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【新興ASIAウォッチ/第13回】それでもマレーシアは「希望の国」

消えたマレーシア航空370便に隠せない不安

このコラムは、時局のニュースにはあまり捉われないようにしてきた。しかし、今回は、マレーシア航空機の失踪事件で、日本でも「マレーシアってどうなっているの?」という話が一般的に話されるようになったので、マレーシアについて取り上げてみたい。

現在、マレーシア航空機の失踪事件は、テレビのワイドショーでも連日取り上げられている。しかし、それを見ると、マレーシアを含めた新興アジア諸国に対しての誤解や偏見が、しばしば語られていることに驚く。日本人の一般的な傾向として、単に「海外は恐い」と考えてしまうようだ。

しかし、マレーシアは日本人の長期滞在者にとって人気ナンバーワンの国であり、また、母子留学先としても人気が高いように、治安や居住において問題がある国ではない。むしろ、日本と同じくらい平和でのどかな国だ。アジアでビジネスをやっている知人たちも、「クアランプールはバンコクやホーチミンに比べたらはるかに治安はいいし、安全だ」と言う。

ただ、マレーシアは多民族国家だから、社会の水面下には民族的な対立がある。そのため、政治的な与野党の対立が、最近は激しくなっている。またインドネシアからの移民が増えたので、この点も懸念されている。とはいえ、これらのことが、今回のマレーシア航空機の事件に影響しているとは思えない。

金融関係者も軍事専門家も首を傾げる“失踪”

「消えたマレーシア航空(MH370便)」は、現在のところ、なんらかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いとされる。ただし、テロやハイジャック事件としても、「なぜ、それがクアランプール発北京行きの便で起こるのかがわからない」と、知人たちは首を傾げる。

金融関係者も「大掛かりなマネーロンダリング、資金持ち出しなどで飛行機が使われることは、いまやほとんどない。なにしろ、いまはビットコインがあるので、キャッシュを動かすようなことはテロリストもやらない」と言う。また、軍事に詳しい知人は「今回のことで、中国人の被害者家族たちは“マレーシア政府は真相を明かしていない。マレーシア軍はなにかを隠している”と言っているが、彼らもなんだかわかっていないはずだ」と言う。マレーシア軍というのは、東南アジアでも屈指の近代的な軍で、いまは全力を挙げて捜索に当たっているとのことだ。

ちなみに彼に言わせると、「マレーシア海軍は、東南アジアでもっとも先進的で大規模な海軍で、英国製とドイツ製のフリゲート艦を擁し、最近はフランスとスペインの設計・建造による潜水艦も保持している。また、空軍も主力はアメリカのF-18戦闘爆撃機とロシアのSu-30MKM戦闘爆撃機の両方を持っていて、その能力は非凡だ」とのことだ。このようなマレーシアで、今回のような民間航空機が突場、失踪してしまうことは、想定外というか、ほとんど考えられないことと言っていいだろう。

『アジアで花咲け! なでしこたち』に登場した25歳

ところで、このマレーシア機の事件と前後して、NHKの人気ドキュメンタリー番組『アジアで花咲け! なでしこたち』では、マレーシアで子供ビジネスに邁進する25歳の女性が取り上げられていた。この番組は、アジア各地で自らの道を切り開こうとする日本人女性をクローズアップするもの。これまでは、カンボジアで“湖上の看護師”として活躍する前原とよみさん、フィリピンで“人生再起のレストラン”を経営する中村八千代さん、タイで“移動図書館”を運営する堀内佳美さんなどの“なでしこ”たちを取り上げてきた。

新興アジアの時代が幕開いて、いまや、日本の若い女性たちもアジアに積極的に進出しているのが、この番組を見ると実感できる。それで私も、毎回欠かさず、この番組を見てきた。そんななか、今回、取り上げられたのが木村希さんという25歳の女性だった。マレーシアに留学経験があった木村さんは、日本の大学を卒業すると同時にマレーシアに戻り、「Jkids Malaysia」という会社を立ち上げた。「Jkids Malaysia」は、日本のショッピングモールなどでもよく見かける子供向けの「室内遊戯施設」。日本でもビジネスとして成功していたが、マレーシアでも大当たり。2011年12月にオープンすると、あっという間に評判になり、いまではクアラルンプールで6店舗を展開するまでに拡大した。

暑いので公園があっても子供たちは外で遊ばない

なぜ、この子供向けビジネスが当たったのだろうか? また、なぜ、大学を卒業したばかりのフツーの“なでしこ”木村さんが、このビジネスをマレーシアで起業しようと思ったのだろうか?

木村さんは、番組でおよそ次のように語っていた。
「マレーシアに来てみると、すごく住みやすくて、周りの人たちがとても親切で、なぜか故郷に帰ってきたような感覚を覚えたんです。そこで、ここでなにかを始めたいと思いました」

「なにをしようか考えていたとき、マレーシアの子供たちは、いつもいったいどこで遊んでいるのだろうと、ふと思いました。とても暑い国ですから、公園があっても、そこで遊んでいる子供たちの姿を見かけません。それで、子供たちが集まる施設を室内につくったらと思ったのです」

おりから、日本では子供たち向けの「室内遊戯場」が流行り出していた。それで、木村さんは、これが東南アジアでもできないかと、8カ国をリサーチ。いちばんよく知っているマレーシアで実行に移したというわけだ。

小柄なポジティブ系ギャルの未来を読む力

NHKのホームページには、番組ディレクターの次のような紹介文が掲載されている。
《今回のなでしこは、マレーシアで子ども向けの屋内遊戯施設を経営する25歳、木村希さんです。首都、クアラルンプールの商業施設の中に、木村さんの遊戯施設はあります。開放感に溢れる店内には、大きな遊具とたくさんの親子。木村さんの第一印象は、「小柄なポジティブ系ギャル」。自分を温かく受け入れてくれたマレーシアに恩返しがしたいと、親子の為により楽しい遊び場づくりに挑戦し続ける木村さん。遊具業者とのやりとり、30人いるスタッフのシフト管理といった多くの仕事を、笑顔でこなします。》

もちろん、25歳のなにも持たない若い女性が、アイデアだけで起業できるわけがない。しかし、幸いなことに、木村サンのポジティブさに、出資してくれる日本人パートナーが現れた。それで、木村さんは日本に戻り室内パークの運営会社でノウハウを学び、再びマレーシアに渡ったというわけだ。

この木村さんの例が表しているのは、マレーシアという国が起業しやすい環境にあること。そして、もう一つ、今後、発展する余地が大きい「若い国」だということ。実際、マレーシアは出生率も高く、人口も若く、子供たちの数も多い。ここに目をつけた木村さんは、未来を読む力があったと言えるだろう。

マレーシアは人口ボーナス期にある「若い国家」

国連の統計によれば、2008年に2770万人だったマレーシアの人口は、2020年には3200万人に達するという。これは、人口が年率1.3%で増加していくということ。現在、マレーシアの
65歳以上の人口は4.5%で、2020年でも7%にしかならないという。これは、高齢化率がすでに20%を超えた日本と比べたら、本当に「若い国家」と言える。

本コラムを読まれている方ならご存知なように、人口とその年齢別の構成は、一国の経済成長に対して大きな影響を及ぼす。人口の構成年齢が若くて増加している状況を「人口ボーナス期」と呼び、マレーシアはまさにその渦中にあるのだ。それでも投資家は、マレーシアの人口が隣国のタイの2分の1以下、インドネシアの8分の1以下であることから、マーケットの小ささを懸念する。しかし、人口サイズが小さくても、国民一人一人に教育が行き届き、国民の働くモチベーションも高いので、やはりマレーシアは新興アジアでも有数の「希望の国」と言えるだろう。

現在、マレーシアでは急速に中流階層が育っている。そういう階層の子供たちが、木村さんの「室内遊戯施設」を利用している。

今年は国を挙げての「マレーシア訪問年」

じつは、2014年の今年は、「マレーシア訪問年」である。これは、マレーシア政府が行っている旅行者獲得キャンペーンで、1990年、1994年、2007年に次いで今年は4回目だ。つまり、国を挙げて海外からの旅行者を呼び込むキャンペーンを行っている最中に、今回のマレーシア航空機の失踪事件が起きたのである。

マレーシア政府によると、今回の訪問年の目標旅行者数は、2800万人という。これは,現在、日本政府が必死に行っている「ビジット・ジャパン」キャンペーンを大きく上回っている。日本を訪れた外国人観光客数は、昨年やっと1000万人を突破したばかり。2020年の東京オリンピックまでに2000万人を目指すとされているが、それでもマレーシアには及ばない。

ビーチリゾートのペナン、高原リゾートのキャメロンハイランドなど、数多くの観光資源に恵まれたマレーシアは、今回の飛行機事件をものともせず、今後も発展していくのは、間違いないだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2014年03月24日


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