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新興アジアの“最後のフロンティア”と言われているミャンマー。2012年5月にアメリカが経済制裁を解除して以来、世界中から投資が集まって、経済発展が続いている。そのミャンマーの経済発展の節目になるイベントが、来年(2015年)、2つある。1つは、証券取引所の開設。もう1つは、総選挙だ。そこで今回は、ミャンマー投資(主に株式投資)に関して、基本的なことをまとめてお伝えしたい。
ミャンマーが「開国」して以来、私の知人も何人かヤンゴンに行き、そこで投資とビジネスを行うようになった。そのなかには、一家で「半移住」し、語学学校の経営、進出企業サポート業などを始めた男もいる。また、すでにミャンマーの不動産投資を始めた個人投資家、工場開設を目指している中堅企業の社長もいる。そんなわけで、以下は、そんな彼らからの情報に基づいている(文中の「 」コメントは、彼らから聞いた話)。
2014年の現在、ミャンマーへの投資国としては、中国が断トツ。香港も含めると、50%近いシェアとなる。ただし、最近は、中国資本によるイラワジ川のダム建設が凍結されるなど、中国離れが進んでいる。日本は投資国別で11位と出遅れているが、中国などが後退する分、今後のノビシロは大きいと、ヤンゴン在住の日本人たちは口をそろえる。ヤンゴンではすでに日本語情報誌も発刊され、日系企業の進出数は約110社、在留邦人数は500人を超えた。
そのなかで最大の注目が、来年開設される「ミャンマー証券取引所」に、日本取引所グループと大和証券グループがアドバイザリーとして参加することだ。2012年5月、この2社はミャンマー中央銀行との間で証券取引所開設を支援する覚書を結んでいる。さらに大和証券グループは、新規株式公開を目指す現地金融機関アジア・グリーン・デベロップメント・バンク(AGDB)とアドバイザリー契約を結んでいる。つまり、ミャンマー証券取引所の運営や経営は日本グループが行うことになっている。
こうなると、かつてベトナムで証券取引所が開設後に大ブームが起きたようなことが、ミャンマーでも起こると期待される。2006〜2007年、日本の個人投資家が次々にホーチミンを訪れ、証券口座を開いたようなことが起こるのではというのだ。
しかし、現地の話によると、2013年7月に証券取引法が成立したものの、関連組織の整備が遅れており、2015年の開設は大幅にずれ込むかもしれないという。証券取引委員会もまだ陣容が決まっていない。そんなわけで、予定では2015年10月開設だが、まだ見通しは完全ではないというのだ。
現在、ミャンマー企業の株式を、外国人が買うことはできない。しかし、証券取引所ができれば解禁されるので、それを持っている投資家は数多くいる。
「そうはいっても、上場される会社は数社程度と聞きます。ベトナムでも最初は20社ほどでしたから、ミャンマーはさらに少なくなる。確実視されているのは、アジア・グリーン・デベロップメント・バンク(AGDB)、ミャンマー・アグリビジネス・パブリック・コーポレーション(MAPCO)、さらに日本が中心となって開発を進めるティラワ経済特区(SEZ)の開発会社ミャンマー・ティラワSEZホールディングスなどです」
では、証券市場がないなかで、現地企業はこれまで、どうやって資金の調達をしてきたのだろうか?
「銀行借り入れがほとんどです。ミャンマーは軍政が続いてきたので、軍と結びついた大企業が有利な条件で融資を受けてきました。エア・バガン、アジアン・ウィングス・エアウェイズなどの航空会社はとくにそうです。ただし、一般企業の場合、チャット建て融資は限度額が低く、手続きも複雑でした。そこで、ミャンマー人の間では、一部で非公開株が取引されてきました。現在、証券取引所ができるとあって、IPOを見込んだ非公開株取引が活発化しています。現地に代理人を立てて、これを買っている外国人投資家もいます」
そんななか、最近、現地メディアで騒がれたのが、証券取引所ができれば上場が確実なアジア・グリーン・デベロップメント・バンク(AGDB)が、株式を有力者に譲渡したことだ。譲渡した株のうち20%が持ち株会社のトゥーグループに売却され、同じく20%がネ・ウィン元大統領の孫で資産家のアイ・ネ・ウィン氏に。また、10%がトラ・シュエ・マン下院議長の長男、アウン・ティ・マン氏に渡ったと報じられた。現行の株は新株と等価交換されるはずだから、これは事実上の利益供与である。
「このようなことがあるのは、やはり証券市場の開設を見込んでいるからです。最初は数社でも、次々に有力企業、新興企業がIPOを目指すはずです。また、国営企業が株式の一部を民間に放出する可能性も大です。だから、いまから様々な思惑絡みのことが起こっているわけです」
すでに、個人投資家のなかには、タイ市場とシンガポール市場に上場している「ミャンマー関連株」に投資している人間がいる。タイ証券取引所で、ミャンマー関連株として人気があるのが、イタリアン・タイ・デペロップメント(イタリアとタイの合弁企業で、タイに拠点を置く大手総合建設会社)。シンガポール証券取引所で人気なのが「ヨマ・ストラテジック・ホールディングス」(シンガポールに拠点を置く投資持株会社で、民間住宅、農業、建設、パイリング事業を管理し、ミャンマーと中国の不動産開発、土地売却管理、土地や建物、農業活動や建設関連サービスを提供中)だ。
「いずれも最近値上がりしていますが、ただ、この2社は不動産開発中心。すでに、ミャンマーの不動産は値上がりし過ぎでピークという感じです」という見方もある。
ここで、不動産投資について、現地の見方を聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
「成長期待から、ここ2、3年でヤンゴンを中心に不動産価格が異常に上がりました。期待のほうが大きくて、本当にこんな高くていいのかという状態です。いまやオフィスの賃料は、東京やニューヨーク並みの価格になっています。とりあえず、オフィスが不足しているので、仕方ないとは思いますが、今後、上がるとは思えません。また、外国人向けのホテルも1泊最低200ドルからといったところで、これもミャンマーの水準に見合っていません。サービスアパートメントについても70〜80㎡の賃料が1LDKが、なんと3000ドルです」
そこで、不動産投資に関しては、「ヤンゴン市内より郊外」という声が圧倒的に多かった。経済成長が進めば、郊外に中流層向けのコンドが建つようになり、そういう所を中心に不動産価格は上がるだろうというのだ。
さて、投資をするとなると、現地での銀行口座の開設が必要だ。ところが、外国人向け口座はいまのところ大幅に制限されている。
「ミャンマーは銀行口座を持つ国民が全体の2%にすぎないという、現金社会です。ほぼすべての取引が現金です。ですから、銀行に外国人が口座を開くとなると、利息がつかない当座預金口座しか開けません。しかも、6カ月以上の滞在資格があるマルチビザの保有者でなければなりません。ただ、シングルビザ(70日間有効)で口座をつくった人間もいて、銀行によって対応が違うのです。口座をつくると小切手帳がもらえ、これで現金が入手できるという仕組みです」
となると、法人口座のほうが有利だという。ミャンマーに法人を設立し、それで銀行口座を開く場合は、口座は米ドル建てになるからだ。
「ただし、この口座への海外からの送金は手続きが面倒です。まだ行員が慣れていないので、担当者の名前などきちんと確認しておかないと問題が生じます」
投資するのはいいが、それで得た利益を国外に持ち出せないと意味がない。では、海外送金はできるのだろうか?
「現在、海外送金は2つのケース以外できません。1つは、輸入ライセンスを取得した貿易関連の支払い。もう1つは、ミャンマー投資委員会(MIC)の許可を受けたうえでの中央銀行の認可による利益や配当金の送金です。つまり、個人が自由に海外送金するのは不可能です」
現在、邦銀、外銀の支店がヤンゴンに次々に支店を開設している。しかし、邦銀があるからといって、日本への送金が簡単にできるわけではない。
「ミャンマー進出企業でミャンマー投資委員会(MIC)の承認を得ているような大きな企業なら、利益を国外に持ち出すのは問題ありませんが、現地設立の小法人だと、なかなか難しい。現状では、チャットを米ドルに替えて、それを持って国外に出ることになりますが、外国人が出入国に携行できる現金は1万米ドルという規定があるので、これも難しいです」
となると、証券市場の開設だけでミャンマーへの直接投資を行うのにはリスクが多い。今後、資本規制が緩和され、法整備が進むとは考えられるが、それを期待するしかない。その意味で、2015年に行われる総選挙、大統領選挙は重要だ。いまのところ、大統領候補として、与党・連邦団結発展党(USDP)党首で、国民代表院(下院)議長のシュエマン氏と、民主化運動指導者で野党・国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏が出馬すると予測されている。どちらが勝つかはわからないが、この選挙結果が今後の民主化の動き、経済発展に大きな影響を及ぼすのは間違いない。
以上、ミャンマー投資について、ざっと述べたが、最後に記しておきたいのは、やはり投資は「長期投資」が基本だということだ。このことを、私の知人でヤンゴン在住のT氏はこう言う。
「私は、もう一度日本の高度成長時代をやろうと、ここに来ました。だから、ミャンマーとは一生つきあいます。もし、この国に投資するなら、少なくとも5年〜10年先を考えるべきです。今年、ミャンマーはASEANの議長国になり、やっと、東南アジアの仲間、世界の仲間として認められたわけです。ですから、本当の成長は来年から始まると、私は考えています」
T氏は、今後5年を次のように見ている。
2014年——-ASEAN議長国、国際社会から正式に認知。
2015年——-ミャンマー株式市場開設、ミャンマー総選挙、経済成長元年。
2016年——-株式市場がじょじょにブレイク、郊外不動産市場が値上がり。
2017年——-投資の第1ステージが終了、経済成長が確実に。
2018年——-成長が第2ステージに入る。新興の成長企業がブレイク。
さて、私は個人投資家ではないので、個人投資家とは違う、現在のミャンマーに対する要望を一つだけ述べて、原稿を終わらせたい。
現在の日本とミャンマーとの時差は、2時間30分である。たとえば、日本が昼の12時だと、ヤンゴンは朝の9時30分。なぜ、時差に30分などと中途半端な時間をつけているのだろうか? すごく、不便である。シンガポールなら時差は1時間。ならば、ミャンマーは2時間でいいのではないだろうか? これを早急になんとかしてほしい。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2014年07月25日
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