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【新興ASIAウォッチ/第31回】ベトナムのバイク事情にみる経済の発展度

■安価な中国製バイクは消え再び日本製バイクが溢れる
現在、ベトナムのホーチミンに来ている。この原稿は、ホーチミンのホテルの部屋で書いている。部屋の窓から外を見ると、相変わらず道路にはバイクが溢れている。鉄道や公共交通が整備されていないホーチミンでは、市民の足はもっぱらバイクだ。そのバイクは、ほとんどが日本製、ホンダ、ヤマハ、カワサキである。今日も日系企業のオフィスを訪ねたが、ベトナム人社員はみなバイク出勤。ビル脇の駐車場(駐輪場)には、日本製バイクがずらっと並んでいた。

10年以上前になると思うが、日本製バイクが中国製バイクに逆転されて、ホーチミンの街を歩くと、中国製バイクばかりが目につくということがあった。当時は、安価な中国の工業製品の輸出ラッシュの時代で、バイクも中国製なら日本製の半額以下ということで、ベトナム人はみな中国製バイクに飛びついた。

しかし、いまや安価な中国製バイクは街から姿を消してしまった。
「あの頃は、安いということで日本製より中国製が売れました。ところが乗ってみるとすぐ故障する。それで修理に出しても部品がない。日本製は10年乗っても壊れない。それで、また日本製に乗り換えたんです」と、日系企業で働くベトナム人社員は口を揃えた。人気はダントツでホンダ。125ccクラスが中心で、「ホンダに乗っていると安心だし、それにホンダに乗っているというとみんな羨ましがる」と言う。現在、ベトナムの二輪車市場の約7割をホンダが占めている。ただし、日本からの輸出車ではなく、ほとんどが現地生産車だ。


■ミャンマーはいまだに安い中国製バイクが主流
というわけで、今回は、新興アジア諸国のバイク事情を考察してみたい。
というのは、この10月に訪れたミャンマーのヤンゴンで、ホーチミンとはまったく異なる光景を見たからだ。ヤンゴンでもバイクは市民の足となっているが、そのほとんどが中国製だった。街中のバイク販売店を見ても、売られているのは中国製ばかり。それも、「KENBO」「SUNBO」という一見して日本メーカーかと思われるブランド名のバイクが並んでいた。しかも、レンタルバイクとなると、みな中国製だ。

ミャンマーの道路事情はひどく悪い。それなのに、なぜすぐ壊れてしまうような中国製が主流なのだろうか?
「そうは言っても、中国製は安いんですよ。ホンダのバイクは150万チャット(約15万円)もする。中国製ならその3分1のたった50万チャットで買えるからね」と、販売店の店主は言った。 ミャンマーでも、10年ほど前まではバイクのほとんどはホンダ製のスーパーカブだったそうだ。ただし、それを買えるのは金持ちだけ。そこに、安い中国製バイクがどっと入ってきて、庶民がバイクを買えるようになった。そのため、日本製バイクのシェアは急激に低下して、あっという間に、中国製バイクがミャンマー市場の9割を占めるまでになったという。


■経済発展とともに「自転車→バイク→クルマ」に
ベトナムとミャンマーのこの違い。それを知って思ったのが、日本製バイクは経済発展のバロメーターではないかということ。ミャンマーはベトナムより10年は遅れているということだった。

ベトナムで日本製バイクが巻き返したのは、2005年にハノイとホーチミンでの1人1台の規制が廃止されたからだという。これで、2台目、3台目の需要が起こって、日本製バイクが一気に売れるようになった。この1台規制の廃止は、ベトナムの経済発展が背景にある。国民の所得が上がったからだ。

一般的に、モーターリゼーションは、経済発展とともに普及する。自転車→バイク→クルマという具合に。新興アジアでは、まだマイカーを持っている人は少ない。ただし、マイバイクは多くの人が持っている。そして、それに2人乗り、3人乗りしている。クルマは依然としてお金がある人間のものだ。ただし、走っているクルマを見るとほとんどが日本車だから、バイクとクルマに関しては圧倒的に日本ブランドが強い。ベトナム人にホンダが人気なのは、日本の最高ブランドだからだ。


■日本とはまったく違うベトナムの交通事情
ホンダは、これまで中国とタイを海外生産のグローバル拠点と位置付け、バイクの現地生産を行ってきた。ベトナムでは2工場を展開していたが、2015年からはハーナム省でベトナム国内で3番目の工場を本格稼働し、ベトナムを第3の拠点化している。それはこれからベトナムが「一家に1台から1人1台の時代に変わる」と見ているからだ。
ただ、バイクにしてもクルマにしても、クレジット販売ができないと、販売台数は伸びない。そこで、ホンダは伊藤忠と提携して保険代理店「コスモス・サービシズ・ベトナム」を設立し、保険ビジネスに参入している。

ベトナムの道路交通は、日本とはまったく違っている。まず、右側通行で、赤信号でも右折して構わない。さらに、クルマやバイクごとに走ってよい車線が決まっている。また、バイクに乗せた子供は乗車人数に含まない。大人の2人、3人乗りはよく見かけるが、これは違法。だが、子供は2人まではOKなのだ。こうしたことを見ても、ベトナムがいかに「バイク天国」で、今後もバイクが市民の足として活躍し続けるのは間違いないと思う。では、ほかの新興アジア諸国はどうだろうか?


■タイ、マレーシア、インドネシアも日本製バイク天国
タイは、日本のバイクメーカーがいずれも現地生産を行っていて、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4大メーカーの現地モデルが断然の人気だ。中国製はほとんど見かけない。日本製バイクは小型の125ccで5万バーツ弱と高いが、それでもよく売れている。タイ人は、テレビの次にバイクを買うと言い、冷蔵庫よりバイクのほうが普及している。すでにタイでは「一家に1台」の時代になっていて、これがやがてクルマに移行していくのは確実だ。

タイより「バイク天国」なのが、マレーシア。マレーシアの経済発展は、ここ数年、新興アジア諸国の中で傑出していて、鉄道やバスなどの公共交通はどんどん整備されてきた。ただ、まだまだバイクは多く、高速道路はバイク走行がOKで、バイク専用料金所が設けられている。もちろん、日本製バイクが主流だ。この国でも一時、中国製バイクが売れたが、いまやまったく見かけなくなった。

インドネシアは、世界のバイク市場から見ると、インド、中国に次ぐ第3位のバイク大国。10年前は200万台だった市場が、いまや4倍の800万台になっている。しかも、この市場の9割以上が日本製バイク。ホンダとヤマハ、スズキ、川崎重工業の日系4社で99%のシェアを占める。

タイ、マレーシア、インドネシアに比べて、カンボジアはベトナムに近い。カンボジアに行ってみて驚いたのは、小さな子供がバイクを平気で乗り回していたこと。しかも、ヘルメットを被っていない。さらに、2人乗り、3人乗りを平気でしている。首都プノンペンの街はバイクで溢れているが、朝は、高校生が2人乗り、3人乗りで通学していた。街のバイク販売店で聞くと、「いちばん人気はホンダのDREAM」ということだった。


■「新興アジア、バイク進化論」のこの先は?
というわけで、ここに「新興アジア、バイク進化論」という見方が成立する。
やがて、新興アジアもクルマ社会になるだろうが、それまでにまだ時間がかかる。その間、バイクが人々の移動手段の主流を占め、それが「安かろう、悪かろう」の中国製から「高くても技術がいい」日本製に変わった。そして、それが「一家に1台」から「1人に1台」となっていき、最終的にクルマの時代になる。(と思っていたら、「その前に自動車が自動運転車になるから、クルマの時代は来ないよ」という声もある)

ホーチミンの街で、日本製バイクばかりを見かけるのは、日本人として誇らしいことだ。これが、バイクだけでなく、家電製品も中国製から再び日本製になればどんなにいいかと思う。ベトナムにかぎらず、新興アジア各国を歩けば、日本はまだまだやれるではないかと思う。国内経済は低迷していても、新興アジアには日本の可能性が十分にある。


新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2015年12月25日


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