日本より圧倒的に有利な税制、住みやすさを誇るシンガポールで会社設立すれば、俄然有利に資産形成、資産保全、海外投資を行なえます。シンガポールの賃貸物件・不動産紹介もフォーランドシンガポール。
シンガポールの税法上における損金(Business Expenses)の概念は日本と異なる点が多々あるため、適切な法人運営を行ううえでは、主要な項目についてあらかじめ把握しておくことが大切です。本ページでは、シンガポールで法人を運営するにあたり知っておきたい損金処理について、その概念や対象となる費用項目をわかりやすく解説します。
シンガポールでは、法人運営において「収益獲得のために生じた費用」は、原則として全額損金算入することができます。日本では役員報酬や交際費などの損金算入にあたっては、対象範囲や金額などに様々な制約条件が課されていますが、シンガポールでは「収益獲得のために生じた費用」であれば金額の上限無く損金算入できるため、たとえ役員報酬や交際費であっても原則として全額を損金算入することができます。
当然のことながら、シンガポールでも社員の給与・賞与・手当・年金(CPF)は損金算入が認められています。なお、シンガポールの一般的な福利厚生として社員の医療費を一定額(年間数千ドル)負担する制度を設けている企業が多々ありますが、この医療費についても一定の条件下で損金算入が認められています。
既存のクライアントであるか、クライアント獲得のためであるかに関わらず、会食やゴルフの費用など将来の収益を得るために発生する交際費は、制限無く損金算入が認められています。ただし、家族や友人との飲食については損金算入が認められていません。
回収不能となった売掛金は、回収不能であることを証明する証憑書類の提出などを行うことで損金算入が認められます。
シンガポールでは、日本のように欠損金を繰り越すことができる期限(日本は9年間)は設けられておらず、無期限で欠損金の繰越を行うことができます。その際、企業の株主の50%以上が変動していないことを証明する必要がある点は注意したいところです。また、その反対に黒字状態の企業が翌年赤字になった場合、過去1年の期間、欠損金の上限SGD100,000までを繰り戻しし、還付を受けることが可能です。
シンガポールは政策として寄付を推進しているため、認可された特定の団体へ金銭による寄付を行うことで、寄付額の最大250%を損金算入することができます。この他にも、コンピューターによる寄付や芸術作品、建物・土地の寄付などでも損金算入が認められるケースがあります。
認可を受けている団体は、以下のリンク先からご確認いただけます。
⇒シンガポールの慈善団体ポータルサイト「Charity Portal」
シンガポールの内国歳入庁(IRAS)は、開業費を「事業開始のための準備費用」と定義しているため、開業費については原則として損金算入を認めていません。その際、開業日(Definition of Date of Commencement)の考え方が重要となりますが、IRASは「最初の売上を獲得した日」を開業日と定義しており、この日以降に「収益獲得のために生じた費用」については損金算入が認められます。
ただし、開業日の判断は実務的に難しい部分も多いため、現在はシンガポールの政策的配慮により、「最初の売上を獲得した日」が属する事業年度の前事業年度に生じた「収益獲得のために生じた費用」についても、例外的に損金算入が認められています。最初の収益がどのタイミングで発生する見込みがあるのかが損金算入の可否に影響するため、事業計画時に注意が必要と言えます。
なお、法人設立費用は、「収益獲得のために生じた費用」ではなく「資本取引」と定義されるため、損金算入が認められていません。
シンガポールでは登録車両を制限したい国の意向があるため、車両購入費用・ガソリン代・修理費用・レンタカー費用などの自動車関連費用は、たとえそれらが「収益獲得のために生じた費用」であったとしても、(貨物車料やタクシーなど一定の車両以外)損金算入を認めていません。
なお、業務で使用するタクシー代金は損金算入が認められているため、税制面から見るとシンガポールで社用車を保有するメリットは極めて低いと言えます。
投稿更新日:2019年10月24日
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