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ここ3ヵ月間ほど、東南アジア各国を夫婦で回ってきた知人は帰国するなり、「本当に変わった。びっくりするほどだ」と口を開いた。彼は、日本の大企業の駐在員、東南アジアビジネスのエキスパートとして活躍し、10年ほど前にリタイア。今回は、久しぶりの東南アジア旅行だった。
「どこを回ったんだ?」
「まずは香港に行き、それから、サイゴン(ホーチミン)、バンコク、クアラルンプール、シンガポールと回って、友人たちと旧交を温めてきた」
「それで、変わったって何が?」
「いや、どこに行っても日本人が昔ほどいない。日本の存在感が薄すぎる。これには、本当に情けなくなったね」
「いや、そうは言っても、いまも日本企業は健在だし、駐在員たちもいるし、日本人学校もあるだろ」
「いや、そういう話じゃないんだ。日本人の観光客がいない。本当に見かけない。だから、日本人街は活気がない」
たしかに私も、それを感じていた。コロナ禍後はとくにそう。ただ、ここのところ東南アジアには出かけていないので、実感がわかなかったのである。
知人は、続けてこう言った。
「空港に降りれば一発でそれを感じる。というのは、ほら、昔はどの空港でも、到着出口になになに樣と日本語で書いたボードを持っている出迎えの人間がいただろう。それがいない。いたのは、サイゴン(ホーチミン)だけだ」
といっても、バンコクのスワンナプーム空港も、シンガポールのチャンギ空港もみな最新のハブ空港となり、すべてはスマホ一つで連絡がつく。いまさら、ボードもないだろうと思ったが、知人は続けた。
「お出迎えボードはともかく、日本人の観光ツアーは見かけなかった。個人旅行の時代だが、個人旅行客も家族旅行客もほとんどいない。昔よく見かけたOL2人旅なんて壊滅したと思うね。空港もそうだが、日本人街で活気があったのは、サイゴンのレタントンとバンコクのプロンポンぐらい。居酒屋や和食店に日本人観光客がいたのは、そこくらいだ。まあ、富裕層は違うだろうけど、いわゆる一般の日本人観光客は本当に減った。見かけなくなったね」
東南アジアに限らず、日本人の海外旅者数は年々、減少している。日本政府観光局によると、2024年の海外旅行者数は約1,300万人で、コロナ禍前の2019年の約2,000万人を大きく下回っている。その理由としてはコロナ禍もあるが、やはり円安とインフレによる日本経済の衰退だろう。
では、香港から、東南アジア圏の諸都市の状況を見ていきたい。ここ数年、私の周囲の人間は誰も香港に行かなくなった。民主化運動が弾圧され、香港が香港でなくなったことがやはり大きい。15年前、私が『資産フライト』を書いた頃は、香港行きのどの便も日本人でいっぱいだった。
中環(セントラル)のHSBC本行に行けば、観光ついでに口座開設にやってきた日本人をよく見かけた。ペニンシュラ香港のアフタヌーンティーに行けば、必ず2、3組は日本人だった。そして、夜にセントラルのナイトスポット蘭桂坊に行けば、バー、カフェ、レストランのどこにも日本人がいた。
しかし、現在は日本人の姿を見かけないという。香港はかつて、マカオとともに、日本人にとって観光、グルメ、娯楽の地であり、日本にはない金融サービスを享受できる地だった。ただ現在は、物価は日本の1.5〜2倍になり、ペニンシュラ香港のアフタヌーンティーの値段は、1人500香港ドル(約1万円)はする。街中の店でワンタン麺を食べれば100香港ドル(約2,000円)は取られる。
そのため、香港庶民も物価高にはさすがに参り、高速鉄道で物価の安い本土の深圳や広州に買い物、娯楽に行くのだという。
これは余談だが、今年の6月からHSBCの口座開設が外国人に対して厳しくなり、日本人の場合、一般の総合口座(HSBC ONE)は窓口に行ってマニュアルによる直接申請をしても承認されるかわからない状況になった。また、日本のパスポートだと、アプリによる申請ができないという。
もちろん、100万香港ドル(約2,000万円)以上の資産証明があれば、プレミア口座の開設は可能だ。しかし、それは一般人の世界の話ではない。
いずれにせよ香港は、気軽に出かけられるところではなくなった。不動産価格は2021年に過去最高値を記録した後は下落傾向にあるが、それでも高値圏にある。
6月に「ECAインターナショナル」が発表した「世界主要都市の駐在員生活費ランキング」で、香港は第1位である。ともかく、なにもかもが高い。ちなみに、2位はニューヨーク、3位はジュネーブ、4位はロンドンで、5位に東京がランクインしている。それ以下は、6位テルアビブ、7位チューリッヒ、8位上海、9位広州、10位ソウルである。
東南アジアで最も豊かで富裕層が多いのは、なんと言ってシンガポールだが、ここは香港以上に物価が高い。世界の物価を比較する統計サイト「Numbeo」(ヌンベオ)を見ると、家賃はアメリカの約1.6倍、食料価格は日本の約2倍である。なぜ、「駐在員生活費ランキング」でトップ10に入らないのかわからない。
家賃を含まないシンガポール人の生活費は、4人家族の場合、5,477シンガポールドル(約66万7,000円)となっていて、これはアメリカよりも10%以上高い。これでは、一般の日本人観光客は行かない。マリーナベイ・サンズがオープンした頃は、カジノに日本人もけっこういたが、いまはほとんど見かけないという。
ちなみに、知人の息子はシンガポール駐在員だが、食事はほとんどホーカーセンター(屋台)だという。そこで、観光に来た子連れの日本人家族を見かけるという。シンガポールには、ユニバーサルスタジオやナイトサファリなど、ファミリー向けの観光施設が多い。それらを満喫するために、食事代を節約しているようだという。ただ、ホーカーセンターの食べ物の値段は、日本とそう変わらないかやや高めだ。
日本人観光客は、シンガポールよりも隣のマレーシアの方を選ぶようだ。マレーシアの物価は、「Numbeo」によると、世界138ヵ国中109位とかなり低い。クアラルンプールの「ビッグマック指数」を見ると、ほぼ東京よりやや安めだ。食事に関しても宿泊費に関しても、マレーシアはいまの日本人にとっては魅力的だ。
クアラルンプールの5つ星ホテルの宿泊費が世界一安いのはよく知られているが、この状況はいまも変わっていない。リッツカールトンのスタンダードルームは、日本円にして2万円代で泊まれる。
知人は、クアラルンプールにいちばん長く滞在した。ランドマークのペトロナス・ツインタワーに隣接すマンダリンオリエンタルに連泊したという。
「なんといっても、クアラルンプールがいちばん快適だ。高原リゾートのキャメロンハイランドに退職移住した友人夫婦がいるので、そこに泊めてもらい、久しぶりに一緒に食事し、夜遅くまで話し込んだ」と言う。
知人が言ったように、ホーチミンのタンソンニャット空港には、いまもボードを持ったお迎えさんがいるという。たしかに、この空港はいつも混んでいて、初めてだとわかりづらい。現在、日本人観光客はホーチミンだけではなく、中部のダナン、そして首都ハノイにも行くので、乗り換えも大変だ。
最後に行ったのは数年前だが、ホーチミンの日本人街レタントン通りには、居酒屋、寿司屋、ラーメン店などが軒を連ね活気がある。夜になると、カラオケ(ベトナムではキャバクラ)の呼び込みの女性が、通りに繰り出してくる。
「ああ、いまもそうだ。やはり、駐在員がいちばん活気があるのはホーチミンではないかと思う。日本人観光客もけっこういるし、レタントンは東京のローカル駅前の繁華街と変わりない」
そう、ここには、日本の飲食チェーン店はほぼ全部揃っている。 値段は日本と変わらないか、やや下回る。「CoCo壱番屋」「すき家」「牛角」から、飲食以外では「ユニクロ」「無印良品」「コーナン」もある。
おしなべて、ベトナムの物価は日本の2分の1〜3分の1だから、若者がやって来る。いまや、日本人観光客といえば、シルバー世代ばかりだが、ベトナムには他の国では消滅したOLの女子会旅行もある。ベトナムは意外な美容大国だからだ。
それでは最後に、東南アジア観光を統計的に総括してみよう。まず、中国、韓国、香港をのぞくアジア各国で、日本人観光客がいちばん多く行くのがタイで、2024年は約105万人の日本人が訪れている。続いてベトナムが約71万人、シンガポールが約57万人。インドネシア、フィリピン、マレーシアは30万人台である。
ただし、いずれの国もコロナ禍前のピーク時からは減少している。各国を訪れる外国人観光客全体も減っているが、中でも日本人観光客の減少は半端ではない。タイは2019年比でなんと42%減。人気のあるベトナムですら25%減である。その結果、タイでは訪日観光客のほうが、タイを訪れた日本人観光客より多いという逆転現象が起きている。
東南アジア各国から日本人観光客が減っていくのとパラレルに、在留邦人数もどんどん減っている。タイでは、就労ビザ取得者数が、ピーク時の2017年の3万5,550人から、2024年には2万3,871人と約35%も減少している。
外務省の統計によると、東南アジア11ヵ国の在留邦人数は、年々、前年比で2〜3%減っている。2024年は、前年比2.3%減の17万4,036人だった。
このまま日本経済が凋落をしていくと、そのうちベトナムすら日本人は行けなくなるかもしれない。そして、日本国内での東南アジア化がますます進んでいくのではないだろうか。
新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。
投稿更新日:2025年07月29日
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