報道は、日本のように、それほど熱狂的ではなかったからだ。

その理由は、やはりメダリストが少ないことが第一に挙げられる。次が、今回のリオ五輪で、新興アジア各国(インド、バングラディシュも含む)が獲得したメダル数とその内訳だ。

【リオ五輪 新興アジア各国のメダル数とその内訳】
合計
タイ 2 2 2 6
インドネシア 1 2 0 3
ベトナム 1 1 0 2
シンガポール 1 0 0 1
マレーシア 0 4 1 5
インド 0 1 1 2
フィリピン 0 1 0 1
見ればおわかりのように、各国とも一桁台、金メダルにいたっては、タイ2、インドネシア1、ベトナム1、シンガポール1と、この4ヵ国だけが獲得している。日本のように二桁台のメダリストが出るというようなことは、今回も起こっていない。そればかりか、このリストにない国は、ほとんどの選手が参加したしただけで、予選で敗退している。カンボジアは選手を6人派遣したが全員が予選敗退、ラオスも6人派遣で同じ、ミャンマーも7人派遣して同じ結果だった。

やはり、メダリストが出なければ五輪報道は盛り上がらないし、国民も熱狂しない。新興アジア諸国では、この傾向がずっと続いてきた。


■バドミントンはインドネシアVSマレーシアの対決
しかし、今回のリオ五輪はちょっと違った。各国の報道を見ていたら、珍しく大いに盛り上がったことがいくつかあった。
その1つ目は、バドミントンの混合ダブルス決勝で、インドネシアVSマレーシアの対決になったことだ。バドミントンはインドネシアが世界に誇る種目で、これまで世界ランキング上位選手を多く輩出してきた。同じくマレーシアもバドミントンが盛んで、今回はこの新興アジア2国の対決となったので、両国のメディアは大いに湧いたのだ。

結局、インドネシアのアーマド/ナトシール組が勝ったが、もし、インドネシア組が勝たなかったら、インドネシアは金メダルがゼロとなるところだった。ちなみに、これまでの五輪でインドネシアは新興アジア諸国の中で一番多くのメダルを獲得してきた。
その数、前回のロンドン五輪まで計27個。金メダルも6個獲得している。この27個のうち18個はバドミントンである。

バドミントンは女子ダブルスで「高松ペア」が金を獲得し、日本でも大いに盛り上がったが、これまでは新興アジア諸国、とくにインドネシア、マレーシア、タイのお家芸と言ってよく、この種目だけはこの3ヵ国では大いに盛り上がってきた。


■タイの金メダルは「お家芸」の重量上げ
盛り上がった2番目は、タイが重量上げで金メダルを2つ獲得したこと。重量上げ女子48キロ級で三宅宏実選手が銅メダルを獲得したが、勝ったのはタイのソピタ・タナサン選手だ。これで彼女は、タイの国民的英雄となった。重量上げは、いまやムエタイと並びタイの代表的スポーツと言っていい。

五輪の歴史を見ると、タイが初のメダルを獲得したのは1976年のモントリオール五輪で、種目はボクシング。以降、タイではボクシングしかメダルが獲れなかった。しかし、2000年のシドニー五輪で重量挙げが加わり、これまで重量上げでは金メダルを3つも獲得している。

タイは新興アジア圏では、もっともスポーツが発展してきた国と言っていい。ボクシング、重量上げ、バドミントンなどに限らず、各種目で世界級の実力をつけてきている。団体種目でも、女子バレーボールは2大会連続して世界最終予選で日本に敗れ、五輪初出場を逃したが、いまや日本の強敵だ。また、サッカーも躍進している。


■史上初の五輪金メダルを獲得に湧いたベトナム
盛り上がった3番目は、これまで五輪の金メダルがゼロだったベトナムが、史上初の金メダルを獲得したこと。種目は、地味なエアピストルだが、ホアン・シャンビン選手が決勝で202.5点という五輪新記録をマークし、韓国代表の秦鍾午(チン・ジョンオ)選手を退けて金メダルを獲ったときは、ベトナム中のメディアが熱狂した。

シャンビン選手は現役の陸軍大佐で、韓国人監督の指導を受けてきた。つまり、師匠の国を破ったのである。ベトナムのメディアによると、彼がもっとも好きな食べ物はサムギョプサル。競技の2日前にも辛い唐辛子とニンニク、サムジャン(味噌)とともにサムギョプサルで食事を摂ったという。

この金メダルにより、シャンビン選手はベトナム政府から現金10万ドルの報奨金をもらえることになった。これは、ベトナム人の会社員の平均所得の50年分という。


■シンガポール生まれの選手が初めて金メダルを獲得
盛り上がった4番目は、シンガポール。なんと、同国史上初のゴールドメダリストが誕生したうえ、その種目が競泳だったので、シンガポール市民の熱狂は凄まじかった。メダリストは、競泳バタフライ100メートルのジョセフ・スクーリング選手。彼は、王者の米国マイケル・フェルプス選手を破って堂々の金メダルを獲得した。

スクーリング選手が凱旋帰国した際には、空港では、南国らしく放水で大歓迎。凱旋パレードが行われ、国会での歓迎会では、首相が直接、勝利をたたえた。これほどメディアと国民が熱狂したのは、スクーリング選手が生粋のシンガポール人であることが大きかった。なぜなら、これまでシンガポールでメダルを獲ってきたのは卓球で、選手はすべて中国からの帰化選手だったからだ。今回のリオ五輪でも男女含めて5人の卓球選手が出場したが、全員が中国からの帰化選手だった。

ところが、スクーリング選手は、シンガポール生まれの21歳。14歳でトレーニングのため渡米し、現在はテキサス大学の学生である。他民族共生国家といっても、やはり自国生まれの選手が勝ったのだから、国民の喜びはピークに達した。
シンガポールは徴兵制の国である。国民男子は18歳で全員が徴兵されるが、リオ五輪のために一時延期されていた。ところが、今回の金メダルを受けて、次回の東京五輪まで延期された。


■五輪は選手間の競争であり国家間の競争ではない
ところで、五輪は、国別対抗戦ではない。メダルは選手に与えられるもので、国に与えられるものではない。各国のメディアが、国家意識の下に、国民の高揚感をあおるのは、本来の五輪の目的からは逸脱している。

オリンピック憲章の第9条には、こう明記されている。
「オリンピック競技大会は、個人種目もしくは団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」
また、憲章の第71条の1は、「IOCはいかなるものであっても、国別の世界ランキング表を作成してはならない」と、国別メダル獲得数をつくることを規制している。つまり、五輪は選手個人の努力を讃えるだけにとどめ、国別対抗で、国家間の競争意識をあおることはしない。人種・宗教・政治などの国家の枠を超えた相互理解、国際親善を推進するのが大きな目的なのである。

とはいえ、それでは4年に1度の国際大会は盛り上がらない。したがって、その美しい目的とは裏腹に、国旗の掲揚や国歌の斉唱がある。また、近年は商業主義一色となっている。


■クアラルンプールとシンガポールが共同開催を目指す
さて、リオ五輪が終わったので、次の東京が注目されるが、その先の2024年からの開催地はまだ決まっていない。そこで、今後、新興アジア圏で五輪開催があるかどうかを展望してみたい。じつは、クアラルンプールとシンガポールが、2028年と2032年の夏季五輪招致を共同開催で目指す意向を表明している。

昨年、この両国のオリンピック委員会は協議し、共同で東南アジア初の五輪開催を目指すことで協力することを約束している。マレーシアは1998年にコモンウエルスゲーム(英連邦競技大会)を開催して以降、大規模な国際競技大会を開催していない。2006年アジア大会招致に立候補したが、カタールの首都ドーハに敗れている。しかし、近年の発展で競技施設は整っている。シンガポールもまた、近年はF1やゴルフなどの大きな国際大会を開催しており、条件的には問題がない。

というわけで、2028年、2032年に照準を合わせているのだ。なぜ、2028年、2032年かというと、次のような理由による。


■タイのバンコクも立候補する可能性がある
五輪は五輪旗が5大陸を表すように、各リージョンの持ち回りである。とすると、2018年の冬季五輪は韓国の平昌、2020年の夏季五輪は日本の東京、2022年の冬季五輪は中国の北京と決まっているので、2024年以降しかない。しかし、2024年だと3期連続でアジアとなるので、2028年が最短での候補年となるのだ。また、2024年の夏季五輪は東京の後だけに、おそらく欧州のパリ(100周年の2回目開催)になるのは間違いないので、やはり2028年以降となる。

じつは、かつてタイのバンコクも開催地に立候補したことがある。それは、2008年の夏季五輪(北京に決まった)で、このときの最終候補地に残ったのは、北京、トロント、パリ、イスタンブール、大阪だった。バンコクは立候補したものの、最終書類をIOCに提出しなかった。ちなみに、このときの立候補表明都市は、ブエノスアイレス、モンテレー、リオデジャネイロ、ケープタウン、リスボン、クラスナヤ・ポリアナ(ロシア・ソチ郊外)、イスラエル・ガザ共同開催の各都市だった。

五輪開催都市になるには、いろいろな条件があるが、その国が経済発展していることも大きな条件だ。その意味で、バンコクにも2028年以降の可能性は十分ある。
はたして、新興アジア圏初の五輪の開催はいつになるだろうか? すでに、シンガポール・クアラルンプール、バンコクはその条件がほぼ整っている。


新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2016年08月24日


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