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【新興ASIAウォッチ/第93回】人気の「ハンナンチキンライス」の秘密

シンガポールでタレとソースを買い込む

かつてシンガポールに行ったとき、スーパーで必ず買って帰ったのが、「ハイナンチキンライス」(海南鶏飯:ハイナンジーファン、「シンガポールチキンライス」とも言う)の「素」(もと)だ。何種類かあるが、この「素」を入れて炊飯器でお米と鶏肉を炊き込むだけ。こんな簡単にできて、美味しい料理はないので、いっときはけっこうはまったものだ。

しかし、いまでは日本のスーパーでも、輸入ものや日本の食品メーカーのものを販売しているので、もう買って帰る必要はなくなった。もちろん、「素」を使わずに、オリジナルのタレをつくって炊き込んだこともたびたびある。家内も娘もはまって、とくに娘はいまもオリジナルのタレにこだわっている。

ハイナンチキンライスはひと言でいうと、「東南アジアとりめし」だ。茹でて冷ました鶏肉とその鶏肉を茹でてできた鶏ダシで炊いたごはんを、自分好みのソースをかけて一緒に食べる。このソースは主に、甘い醤油、おろし生姜、さっぱり唐辛子の3種類があり、これも売られているのでよく買って帰った。もちろん、自分好みのオリジナルのソースで食べれば、至福のときがやってくる。

トマト味の日本のチキンライスとは別物

その昔、シンガポールで初めて、「シンガポールチキンライス」を注文したときは驚いたものだ。お皿にライスと鶏肉が別々に盛られ、付け合せにトマト、キュウリ、パクチーが添えられて出てきたからだ。

私が知っているチキンライスは、子供のころに母がつくってくれたトマトケチャップ味の赤い色のチャーハンと言っていいものだった。鶏肉は小さく刻んだものが、ご飯のなかに混ざっていた。それで、チキンライスと呼ばれていた。

ときどき、母はチキンライスの上に炒り卵をのせ、オムライス風にしてくれた。また、その上にグリーンピースが何粒かのっていて、パセリが添えられていると、本当にうれしかった。なぜなら、洋食屋さんのものとそっくりだったからだ。

シンガポールのハイナンチキンライスは、基本的に生姜とニンニク風味で、日本のチキンライスとはまったくの別物だ。また、チキンライスといっても、チキンには種類がある。基本は、ライスと一緒に炊き込んだスチームだが、ボイルやローストのときもある。

このチキンとライスを、前記したように3種類のソースで食べる。つまり、ソースが決め手で、このソースが具材に合っていると当たり、合っていないと外れだ。刺身に醤油が欠かせないように、チキンライスにはソースが欠かせない。このソースは店によって違い、味を競い合っている。

チキンライスは東南アジア圏の「定食」

ハイナンチキンライスは、シンガポールだけのものではない。東南アジア圏ではどこにでもあり、それぞれ少しずつ異なっている。

タイではこれを「カイマンガイ」と呼んでいて、シンガポールのように3種類のソースではなく、「タオチオ」と呼ばれるお味噌がベースのソースが添えられている。このソースは、大豆を発酵させた中国味噌をベースに、醤油、ニンニク、しょうが、唐辛子などを混ぜてつくるという。また、チキンライスもシンガポールのものが薄味なのに比べ、ニンニクがたっぷりで味が濃い。

マレーシアのものはシンガポールに近いが、ソースが唐辛子に加えてトマト、パプリカ、コリアンダーの根、レモン、ニンニクなどがブレンドされていて、味がフルーティーだ。マレーシアではチキンライスを「ナシアヤム」と呼んでいる。

ベトナムには、「コムガー」と呼ばれるチキンライスがある。鶏のスープとターメリックなどのスパイスで炊いたご飯に、ローストチキンやフライドチキンなどが添えられている。ハイナンチキンライスは「コムガーハイナン」と呼ばれ、こちらはシンガポールのものとほぼ同じ。ただし、ソースはベトナム料理の甘辛い万能ダレ「ヌクチャム」だ。

こうして見ると、チキンライスは東南アジア圏諸国の「定食」と言える。日本の「焼き魚定食」や「生姜焼き定食」にあたるものと思って間違いない。

ルーツは中国・海南島の地鶏料理

ハイナン(海南)は地名で、中国の海南島(海南省)のことである。よって、ハイナンチキンライスは海南島がルーツなのだが、本場のチキンライスはシンガポールのものとは違っている。

私は海南島に行ったことがないので、以下は調べて書くが、海南島の文昌(ウェンチャン)では「文昌雞」(ウェンチャンジー)という有名な高級地鶏を飼育していて、これを一羽丸ごと大きな鍋で茹でて料理する。そして、冷ましてブツ切りにする。これを「白切雞」(パイセイチー)と呼び、地鶏を茹でたスープで炊いたご飯「雞油飯」と一緒に食べるのだという。

海南島からどれほどの移民が海を渡ったかはわからないが、こうした華僑たちによって、「文昌雞」が広まり、ハイナンチキンと呼ばれるようになったのは間違いないようだ。海南島の農家では、昔から地鶏を丸ごと茹でて食べる習慣があったという。

はじめは故郷をしのんで食べた鶏ご飯が、東南アジア各国で現地料理の影響を受け、独自に発展したというわけだ。

現地で人気の最高級店とチェーン店

シンガポールで最高級のハイナンチキンライスが食べられるのは、「チャターボックス」(Chatterbox)だろう。5つ星ホテルの「マンダリン オーチャード シンガポール」の中にあるレストランで、チキンライスを食べるのに予約しなければならないという人気店だ。厳選されたチキンのみを使っているので、その柔らかさと味わいは絶品だ。

シンガポールには「おいしい」と評判のハイナンチキンライスのチェーン店がいくつかあり、その中でも次の5店が人気だ。

「天天海南鶏飯」(Tian Tian Hainanese Chiken Rice:ティアンティアン)
「五星海南鶏飯」(Five Star Hainanese Chiken Rice:ファイブスター)
「文東記 」(Boon Tong Kee:ブントンキー)
「黎記海南鶏飯」(Loy Kee Best Chiken Rice:ロイキー)
「威南記海南鶏飯」( Wee Nam Kee Hainanese Chicken Rice:ウィーナムキー)

この中でも、近年とくに人気なのが「ブントンキー」で、1979年チャイナタウンに創業した一軒の屋台が始まりだが、現在、全8店舗に拡大している。また、「ウィーナムキー」は5年前に日本に進出し、1号店を東京・田町に出した。

日本でもニューヨークでも人気爆発

いまやハイナンチキンライスは世界的に大ブームで、専門店が次々にオープンしている。日本でも、例えば専門店の「海南鶏飯食堂」や「シンガポール海南鶏飯」などは、店舗数を増やしている。私が住む横浜でも昨年、みなとみらいの「マリン&ウォーク」に、シンガポール料理専門店「HAWKERS 海南鶏飯」(ホーカーズ ハイナンジーファン)ができた。

ひとつのソウルフードが人気になると、それがいまやあっという間に広まるようになった。ネットでSNSなどを通じて紹介される影響も大きいと思う。また、料理はどんどんかたちを変えて進化している。

ニューヨークでは、「チキンオーバーライス」というのがあって、これは名前の通り鶏肉がのったライス料理だ。コロナ禍でストリートフードは一時的に姿を消したが、コロナ禍の前はストリートフードの人気メニューだった。

ターメリックやサフランで炊いたライスの上に、スパイスで色々な味付けしたチキンをたっぷりとのせ、付け合わせとしてレタスや玉ねぎ、ミニトマトなどの野菜を添える。私も、何度かテイクアウトしたことがある。この「チキンオーバーライス」を見ると、ハイナンチキンライスのアメリカ版に思え、ご飯と鶏肉は相性がいいのだと納得する。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2021年04月26日


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