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【新興ASIAウォッチ/第147回】ミャンマーに眠るレアアース争奪戦

ミャンマー北部で勃発している争奪戦

米中の関税戦争で、最大の問題となったレアアース。かつての日中対立でも、中国の“切り札”となり、今回の「高市発言」による対立でもまた同じことが起こるのではないかと心配されている。

そんな中、世界が注目しているのが、ミャンマーの北部、中国との国境地帯に眠るレアアースである。日本ではほとんど報道されていないが、現地では国軍と対立する民族武装集団に、米中などが絡んで激しい争奪戦が繰り広げられている。

そこで今回は、まずレアアースとはなにか? そして、なぜレアアースでミャンマーが注目されるのか? レアアースをめぐってミャンマーでなにが起きているのか?を、述べてみたい。

レアアースとはなにか?なぜ貴重なのか?

希土類と言われるレアアースは、31種類の希少な金属のレアメタルのうち、スカンジウム、イットリウム、ランタノイドなど15種類の元素を合わせた計17種類の元素の総称だ。分離が困難で、特定の特性を持つため、スマホ、パソコン、EVのモーター、風力発電機、光ファイバー、医療機器などに使われている。つまり、現代のハイテク製品に欠かせないもので、「産業のビタミン」と言われている。

レアアースは世界に広く存在するとされているが、問題は資源としてのレアアースはほぼ中国が独占していることだ。中国のレアアース埋蔵量は世界全体のほぼ半分とされ、採掘・生産においては約7割を占めている。さらに圧倒的なのが、その精錬能力。中国はレアアースの精錬で9割超を握り、世界のサプライチェーンは中国抜きには成立しない。

日本の南鳥島付近の海底には、膨大な量のレアアースが埋蔵されるとされ、ようやく日米共同で開発されることになったが、まだ試掘もできていない状態。また、アメリカもレアアースを採掘・生産しているが、採掘された鉱石の精錬・製品化を中国に依存しているという状態だ。

ミャンマーは世界第3位の生産国

次は、米地質調査所(USGS)による世界のレアアース生産ランキング(2024年)である。

1位 中国:27万トン
2位 アメリカ合衆国:4万5,000トン
3位 ミャンマー:3万1,000トン
4位 オーストラリア:1万3,000トン
5位 ナイジェリア:1万3,000トン
6位 タイ:1万3,000トン
7位 インド:2,900トン
8位 ロシア:2,500トン
9位 マダガスカル:2,000トン
10位 ベトナム:300トン

なんとミャンマーは、中国、アメリカに次いで、世界第3位。つまり、ミャンマーはレアアースの採掘・生産においては世界でも主要なプレーヤーなのである。

ミャンマーのレアアースは、とくにジスプロシウムとテルビウムという鉱石が豊富で、これはEVのモーターなどには欠かせない素材。これまでは、ほとんど中国に供給されてきた。ところが、2021年に国軍により民主政権が倒されると、国軍と武装勢力などによる争奪戦が始まったのである。

国境の街パンワ、チプウィは犯罪の温床

ミャンマーのレアアース鉱山は、ほぼすべてが北部のカチン州にあり、大半は中国との国境沿いにあるパンワ、チプウィという2つの町の周辺に点在している。山岳地帯で冬には時折雪が降るというこの地域は、長い間ミャンマーの国軍と結託する地方軍閥が支配していた。

彼らは農民に森林の樹木を伐採させ、畑では麻薬用のケシの栽培をさせ、中国に密輸して儲けてきた。よってこの地は、密猟者、麻薬組織、人買い、武器商人などが入り乱れる地域だった。そこに、2010年代半ばに、中国南部から鉱山労働者らがやってきて、レアアースの採掘を本格的に始めたのである。

レアアースの採掘は環境汚染を招く。山肌は削られ、化学薬品と土、水が混ざった、濁った青緑色の液体が流れ、一帯は汚染された。さらに、労働者たちの間でギャンブルと薬物使用がまん延し、さらに特殊詐欺グループも乱入し、2つの町は猥雑な犯罪拠点に変貌した。

中国利権を奪おうとアメリカなど各国が暗躍

2021年、国軍によるクーデターが勃発。その後、ミャンマーは国軍、民主組織、地方の武装民族集団などによる内乱状態に陥った。レアアースとケシ栽培による麻薬は“宝の山”だから、それを巡って武力衝突が激化。昨年から今年にかけて、少数民族の武装勢力の1つ「カチン独立軍(KIA)」が国軍を破って、この地域を占拠した。現在、パンワ、チプウィという2つの町はKIAの支配下にある。

このような状況の変化に、中国はもちろん、これまでの鉱山およびルートを確保する動きに出たが、アメリカも首を突っ込んできた。中国に搾取されてきた不満を吸い上げ、KALなどの民族武装組織に接触している。さらに、インドやロシアなども参加していると伝えられる。

レアアース確保のために、今、世界中が動いており、背後には各国の名だたる企業、そして政府組織が暗躍している。

深刻な環境汚染と見せかけだけの総選挙

レアアースの採掘・生産は、深刻な環境汚染を生き起こすため、規制が厳しい先進国では難しい。しかし、ミャンマーは内戦で無秩序状態のため、鉱山開発は過熱する一方になっている。

採掘・生産による環境汚染は、タイやラオスなど周辺国にも及んでいる。タイ政府は最近、メコン川やその支流でヒ素や鉛などの有害物質が検出され、最大で基準値の5倍に上っていると公表した。水が汚染されるため、子供たちには深刻な健康被害が出ている。

そんな中、ミャンマーではこの12月後半から来年1月後半にかけて総選挙を行うと国軍が発表している。これは国際社会にアピールするための、「見せかけだけの総選挙」であるのは確実。はたしてミャンマーは、今後どうなるのか?レアアースの争奪戦と環境汚染は、当分続くのは間違いない。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2025年11月27日


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