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近年、日本の主要な空港でもデジタル化が進んだことで、パスポートと指紋の照合による自動ゲートでの出入国審査が可能となりました。以前のように重い荷物を持ちながら長蛇の列に並ぶこともなくなっており、テクノロジーの進化のありがたさを感じている方は多いと思います。
しかし、デジタル先進国シンガポールでは、日本よりもさらに踏み込んだ出入国審査のデジタル化が推し進められています。
シンガポールの空の玄関口であるチャンギ国際空港では、2024年8月から「トークンレス・クリアランス」と呼ばれる新たな自動出入国管理システムを導入。6歳以上のシンガポール人、永住権(PR)保有者、就労ビザなどの長期滞在ビザ保有者であれば、事前に登録した自身の顔や目の虹彩を生体認証として利用することで、パスポートの提示すらなしに自動ゲートでの出入国審査を行うことができるようになっています。
こうしたパスポート不要の自動出入国管理システムを本格的に導入するのは、シンガポールが初。シンガポール入国管理局(ICA)によると、従来の自動出入国管理システムでは1人当たりの平均クリア時間は25秒だったものの、「トークンレス・クリアランス」の導入によって10秒にまで短縮されたといい、アジアのハブ空港としてますます効率化が進んでいるようです。
海外からの旅行者であっても自動ゲートを利用することは可能ですが、シンガポールへの入国時にはパスポートの提示が必要となります。ただし、その際に生体認証のための情報を登録することができるため、出国時にはシンガポール居住者と同様にパスポートの提示なしでのよりスムーズな審査を行うことが可能です。
1. シンガポール到着の3日前までに「Singapore Arrival Card(SGAC)」を利用して入国情報を登録。
※ICAの公式サイトまたはMyICAのモバイルアプリから手続き可能。
2. 自動化ゲートでパスポートを読み取り。
3. 目の虹彩や顔、親指の指紋を登録。
4. 入国情報登録時のEメールアドレス宛てに電子訪問パス(e-Pass)が届く。
※ICAの公式サイトでも入手可能。
「トークンレス・クリアランス」は、2024年12月16日からクルーズ船ターミナルであるマリーナベイ・クルーズセンター・シンガポール(MBCCS)でも運用が開始されます。今後は海路の出入国審査においてもパスポートなしでの自動入出国審査が可能となり、よりストレスフリーな移動ができるようになりそうです。
一方、陸路においては「トークンレス・クリアランス」が導入される予定はありません。これには、事前に乗客名簿を提供できる空路と海路だからこそ運用が可能なシステムという事情があるようです。
ただし、その代替として陸路では、パスポートの代わりにQRコードを提示することで出入国審査が受けられる新システムの導入が、2024年3月から段階的に進められています。
同システムは、隣国マレーシア・ジョホール州への玄関口として西部トゥアス(セカンドリンク)と北部ウッドランズ(コーズウェイ)に設けられている2つの国境検問所に導入。QRコードは、ICAの公式アプリ「My ICA」にパスポート情報を登録することで取得可能で、シンガポール人、PR保持者、長期滞在ビザ保有者、過去にシンガポールを訪れたことがある外国人は、それを設置されている自動ゲートにかざすだけで通過することができます。
すでに自動車旅行者、バス運転手、オートバイとタンデムライダーのシステム利用が可能となっていますが、2024年12月16日からはバスの乗客にも対象を拡大。最終的にICAは、2026年に西部トゥアス、2028年に北部ウッドランズで出入国審査を完全に自動化させる方針のようです。
新システムの導入により、これまで審査官が目視等でチェックしていた時間と比べて30~40%の短縮が図れているといい、シンガポールとジョホール州の経済圏化の流れには追い風となりそうです。
投稿更新日:2024年12月13日
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