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【新興ASIAウォッチ/第51回】日米後退で中印台頭、どうなるASEAN諸国

■2017年8月で50周年を迎えたASEAN
ASEAN(アセアン:東南アジア諸国連合)が、2017年8月、発足から50周年を迎えた。いまや、域内の人口は約6億4000万人に達し、加盟10カ国のGDP総額は約2兆6000億ドルに上る。これは、日本のGDPの約3分の2で、アメリカ、EU、中国、日本に次ぐ、世界で5番目の経済圏で、やがて日本を抜くのは確実だ。

しかし、発足当時のASEANは、アメリカ主導の「反共連合」だった。当初5ヵ国で創設されたが、その後、冷戦が終わると、経済的な連携を強め、現在は10カ国が加盟して、地域機構として揺るぎないものになっている。

ASEANのシンボルマークといえば、「稲の束」である。これは東南アジアが稲作文化圏であることはもとより、ひと束に「まとまることが大事」という意味が込められている。民族、宗教、歴史、政治体制、経済システムなどがそれぞれ違うとはいえ、連携していくことがなによりも大事だということだ。この考えは創設以来一貫しており、ASEANが21世紀経済の牽引車になるのは間違いない。しかしいま、このASEANが大きな課題に直面しているのだ。そこで、今回はASEANの今後について考えてみたい。


■中国の南シナ海領有を受け入れるのか?
それでは、いまのASEANの課題とはなんだろうか? それは、冷戦時代に後ろ盾となったアメリカ、そして日本の力が徐々に薄れ、中国とインドが大きく台頭してきたということ。つまり、アメリカ、日本との関係を維持しながら、今後どう中国、そしてインドと向き合っていくかということである。とくに中国の台頭は大きな地殻変動で、各国の動き次第ではASEANが分解してしまうかもしれない可能性がある。

この8月7日からマニラでASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれたが、ここでの大きな課題はやはり中国の南シナ海問題だった。北朝鮮の核・ミサイル開発も主要議題となったが、ASEAN諸国からの地理的距離からいって、やはり南シナ海問題の方が大きい。すでに中国はここに7つの人口島を建設し、ほぼ内海化してしまっている。だから昨年、ハーグの国際仲裁裁判所が中国の主張を退ける判決を出しても、完全に無視してきた。

もちろん、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの周辺諸国は、中国のこうした態度および政策に相当憤っている。しかし、文句は言ってみても、それを裏付ける力を持っていない。そのため、昨年発足したフィリピンのドゥテルテ政権は、北京に擦り寄るという現実的選択をせざるをえなくなった。ドゥテルテ大統領は「中国と戦争をしろというのか」と、反対派に向かって言ってのけた。


■アメリカの弱腰が中国を台頭させた
北京はこのドゥテルテ大統領の擦り寄りに大いに気をよくして、莫大なフィリピン投資を決めた。その結果、フィリピンは中国を非難できなくなり、ARFに先だって開かれたASEAN外相会議の共同声明は、中国に「深刻な懸念」を示した昨年より大きく後退した。
そして、ARFに日本から参加した河野太郎外相は、ここが外交デビューとなり、中国の王毅外相との会談で中国に「大国としてのふるまい」を求めた。しかし、王外相はその提案を一蹴し、南シナ海をめぐる河野外相の発言に「失望した」と、はっきりと言い返したのである。

場所がマニラだけに、中国ペースになるのは仕方ないかもしれない。しかし、フィリピンが完全に中国サイドになってしまうと、ほかのASEAN諸国もますます腰が砕けるようになるうえ、日本は決定的に困る。中国は、「一帯一路」戦略(陸のシルクロードと海のシルクロードで東南アジアを含むユーラシア全域に覇権を拡大)を進め、すでにAIIB(アジアインフラ投資銀行)をつくり、日本とアメリカ主導のADB(アジア開発銀行)と対抗している。

オバマ前政権が中国と対抗することを嫌い、南シナ海では遅ればせながらの「航行の自由」作戦をしたぐらいだったから、ASEANにおける中国の力は増すばかりになった。しかも、トランプ政権は「アメリカ・ファースト」で、アジアにはほとんど興味がなく、中国の力をけん制できるTPPから離脱してしまった。また、「航行の自由」作戦もこれまで、たった2回しか行なっていない。


■マレーシア、インドネシアが最有望国
さて、ASEANの最有望国はマレーシアである。続いてインドネシアだ。これは、ここ数年、新興アジアを見てきた私の実感である。マレーシアは多民族国家だが、基本的にイスラム国。インドネシアもそうだ。21世紀は、テロ国家は別として平和的なイスラム国家が発展すると、私は考えている。そして、このイスラム国家と相性がいいのが中華圏、つまり中国なのである。欧米圏ではなく、中華圏。日本はどちらかと言うと、欧米圏に入ってしまう。

実際、マレーシアは発展を続けてきている。1997年の通貨危機のときは韓国がIMFを受け入れたのに、拒否したために欧米から叩かれたが、見事自力再建して今日まで経済発展を遂げてきた。この8月18日、 マレーシア中央銀行が発表した4-6月(第2四半期)のGDPでも、前年比5.8%増を記録し、エコノミストの予想を上回っている。

このマレーシアにどの国よりも接近しているのが、中国である。すでに、中国は、ベトナム、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマーというインドシナ半島全域に投資し、これらの国々と日本以上の関係を築いている。そして、いまやマレー半島からインドネシアまで取り込もうとしているのだ。


■マレー半島の鉄道はみな中国のものに
この8月9日、マレーシアの東西海岸を結ぶ長距離鉄道プロジェクトが着工された。これは中国とマレーシア政府による130億ドルの投資で、「一帯一路」構想の一環だ。南シナ海側のタイとの国境地点とマラッカ海峡を結ぶ全長688kmの鉄道の名称は「イースト・コースト・レール・リンク」(ECRL)。建設費用の85%は中国輸出銀行が融資し、残りはイスラム債の発行によって調達する。もちろん、建設を請け負うのは中国交通建設である。

マレー半島の鉄道建設といえば、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)の受注を巡って、これまで中国と日本は激しく争ってきた。ただ、日本側の期待をよそに、ナジブ政権は中国との間に「包括的戦略的パートナーシップ」を結び、軍事や経済面での協力関係を強化してきたので、中国が圧倒的に有利に交渉進めてきている。しかし、7月にマレーシア側の終着駅であるクアラルンプールの駅周辺の開発「バンダル・マレーシア」を巡ってトラブルが起き、情勢は混沌し始めている。ただ、これまでの経緯から見れば、やはり中国優位の見方は変わらない。

なにしろ、マレーシアは軍事的にも中国依存を強めているか。8月12日、シンガポールの『ストレーツ・タイムズ』紙は、中国がマレーシア政府に対し、南部のジョホール州に中国製のレーダーとミサイル導入を打診したと伝えた。今年の11月に、マレーシアを訪問する予定になっている習近平国家主席が、ナジブ首相と協議入りする見通しというのだ。もし、これが実現すれば、南シナ海を含めたASEAN地域の軍事情報戦で、中国が主導権を強めることになる。そして、ジョホール州と橋でつながるシンガポールの脅威となる。はたしてこの計画がどうなるかはわからない。ただ、ここまでマレーシアと中国が接近しているのだから、高速鉄道建設における日本の敗色は濃厚だ。


■インドの「アクト・イースト」構想
このように、中国の力が増すなか、これに対抗しようと乗り出してきたのが、インドである。インドのモディ政権は「一帯一路」構想に批判的で、これに対抗してASEAN諸国との距離を縮める計画に出ている。例えば、インド政府は7月に、同国北東部からミャンマーを経てタイに至る道路の拡張に2億5600万ドルを投じる計画を発表した。

このような道路整備への投資はミャンマーだけではない。ASEANのほかの国々に対しても行われる。これをモディ政権は、「アクト・イースト」政策と呼んでいる。すでにインドは、ネパール、ブータン、バングラデシュ、中国、ミャンマーに接する北東部からの越境道路や鉄道に投資している。インドが中国を警戒しているのは、中国・パキスタン国境地帯の中パ経済回廊が、インドとパキスタンが領有権を争っているカシミール地方を通るためだ。インドは、中国が5月に開催した「一帯一路」の国際会議に出席しなかった。

インド政府の狙いはこうした投資により、インド企業の東南アジア市場へのアクセスを確保することにある。インドもまたASEANが発展地域だと認識し、そこへの影響力を強化しようとしているのだ。


■東南アジアの要はシンガポールにあり
8月21日、シンガポール付近のマラッカ海峡で、神奈川県の横須賀基地に配備されている米第7艦隊所属のイージス駆逐艦「ジョン・マケイン」が、リベリア船籍のタンカーと衝突した。駆逐艦は左舷の船尾付近を大きく損傷し、乗組員の寝台区画や通信室などが浸水したが、自力航行でシンガポールに入港した。この事故で死傷者が多数出たが、なぜこんな事故が起こったのか不明である。マラッカ海峡は狭いとはいえ、視界のいい早朝に駆逐艦が民間の船舶と衝突するとは信じがたい。

シンガポールはASEAN諸国の要の地である。マラッカ海峡の出入り口に位置しており、中東とアジアを結ぶ交通の要衝だ。中国は現在、世界最大の石油輸入国となり、中東からの石油に大きく依存している。そのために、シンガポールをどうしても影響下におきたい。

しかし、シンガポールは事実上アメリカと同盟関係にあり、シンガポールのチャンギ海軍基地はアメリカ海軍が使用できるようになっている。そして、アメリカ海軍はここに機動艦船を配備して、中国がこの海域での制海権を確保することを阻止している。

ただ、トランプ大統領は北朝鮮の若き独裁者・金正恩が“お気に入り”で、そちらとの舌戦にかまけている。南シナ海、ASEANは彼の関心外だ。これでは、ASEAN諸国はどうしていいかわからない。新興アジアを巡って、アメリカ、中国、インドという大国のプレゼンスが交錯している。しかし、日本は核を持たない単なる経済大国だから、こうした地政学的な争いから徐々に排除されようとしている。


新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2017年08月25日


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