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日中対立が激しさを増すなか、タイでは日本車が中国EVに駆逐される雲行きになってきた。すでに昨年、このコラムで「このままでは危ない」と危惧してきたが、それがいよいよ現実のものとなってきた。
タイのクルマ市場は、ASEAN全体の約2割を占める主要市場。そこで、日本勢9社の販売シェアは、今年1~10月に前年同期より6.6ポイント低下して69.8%となり、ついに7割を割り込んだのである。
タイ市場といえば、これまでは日本車の「金城湯池」。2010年代はほぼ9割だったが、コロナ禍明けから低下の一途。2023年には一気に77.8%に急落し、昨年はかろうじて7割を維持したが、今年はとうとう7割割れとなり、来年は5割割れが確実な情勢である。
改めて指摘するまでもないが、中国EVの販売攻勢は凄まじい。2022年以降、中国のEVメーカーは、怒涛のようにタイに進出し、温暖化対策に本腰になったタイ政府の手厚いEV補助金により、どこよりも廉価なEVによって日本車の牙城を崩してきた。
この10月、最大手の比亜迪(BYD)はEVセダン「シール(Seal)」を最大38%もディスカウントして販売。上海汽車(SAIC)も、BYDに負けられないとハッチバック型EV「MG4」を27%値引きした。さらに奇瑞汽車(CHERRY)は、新型車「ジェイク-J5」を特別価格で販売し、納車2ヵ月待ちにもかかわらず約2万台受注した。
こうした販売攻勢により、中国3社の販売台数はいずれも20%以上も急増し、日本のHVから中国EVにシフトする動きが加速している。
このようなタイ市場の変化に日本勢はついて行けず、とうとう生産縮小に乗り出した。ホンダはこれまで2ヵ所の工場で完成車を生産してきたが、2026年以降に1ヵ所に集約することを決めた。三菱自動車は2027年までに、3ヵ所ある工場のうち1つをクローズすることになった。
悲鳴を上げているのは、自動車メーカーだけではない。下請けの日系の部品メーカーは、これまで東南アジアに積極的に進出し、その企業数は中国や北米より多いから、先行きが真っ暗になってしまった。
これまでトヨタは、タイで国民車と言われるピックアップトラックの人気No.1の「ハイラックス」などで、市場の3〜4割を握ってきた。しかし、もう安住はできない。慌ててEVシフトを進めるとともに、中国勢に対抗するため、HVの「ヤリスクロス」の廉価販売に踏み切った。
トヨタを筆頭とする日本勢は、ご当地の日本でEVがまったく普及しないこともあって、EVシフトに大きく出遅れた。また、アメリカが温暖化をフェイクとするトランプ大統領になり、ガソリン車を復活させたこと。さらにEUがガソリン車(HVを含む)の販売禁止を先送りしたことなどで、この変化を見誤ったと言える。とくにトヨタは「全方位」政策をとってきたことが、東南アジア市場では致命傷になりつつある。
いまだに、EV車よりもガソリン車の方が優れているという風潮があるが、東南アジアではこれが通用しない。熱帯気候で冬がない東南アジアでは、電気料金が安く設定されていている。そのうえ、最近はバッテリーの質が向上し、価格も大きく下がった。つまり、コスト面でEVの方がHVを含むガソリン車よりもパフォーマンスがよくなったのだ。
中国EVが日本車を駆逐する動きは、タイばかりかインドネシア、マレーシア、ベトナムなどでも起こっている。インドネシア市場はタイと並ぶ主要市場だが、2024年の日本車のシェアが初めて9割を下回った。インドネシアといえば、日本車以外は見かけないとう日本車独占市場だった。それが、今年の1~10月は82.9%まで下落した。
ベトナムは、トヨタ、三菱が強かったが、国産メーカーのビンファストが急成長して、2024年にシェアで首位となった。その原動力となったのが、国産EVである。このEV市場に中国勢も参戦しているので、日本メーカーのシェアは今後どんどん落ちていくと思われる。
ベトナムといえば、クルマよりバイク。東南アジア一のバイク大国で、日本のホンダが圧倒的人気(市場占有率約8割)だが、ここにも暗雲が垂れ込めている。ベトナム政府は今年7月、2026年7月から首都ハノイの中心部で、化石燃料で走る2輪の走行を禁止すると決定したからだ。
クルマに限らず、東南アジアでは今後ガソリンエンジンはなくなると見て間違いない。
いまやEVといえば中国。2024年には新車販売の約48%を占め、補助金、独自のダブルクレジット制度、BYDなどの低価格モデル投入、充電インフラの整備などで、EV市場は急拡大している。その結果、国内のいたるところに「EV墓場」ができるという状態だが、そんなことはものともせず、生産拡大が続いている。もはや、EVは中国抜きには語れず、中国EVに勝てるEVは世界になくなったと言ってよい。
中国のEVシフトの影響を最も受けたのは、言うまでもなく日本である。中国における日本車のシェアは2024年には10%台まで低下し、とくに得意とするHVで現地メーカーとの価格競争やスマート化の遅れが深刻化して、市場をさらに失いかねない状況だ。
トヨタはなんとか健闘するも、日産、ホンダは苦戦。三菱は、エンジン車生産からの撤退を決めている。ここに高市発言による「日中対立」の深刻化が、追い討ちをかける。今後、中国では日本車はほぼ見かけなくなると見ていいだろう。
EVを世界で最も推進してきたのは欧州だが、中国のようにシフトは進まず、現在やや停滞気味だ。今年の推計シェアは15.4%で、HVが35.3%と圧倒的に強い。そんな中で、日本車のシェアは15%と大きくはないうえ、伸びていない。テスラや中国車へのEVシフトが進んでいるからだ。
この状況は、欧州メーカーを窮地に追いやっているので、12月17日、EU委員会はエンジン車の新車販売を2035年から原則禁止する政策を撤回する方針を発表した。これにより、欧州のEVシフトが遅れるのが確実となったが、逆行するわけではない。
欧州自動車工業協会(ACEA)によると、今年の1~10月のEU諸国と英国を含めた欧州全体でのEVのシェアは、前年同期比26.2%の増加となっている。コロナ禍の2020年から2022年、欧州のEV販売は落ち込んだ。しかし、2023年から持ち直し、現在は拡大基調にある。このまま行けば、EVシフトはさらに加速するだろう。
日本メーカー、とくにトヨタはこんなに早くEV時代が来るわけないと考えていたと思う。そのため、全方位戦略をとり、それが功を奏して「勝ち組」となった。しかし、その天下がいまや、東南アジアから崩れつつある。いつの間にかEVシフトは加速期に入った。これは、日本経済にとって深刻なことである。
現在のところ、温暖化対策から見てもHVの方がEVより優れている。しかし、今後HVがさらに発展するとは思えない。対してEVはバッテリーを含め、今後さらに技術革新が続くだろう。
はたして日本車の牙城だった東南アジアはどうなるのか? 数年後、バンコクやジャカルタで日本車を見かけなくなることがないように、切に願っている。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2025年12月25日
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