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やや旧聞に属するが、今年の9月14日、シンガポールの第8代大統領に前国会議長のハリマ・ヤコブ氏(63)が就任し、シンガポール初の女性大統領の誕生として話題になった。といっても、日本ではほとんど報道されなかった。
というのは、女性大統領の誕生といっても、いまやそれほど珍しいことではないこと。そして、誕生の経緯が選挙ではなかったこと。さらに、シンガポールでは大統領といっても大きな権限があるわけではない名誉職に近いからだった。とはいえ、日本では女性が国のトップになったことはない(古代史は除く)ので、今回はこのことを考えて見たいと思う。
先日行われた日本の総選挙(10月22日)では、当初「希望の党」を立ち上げた小池百合子都知事が注目の的になった。当初、政権選択選挙になれば、日本初の女性総理の誕生もあり得ると思われた。ところが、ご存知の通り合流するはずの民進党議員に「踏み絵」を踏ませ、あろうことか党首なのに出馬をやめてしまった。私はこのことを徹底的に批判したので、この原稿には書かないが、彼女はなにかをはき違えていたのは確かだ。
それがはっきりわかったのが、パリ出張でアメリカのケネディ前駐日大使と対談し、その中で、総選挙には「鉄の天井があった」と話したことだ。彼女は、「都知事に当選してガラスの天井をカーンと1つ破ったかな。もう1つ、都議会の選挙というのがあって、そこもパーフェクトな戦いをして、ガラスの天井を破ったかなと思いましたけれども、今回総選挙があって、鉄の天井があるということをあらためて知りました」と発言したのである。
ということは、彼女がやろうとしているのは東京、そして日本を改革することではなく、単に自分が初の女性リーダーになるということにすぎないということだ。いったい、都知事選のどこに「ガラスの天井」があったのだろうか? そして、総選挙のどこに「ガラスの天井」があったのだろうか?それに本当に「ガラスの天井」を突き破りたいのなら、なぜ、総選挙に出なかったのだろうか?
挑戦もしないで、「ガラスの天井」を突き破れなかったと言うのは、日本という国を舐めているとしか私には思えないが、どうだろうか。
じつは私は、日本には女性に対しての「ガラスの天井」は存在しないと思っている。それは日本ばかりか、東アジア、東南アジアなどでも同じだと思っている。というのは、アジアでは昔から男尊女卑が続いているとはいえ、それは表面的なことにすぎないからだ。つまり、表向きの「ガラスの天井」はあるが、女性たちが無理してそれを突き破る必要がないような社会になっているのが、このアジアなのである。
とくにこのことを強く思うのが、日本のサラリーマンと専業主婦の関係だ。夫は給料を丸ごと妻に渡し、そこからお小遣いをもらって暮らしている。こんな国は私が知る限り存在しない。これはどう考えても、女性が「主」で男性が「従」である。こんな暗黙のシステムがあるのに、はたして女性がわざわざ表に出て実権を握ろうとするだろうか?
日本女性は、本当は強い。そして賢い。だから、それを表に出さない。日本ばかりか、韓国、台湾、中国もそうである。さらに、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、インドなどでも女性は男性より強い。これは、論理的には説明できないが、実感でそう思っている人は多いのではないだろうか?
というわけで、シンガポールで誕生した女性大統領だが、告示されて立候補した人間5人のうち4人が、なんと立候補資格を満たさなかったため、ヤコブ氏の無投票当選での選出が決まったのだった。選挙が行われなかったことを受けて、野党支持者を中心に抗議集会が開かれた。しかし、集会は盛り上がらなかったのである。
というのも、ヤコブ氏のこれまでの実績が、圧倒的に国民の支持を得ているからだ。彼女は1954年生まれの63歳で、小池百合子氏と同世代。ただ、生まれは貧しく、警備員をしていた父はヤコブ氏が8歳のときに亡くなっている。そのため、母親が屋台で働き、女手一つで彼女を育てた。
彼女は努力家で、シンガポール国立大学に入学し、法学のマスターを取って、シンガポール全国労働組合会議 (NTUC) に就職。その後、弁護士としての仕事を忠実にこなし、2001年の総選挙で政界入り。以来、地方自治開発・青少年・スポーツ省、社会家族開発省などで大臣を経験し、2013年には女性初の国会議長に就任している。
シンガポールは、日本では「明るい北朝鮮」などと、故・リークアンユー首相から続く独裁政権を揶揄する向きがあるが、女性の社会進出においては日本より進んでいる。シンガポールでは共働きが一般的であり、男女間の給料格差も小さい。2015年2月の「女性の社会進出度調査」では、アジア太平洋の16ヵ国・地域中、シンガポールは第4位、日本は第13位となっている。
こういう点を見ても、なぜシンガポールを「明るい北朝鮮」などと呼ぶのか、私にはよくわからない。これは、日本人が自国を皮肉を込めて「世界でもっとも成功した社会主義国」と言うことと同じかもしれないが、シンガポール人自身は自国をそんな風には言わない。まして、シンガポール女性は自分の国をそんな風に言われたら、怒り出すだろう。
話がそれそうになったので戻すと、歴史的に見てもアジアでは女性リーダーが数多く誕生している。たとえば、インドでは1966年にインデラ・ガンジー首相が誕生し、その後1980年に再登板している。さらに、2007年プラティバ・パティル氏がインド初の女性大統領となり、2012年まで務めている。
インドより女性リーダーの誕生が早かったのがセイロン(現スリランカ)で、1960年に世界で初の女性首相にシリマヴォ・バンダラナイケ氏が就任している。また、彼女の娘のチャンドリカ・バンダラナイケ・クマーラトゥンガ氏は1994年にスリランカの第5代大統領となっている。
パキスタンではベーナズイール・ブットー氏が1988年、イスラム諸国家における初の女性首相になっている。バングラディシュでも1991年にカレダ・ジア氏が首相に就任している。さらに、フィリピンでは1986年にコラソン・アキノ氏、2001年にグロリア・アロヨ氏と、2人の女性大統領が誕生している。
また、タイでは2011年にインラック・シナワトラ氏がタイ初の女性首相となっている。そしてつい最近、ミャンマーでアウンサン・スーチー氏が国家顧問(最高権力者)の座に就いた。
忘れてはならないのは、日本が属す東アジアである。ここでもまた、女性リーダーが誕生している。2013年には韓国で朴槿恵大統領が誕生し、2016年には台湾(中華民国)で蔡英文総統が誕生している。こうして見てくると、小池百合子氏がなぜ自らチャンスを逃したのか、本当にわからない。ただ、日本でも女性リーダーが誕生しても、なんらおかしくない状況になってきているのは確かだろう。
10年ほど前、薄幸の黒人女性が1人の人間として自立していく姿を描いたベストセラー『カラーパープル』(スピルバーグ監督で映画化された)の作者アリス・ウォーカー氏が来日し、外国人記者クラブで会見が行われた。そのとき、彼女が言った言葉が、私はいまも忘れられない。
「女性がリーダーになれば世界はもっと幸せになります。私たちは男たちのように争いませんから」
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2017年10月26日
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