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【新興ASIAウォッチ/第19回】アジアの主要都市間を新幹線(高速鉄道)が結ぶ時代

日本で新幹線が開通した“良き時代”がアジアに

この10月、日本の新幹線は開通50周年を迎え、盛大な式典が開かれた。新幹線が開通した1964年は東京オリンピックの年で、日本経済は高度成長期にあり、世の中は明るく、希望に満ちていた。私は小学6年生で、国立競技場で日の丸の旗を振って日本選手団を応援し、東京駅に新幹線を見に行った。子供心に、「これから日本はすごい国になる」と思ったものだ。

そうした日本の“良き時代”が、これからアジアに訪れようとしている。この連載の第1回目で、シンガポールとクアラルンプールが新幹線(高速鉄道)で結ばれることを書いたが、同じような高速鉄道の計画が、いまアジア各国で目白押しだからだ。今回は、その計画を全部紹介し、日本の新幹線がアジアを走る可能性があるのかどうかを展望してみたい。

2020年開通のシンガポール―クアラルンプール新幹線

アジアの高速鉄道計画の筆頭が、シンガポールとクアラルンプールの間約300キロメートルを1時間半でつなぐシンガポールとマレーシア両国の合同プロジェクトだ。本連載ですでに紹介したように、両国は首脳会談で合意し、早ければ2014年(今年)の暮れには計画の詳細が決まり、入札が実施される可能性がある。完成は2020年(東京オリンピックの年)を予定していて、見込まれる総事業費は300億リンギット(約1兆円)とされる。

この受注を目指すJR東日本は、2013年の3月、シンガポールにアジアで初となる現地事務所を開設して、日本連合(JR各社や川崎重工業、日立製作所、三菱重工業、東芝、大林組など)を組んで、両国政府にロビーイングを行ってきている。ライバルは、ドイツのシーメンス、フランスのアルストム、中国の国鉄などだ。

はたして日本連合が受注できるかは予測不可能だが、高速鉄道と鉄道車両輸出に関しては、残念ながら、日本は世界に遅れをとっている。タイやベトナム、インドネシアなどには、一般鉄道向けに日本製の中古鉄道車両が輸出され、評判も上々だが、高速鉄道はシステム全体を受注するので、これらの評判の良さはあてにならないからだ。

中国主導で進む昆明からビエンチャン、バンコクへのルート

では、シンガポール―クアラルンプール以外には、どんな計画があるのだろうか? 現在、高速鉄道計画があるのは、ラオス、タイ、インド、ベトナム、インドネシアの5カ国である。このうちの全てに中国が絡んでいる。

中国政府は、すでに、雲南省の昆明からシンガポールまで高速鉄道を自国主導で敷設する構想を打ち出している。そして、まずラオスの首都ビエンチャンまでの建設を、ラオス政府から承認を受けて受注を固めている。この高速鉄道は山岳部を走るために時速は160キロとされ、昆明からラオス国境のシーサンバンナ(西双版納)を経由して、バンビエン、ルアンプラバンを通ってビエンチャンに至る総延長約421キロ、総額約70億ドルのプロジェクトだ。ただし、2013年には着工とされたが、まだ着工されていない。

この昆明―ビエンチャン線は、タイの高速鉄道とつながる。タイでは、現在、4本の高速鉄道を建設する計画が進んでいる。4本ともバンコクが起点で、南はラヨンとフアヒンの2ルート、北はチェンマイとノンカイの2ルートだが、北ルートは、最終的に中国の昆明とつながる。タイの軍政権は2014年7月に、北ルート2本の建設計画を承認した。建設開始は2015年で、2021年の竣工を目指すとされるが、これは中国が受注する可能性が強い。また、バンコクとラヨン間約250キロを1時間6分で結ぶ路線は、2019年に開通させる計画で、これらは来年初めにも入札を実施する見込みという。

日本勢がリードするインドの高速鉄道プロジェクト

インドでは、なんと7路線が計画されている。ニューデリーを起点としてジョドプールやパトナを結ぶ北部の3路線、アーメダバードからムンバイ、プネを結ぶ西海岸の1路線。東海岸のハウラーを起点とする1路線。さらに中央部のハイデラバードからチェンナイ、バンガロールを経てエルナクラムに至る1路線だ。これらの7路線は将来的につながり、インド政府は、全土が環状的に結ばれることを目指している。

しかし、どの路線もまだ計画・調査段階で、とりあえずは既存鉄道を利用しながら高速鉄道建設を混合させるプロジェクトとなっていて、最終ルートはまだ確定していない。ただし、インド政府はまずは最大商業都市のムンバイと工業都市のアーメダバードを結ぶ路線を先行させる方針を固めている。

じつは、この路線に関しては日本が有利とされている。というのは、ニューデリー―ムンバイ間の産業大動脈(DMIC)構想は日印の協力で進められてきたからだ。その一環として、日本政府はアーメダバード―ムンバイ間の約520キロで日本の新幹線を導入するようインド政府に働きかけ、すでに事業化調査が行われている。この作業は2015年7月ごろまでに終える予定になっている。また、南部のハイデラバードからチェンナイ、バンガロール路線も日本が実現に向けた調査を受注している。

ところが、ここに中国が割り込んできた。今年の9月、習近平主席がインドを訪問し、今後5年間で計200億ドルを援助し、チェンナイからバンガロールを経て同市に近いマイソールに至る鉄道網の高速化(時速160キロメートルに高める計画)を提示し、インド側の承認を求めたのである。インドの高速鉄道は、このようにまだ計画・調査段階だが、はたして日本がリードを保てるかは、やや不透明になってきた。

ベトナムとインドネシアの高速鉄道計画

ベトナムでは、早くから北部のハノイと南部のホーチミンを結ぶ約1600キロの高速鉄道計画があった。日本はここに新幹線導入を働きかけてきたが、2010年、ベトナム政府は新幹線の導入をとりあえず見送ることを決めてしまった。というのは、このプロジェクトは5兆円規模と莫大な予算がかかるため、採算性が疑問視されたのである。ただし、ベトナム政府は、代りに貨物と併用できる時速160~200キロの準高速鉄道プロジェクトを推進することになった。そのため、中国や韓国も参入を目指している。

インドネシアの高速鉄道計画は、ジャカルタを起点に、西はバンドン(フェーズ1: 全長約140キロ)、東はスラバヤに至る(フェーズ2:全長約730キロ)2路線である。日本のJICAは昨年の12月、ジャカルタ―バンドン間の「ジャワ高速鉄道開発事業準備調査(フェーズ1)」で建設コンサルタントの日本コンサルタンツなど5社と委託契約を結んだ。この調査は2015年3月までに終了する予定だ。インドネシアは親日国だけに、このまま調査が完了し、実現可能制が確定すれば、日本勢が受注する可能性が高い。

日本勢は技術はあっても鉄道インフラ全体ではバラバラ

というわけで、アジア各国では今後、高速鉄道が実現に向けて大きく動き出そうとしている。ここまで見てきたように、日本の新幹線が導入されるかどうかはまだ不透明だが、可能性は十分にある。ただし、日本の新幹線と鉄道インフラ輸出ビジネスは、世界的に見ると、かなりのビハインドがある。現在、アジアに限らず、世界中で高速鉄道計画が進められているが、これまで日本勢は目立った実績をあげていないからだ。

鉄道車両輸出に関しては、日本は世界有数の鉄道国でありながら、世界のメインプレーヤーではない。メインプレーヤーは「鉄道ビッグ3」とされる3社で、それは、ボンバルディア・トランスポーテーション(カナダ、世界の鉄道車両生産額の21%)、アルストム・トランスポート(フランス、同19%)、シーメンス(ドイツ、同16%)である。これら3社は車両の製造だけでなく、設備・保守・運営・管理など鉄道に関するほぼ全部門を擁して鉄道システム全体を、世界中に売り込んでいる。

この「鉄道ビッグ3」に対抗する日本勢のシェアは合わせて9%ほど。しかも日本勢は、JRの新幹線技術は優れているが、それに連なる川崎重工業、日本車輌製造、日立製作所など各社がバラバラである。さらに、ライバルとして、すでに新幹線技術を手にいれた中国や韓国勢も激しい売り込みを行っている。はたして、日本の新幹線がアジアを走る日が来るのかどうか? 今後、1、2年でその結果が出ることになる。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2014年10月24日


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