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ビジネスで多忙を極める方にとって、日々の家事や育児はやはり大きな負担となるもの。しかし、シンガポールでは住み込みで家事手伝いを行う「ヘルパー」(FDW=Foreign Domestic Worker)を比較的安価に雇用することが可能で、5~6世帯に1世帯が利用しているとも言われるほど当たり前に普及しています。
日本には家事をアウトソースする文化があまりないので、ヘルパーの利用に抵抗がある方も多いかもしれませんが、慣れないシンガポールの地でのビジネスを成功に導くうえでは、仕事以外の負担を抑えることは重要な要素と言えるでしょう。
そこで今回は、シンガポールのヘルパー事情や雇用の仕方などについて解説していきたいと思います。
シンガポールのヘルパーには、「住み込み型」と「パートタイム型」の2パターンがあります。ただ、パートタイムヘルパーになることは、法律でシンガポール国籍の人にしか認められておらず、当然ながら支払う給与は非常に割高となります。そのため、本コラムでは住み込みヘルパーの利用を前提として話を進めていきます。
シンガポールで住み込みで働くヘルパーは、主にフィリピン、インドネシア、ミャンマー、スリランカなどの近隣諸国から来星した外国人です。共働きが大半のシンガポールでは、中間層以上の世帯なら当たり前のようにヘルパーを雇用しており、国内には約24万人ものヘルパーが働いているとされています。
住み込みで働くヘルパーの業務は、多岐に渡ります。以下にその一例をご紹介します。
シンガポールではヘルパーを保護するために、雇用主側にも一定の条件が設けられています。ヘルパー探しの前に、まずはご自身がこの要件をクリアしているかを確認しましょう。
ヘルパーを探し始める前にもうひとつ必要なこととして、人材開発省(MOM)が提供する「雇用主オリエンテーションプログラム(EOP)」の受講があります。EOPは、ヘルパーが不当な扱いを受けないよう、雇用主にヘルパーを雇ううえでのルールや人権などについて学ばせる機会を与えるもので、初めてヘルパーを雇おうとしている人には受講が義務付けられています。
受講方法には対面とオンラインの両方があり、費用は対面がSGD35~60、オンラインがSGD35となっています。
シンガポールでのヘルパー探しには、「エージェント」に紹介してもらう方法と、すでにシンガポールでヘルパーとして働いている人とSNSのコミュニティなどを通じてご自身で交渉する「直接雇用(Transfer Maid)」があります。
直接雇用の場合、エージェント料が不要だったり、母国から呼び寄せるための時間や費用もかからないというメリットがあります。ただし、煩雑な情報収集や手続きをご自身でやらなければいけなかったり、要求される給与が通常より高くなりがちであったりもするため、ある程度ヘルパーの雇用に慣れている人でないとハードルが高い方法と言えます。
一方、エージェントを利用する方法の場合、エージェント料は必要となるものの、膨大なデータベースから国籍や経歴などニーズに合わせて効率的にヘルパーを探すことができますし、各種手続きのサポートも行ってくれるので安心感があります。
候補となるヘルパーが見つかったら、対面またはオンラインで面接を行い、問題がなければ契約成立となります。その際には、後々トラブルとならないよう、契約条件などに関してきちんと契約書を作っておくことも大切です。
雇用するヘルパーが決定したら、次は雇用主が人材開発省にヘルパーの「労働許可証(Work Permit)」を申請します。申請が承認されたら、「In-Principle Approval(IPA)」という暫定的な承認レターが発行されるため、ヘルパーはそちらを使ってシンガポールに入国し、最終的な労働許可証の発行手続きを行うことになります。
ヘルパーに万が一の事態が起きた場合に備えて、雇用主には2種類の保険への加入が義務付けられています。ヘルパーのシンガポール到着に間に合うように、余裕を持って手続きをしておきましょう。
シンガポールでマレーシア人以外の外国人ヘルパーを雇用する場合、ヘルパーがシンガポールに入国する前に、「セキュリティボンド」と呼ばれる保証金SGD5,000を支払う必要があります。これは雇用主とメイドに違反行為があった場合に備えるデポジットであり、下記の条件を全て満たす場合には返金されます。
【返金対象】
一方、下記の項目のいずれかに抵触した場合、セキュリティボンドは没収されてしまいます。
【没収対象】
ヘルパーは、シンガポールに入国する前または労働許可証の発行前に、健康診断を受ける必要があります。また、雇用開始後もヘルパーには半年に1回の健康診断の受診が義務付けられています。
過剰に思える健康診断の頻度ですが、これには妊娠の有無のチェックするという意味合いがあります。シンガポールでは、高額な出産費用を誰が負担するのかという問題を避けるため、妊娠が発覚したヘルパーはビザが取り消され、強制帰国となってしまうからです。
ヘルパーがIPAを使ってシンガポールに入国したら、人材開発省のサービスセンターにて、最終的な労働許可証の発行手続きや指紋・写真の登録などを行います。
初めてシンガポールで働くヘルパーの場合、シンガポール入国後7日以内(日祝除く)に、「Settling-in Program(SIP)」を受講する必要があります。SIPでは、シンガポールでの生活や仕事、安全面での注意事項などがレクチャーされます。
※ヘルパーの給与から以下の費用を差し引くことは法律で禁止されています。食費・宿泊費、医療費、労働許可証の費用やメイド税、シンガポールへの渡航費用、業務上の交通費、制服や仕事道具の費用。
雇用主として、ヘルパーに求める期待値を明確に伝えることが大切です。お互いの認識になるべくギャップができないよう、依頼したい業務の具体的な内容や優先順位、注意事項などを明確に伝え、事前に合意を得ておきましょう。書面でリストアップし、共有することをおすすめします。
シンガポールでは、ヘルパーに必ず週に1日は休暇を与えることが義務付けられています。また、義務ではありませんが、年に1回程度は帰省の機会を与えるのが一般的で、その際の渡航費用は雇用主が負担することが多いです。
住み込みのヘルパーには、プライバシーが確保された清潔で安全な居住スペースを提供する必要があります。メイドルームやユーティリティルームのあるコンドミニアムであれば、そちらで問題ありません。もしそれらがない場合は、仕切りやカーテンで最低限のプライバシーを確保すれば、必ずしも個室でなくて大丈夫です。
また、栄養バランスの取れた3食を提供することは雇用主の義務です。雇用主とヘルパーで同じものを食べるのか、別々に用意するのかを、雇用時に決めておくといいです。その際には、アレルギーや宗教による食事制限などがあるかも把握しておきましょう。もし別々に用意する場合、雇用主が別途、食費を負担する必要があります。
ヘルパーの出身国によって、習慣や宗教、食事、コミュニケーションの取り方などが異なります。良好な関係を構築するためにも、雇用主が相手の文化を理解し、尊重することが大切です。
万が一の事態に備え、ヘルパーには雇用主の緊急連絡先を伝えておきましょう。また、ヘルパー本人に何かあったときのために、ヘルパーのご家族やエージェントの緊急連絡先も共有しておくと良いでしょう。
家事の負担を大幅に減らし、時間的な余裕を生み出してくれるヘルパーの雇用ですが、その一方で家族以外の人を住まわせることになるため、不正行為というリスクはどうしてもゼロにはできません。警戒心むき出しではヘルパーとの信頼関係を築けませんが、貴重品の管理など最低限のことには気を配る必要があるでしょう。
また、雇用する際にもヘルパーの過去の雇用履歴をしっかり確認し、不審な点がないかをチェックしたり、実績豊富で信頼できるエージェントを利用したりするなど、できる限りのリスク管理はしておくことをおすすめします。
シンガポールでのヘルパー雇用は、日々の生活をサポートし、より豊かな暮らしを実現するための素晴らしい選択肢です。しかし、雇用には責任が伴いますし、規制や費用、ヘルパーとの人間関係の構築など、考慮すべき点も多々あります。
本コラムの情報を参考に、ご自身のライフスタイルとニーズに合った形で、ヘルパー雇用を検討されてみてはいかがでしょうか。
投稿更新日:2025年08月01日
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