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シンガポールの2025年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数、速報暫定値)が0.87と、過去最低を更新したことが波紋を広げている。シンガポールではこの10年ほど、出生率は1.0〜1.2で推移してきた。それが、2023年に初めて1.0を下回って0.97を記録。そこからさらに0.1ポイント下がったのだから、政府の衝撃は大きい。
国会で、ガン・キムヨン副首相は、「新たな対策が講じられなければ、40年代初めまでに人口減少に転じる可能性がある」と危機感を露わにした。シンガポールの総人口は約611万人。このうち約3割の191万人が外国人だ。
2025年、シンガポールで生まれた子供の数は、約2万7,500人で、これも過去最低を記録。少子化は、人口の高齢化も招き、現在、シンガポールの高齢化率(65歳以上の割合)は20.7%に達している。
これまでシンガポールは、少子化対策の一環として、移民を積極的に受け入れてきた。それにより、人口は2000年の約400万人から、前記したように約611万人にまで増えた。今後も5年にわたり、毎年、2万5,000~3万人を受け入れる方針だが、多くの問題が生じている。
そのひとつが、住宅や交通などインフラの逼迫。外国人労働者や移民の増加に住宅供給が追いつかず、公営住宅(HDB)の購入難、家賃の高騰が起こっている。また、世界で最も厳しい交通規制を行っているにも関わらず、常に渋滞、遅延が発生している。
もうひとつは、移民が増えるにしたがい、社会に軋轢が生じていること。いわゆる、旧住民と新移民の対立、民族の対立だ。シンガポールの民族構成は、華人が約75%、マレー系が約15%、インド系が約7%となっていて、圧倒的に華人が多い。この華人比率を維持するために、中国本土から多くの移民を受け入れたため、中国の影響が大きくなりすぎたことも、この問題を加速させている。
ここで、アジア全域に目を向けると、シンガポールだけで少子化が加速しているわけではない。アジア各国は、軒並み出生率の低下に見舞われている。ひどいのは韓国と台湾。韓国は2023年に0.72を記録。その後やや改善したとはいえ、2025年は0.8(速報暫定値)で世界最低レベルにある。この韓国を下回ったのが台湾で、2025年は0.72(速報暫定値)と予想されているので、世界ワーストワンになる。
中国も少子化は深刻だ。2023年に0.99となって1.0を切り、その後も下がっている。ともかく、アジア各国はほとんどが少子化。タイは2021年には1.33まで下がり、2025年の予測値では1.0を切った。マレーシアは1.6、フィリピンは1.7、ベトナムでさえ1.93である。
では、日本はどうか? 日本の出生率は、人口維持水準(約2.07)を下回った1975年から約50年間も続き、2025年は1.13(速報暫定値)と過去最低を記録。出生数も約68万人で過去最低。いずれ、1.0を下回るのは確実とされる。
話をシンガポールに戻す。これまでシンガポールは、さまざまな少子化対策を行ってきたが、いっこうに回復しない。なぜ、回復しないのか? 日本への教訓のためにも振り返ってみたい。
シンガポールの少子化対策は、1980年代にさかのぼる。シンガポールでは、出生率が2.0を切ったころから、政府が結婚して家庭を持つことを奨励し、出会いイベントなどを実施するようになった。そんな中、1986年に大きなショックが訪れる。なんと出生率が1.5を切って1.43を記録したのだ。
慌てた政府は、1987年に「3人以上の子供を持とう」というスローガンを掲げて、出産奨励金や税制優遇措置を打ち出した。これにより、出生率は一次的に回復したが、1999年に再び1.5を切った。
そこで、政府はさらに政策を強化し、第2子、第3子を対象とした子供のための積立を援助する「ベイビーボーナス」、「婚約・結婚カップルの公営住宅(HDB)購入の優遇」、「育児休暇制度の充実」などを導入した。しかし、出生率は改善しないばかりか、さらに低下した。
なぜ、出生率はまったく上向かなかったのか? それは、子供を産めば優遇するという、いわゆる子育て支援が対策の中心だったからだ。
すでに日本でも明らかになっているが、少子化の最大の原因は、適齢世代が結婚をしなくなったこと(いわゆる非婚化)だ。少子化と婚姻数は連動している。結婚するカップルが減ったので、子供が生まれなくなったのである。
では、なぜ婚姻数が減ったのか? さまざまなことが言われているが、若者たちの間に、結婚、出産・子育ては大変、経済的な負担が大きいという認識が広まったことが大きい。適齢期の若者は結婚したくないとは思っていない。結婚を望んでいる。しかし、こうした認識が結婚へのブレーキとなっている。
この認識に拍車をかけているのが、女性の高学歴化。かつてシンガポール国立大学(NUS)が調査したデータでは、シンガポール女性は結婚相手に自分より身長が高いこと(67%)、年上であること(55%)、高収入であること(44%)、知的であること(35%)、高学歴であること(23%)を求めている。
この望みにかなう男性がどれほどいるだろうか? いたとして、そういう相手に出会う機会、場所は限られている。シンガポール女性の大学進学率は、2020年に7割を超えた。
このような状況から、ネット社会になったこともあり、世界各国で人気を集めているのがマッチングアプリ(マチアプ)である。マチアプなら、希望する相手に出会う機会、場所をそれこそいくらでも提供してくれる。
そこで、シンガポール政府は、出会う機会、場所を提供するために、マチアプを奨励・支援するようになった。人気のマチアプはいくつかあるが、たとえばその中のひとつ、CMB(Coffee Meets Bagel)は、政府発行の身分証明書「Singpass」と連携し、登録者の身元保証を強化している。
現在、シンガポールではマチアプで出会って結婚する「マチアプ婚」が増えている。しかし、結婚数そのものは増えていない。逆に減っている。出生率もガタ落ちだ。
じつは、日本も同じ。少子化対策として期待されたというのに、空振りに終わっている。マチアプが「婚活」の新兵器という見方は間違っていたと言える。
なぜ、マチアプは効果をあげないのか? マチアプに登録すれば、アルゴリズムが次々に「相手」を紹介してくれる。この次々がいけない。リアルなら、次々には膨大な時間がかかるが、アプリならかからない。
しかも、アプリならスクロールするだけ、次の相手、次の相手が出てくる。その結果、もっといい相手がいるのではと、「次々」は「次々のループ」となり、最終的に決断力を奪ってしまうのだ。いわゆる「青い鳥症候群」である。
すでに知られるようになったが、マチアプの成功者は、一部のモテ層(恋愛強者、高学歴者、高所得者)だけである。大量の脱落者を生んでいる。マチアプは、じつは「非婚化・晩婚化」を促進しているとも言えるのだ。
それなのに、2024年に東京都は税金を投入して官製マチアプ「TOKYO縁結び」を立ち上げた。運用約1年間で、成婚80組、真剣交際216組で成果は上々と報道されたが、なにかの間違いである。東京都に続いて、全国の自治体でマチアプの導入・運用が拡大している。シンガポールに学ぶなら、いまのところ少子化に妙薬はない。
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※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2026年04月28日
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