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【新興ASIAウォッチ/第140回】米中対立でパンダが動物園からいなくなる

法外なトランプ関税でASEAN諸国が悲鳴

トランプ関税によって、世界中が悲鳴を上げている。ASEAN諸国も例外ではない。例外というより、米中双方と経済が密接に結びついているだけに、ダメージは他地域以上である。“妄想”世界に生きているとしか思えないトランプ大統領は、あまりに単純で根拠なき計算方法で、関税率を決めた。要するに、貿易赤字が大きい国ほど法外な高率をふっかけられたのだ。

とくに、カンボジア(49%)、ラオス(48%)、ベトナム(46%)、ミャンマー(44%)、フィリピン(34%)、タイ(36%)、インドネシア(32%)はいずれも30%を超えており、このまま猶予期間90日(7月8日まで)を経て適用されると、ほとんど経済が成り立たないほどの壊滅的な打撃を被る。

30%以下となったマレーシア(24%)、一律のベースラインしか適用されなかったシンガポール(10%)でも、経済活動は大きく停滞する。まさに、米中覇権争いの「とばっちり」だが、これまで“漁夫の利”を得ていただけに仕方ないとも言える。しかし、この「とばっちり」がパンダに及ぶとしたら、驚かれるだろうか。

パンダはすべて中国政府によるレンタル

パンダ(ジャイアントパンダ:大熊猫)は、中国外交のシンボル(パンダ外交)である。パンダは中国のもっとも「有能な外交官」と言ってもいい。つまり、中国は友好を計りたい国には積極的にパンダを貸し出すのだ。

パンダは、中国の四川省などの高山地帯に生息する希少動物のため、ワシントン条約で国際取引が禁止されている。そのため、中国政府は、「飼育繁殖研究」という名目でレンタル料を取って、世界各国にパンダを貸し出している。

現在、日本の上野動物園にいる2頭のパンダも、レンタルである。つまり“外交使節”であり、ほかの動物と違って動物園のもの、日本のものではない。

現在、パンダは世界中の動物園にいる

日中の「パンダ外交」の始まりは、1972年のこと。当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相が「日中共同声明」に調印して国交正常化が成ったため、中国が2頭のパンダ「カンカン」(雄)と「ランラン」(雌)を日本に贈ったことによる。日本に来た「カンカン」と「ランラン」は、超人気者になり、日本中に「パンダ可愛い」の大フィーバーを巻き起こした。

現在、世界の動物園にいるパンダも、みな同じパータンで中国から贈られたものである。パンダは、アメリカのワシントンDCのスミソニアン国立動物園、フランスのホバール動物園、ドイツのベルリン動物園、オーストラリアのアデレード動物園などにいて、どの国でも人気者だ。

ASEANでは、現在、シンガポールのリバー・ワンダーズ、インドネシアのタマン・サファリ、マレーシアのネガラ動物園にいる。ただし、この先、ずっといるとは限らない。レンタルだから、期限が来たら中国に返さなければならないからだ。

南紀白浜の人気者パンダ4頭全部が帰国

この4月24日、日本の和歌山白浜町のアドベンチャーワールドが、現在、飼育している4頭のパンダすべてを中国に返還すると発表し、日本中に衝撃が走った。8月でレンタル期間が満了するというのがその理由だ。

アドベンチャーワールドは、これまでほぼ2年に1頭のペースで繁殖に成功するなど、パンダ飼育について国際的に高い評価を受けてきた。ただ、その中心だった「永明」(えいめい、雄)が2023年に中国に戻って以来、新たな雄パンダを迎えられず、残ったのは4頭の雌だけ。

母親の「良浜」(らうひん、雌、24歳)と娘の「結浜」(ゆいひん、雌、8歳)、「彩浜」(さいひん、雌、6歳)、「楓浜」(ふうひん、雌、4歳)である。この4頭が、レンタル期間が切れることになったので、中国に帰るというのだ。

政治的な思惑でパンダが「踏み絵」に

「なぜ、突然に!」「ショックで涙が止まりません」「4頭全員は悲しすぎるよ」「信じられません。急過ぎます」など、SMSには悲鳴とも言える投稿が溢れた。

レンタル期間切れとはいえ、期間延長とか、新規契約とか、返還しなくても済む措置もあったと思えるのに返還が決まったことで、「政治的な思惑がある」という声も聞こえてきた。

つまり、トランプ関税で米中対立が激化している渦中で、「中国としてはパンダを返還させることで、日本がどう出るか見極めたいのでは」と言うのだ。アメリカの言いなりになって、完全に中国を見限るかどうか、パンダが「踏み絵」というのだ。

来年、日本にパンダが1頭もいなくなる?

アドベンチャーワールドの4頭が中国に帰るとなると、日本のパンダは上野動物園の双子パンダ、「シャオシャオ」(雄、3歳)と「レイレイ」(雌、3歳)だけになる。しかし、この2頭も来年には中国に返還される可能性が高い。というのは、東京都と中国野生動物保護協会との協定期限は2026年2月20日までだからだ。

パンダの1年間のレンタル料は、1頭あたり50万ドル(約7,500万円)~100万ドル(約1億5,000万円)という。これに、飼育用の特別施設の建設費や維持費、エサ代などが加わり、高額なコストがかかる。中国政府や中国企業から援助金などがあるケースもあるが、多くの場合、受け入れ国の負担である。これに、政治的な思惑も加わるので、「パンダ可愛し」だけでは済まない。

フィンランドは契約を8年前倒しで返還

コストと政治的な思惑もあって、昨年11月、フィンランドは、中部のアフタリ動物園で飼育していた2頭のパンダを中国に返還した。2017年に習近平主席の初の北欧訪問で贈られたパンダだったが、レンタル期間の15年を8年も前倒しての返還だった。

その最大の理由は、現地報道によると飼育コスト。中国に支払われる保全費用を含むパンダのメンテナンスに、年間150万ユーロ(約2億2,000万円)かかっていたという。ただし、この返還の直前に、ウクライナ戦争によりフィンランドはNATOに加盟することが決まった。

アメリカのアトランタ動物園で飼育されていた4頭のパンダも昨年10月、中国に返還された。ただし、ワシントンDCの3頭のパンダは2023年に返還されたが、昨年10月、新たに2頭のパンダが中国から贈られた。 

現在、ASEAN諸国にいるパンダも、フィンランドやアメリカ、そして日本のパンダと同じような状況に置かれている。

タイに新しいパンダはやって来るのか?

ASEAN諸国のパンダで真っ先に取り上げたいのは、タイのチェンマイ動物園。ここでは、かつて3頭のパンダが暮らしていた。2003年に中国からレンタルされてやって来た「チュワンチュワン」(雄)と「リンフイ」(雌)、そして2009年に生まれた娘の「リンピン」である。

この3頭のパンダで、チェンマイ動物園は人気の観光スポットとなったが、「リンピン」は2013年に中国に返還。両親のほうは、2019年に「チュアンチュアン」が、2023年には「リンホイ」が死んでしまい、現在は1頭もいない。

そのため、昨年、タイ政府と動物園は中国当局に働きかけ、新しいパンダのレンタル契約を結ぶ運びとなった。なによりも、2025年はタイと中国と国交樹立50周年なので、新しいパンダは「親善大使」扱いという。

しかし、契約では2027年までに貸与されるということで、までパンダはやって来ていない。そんな最中のトランプ関税による米中対立である。タイ政府も、米中対立の中で揺れ動いている。

繁殖実績が有数のマレーシアのパンダ事情

マレーシアの首都クアラルンプールにあるネガラ動物園。ここでは、現在、雄の「シンシン」と、雌の「リャンリャン」の2頭のパンダが暮らしている。2014年5月に、10年間の期限で「友好使節」として中国からレンタルされてやって来た。

その後、この2頭は3度繁殖に成功して、雌の子供が3頭生まれた。2015年8月に生まれた長女「ヌアンヌアン」、2018年1月に生まれた次女の「イーイー」、2021年5月に生まれた三女の「シェンイー」だ。これは、中国国外では日本のアドベンチャーワールと並んで、有数の実績である。

しかし、中国野生動物保護協会との協定に基づき、生まれた子供は2歳〜4歳で、中国に戻さなければならない。そのため、ヌアンヌアンは2017年に返還されたが、イーイーとシェンイーはコロナ禍のため返還が延期され、2023年8月になって、盛大な送別会の後に中国に旅立った。そのため、いまはレンタル期間を延長した親の2頭がいるだけとなっている。

気温21度でエアコン24時間稼働の高コスト

パンダは寒さに強く、暑さに弱い。四川省などの生息地の標高は1,200m以上で、群れや家族を形成せず、基本的に単独で行動していて、ほかのクマ科の動物と異なり冬眠はしない。5~7才くらいで成体になって、繁殖を行うが、繁殖期は1年に1回、3~5 月の間だけ。

そのため、東南アジアのような熱帯での飼育は、かなりのケアが必要となる。まず、気温25度以下に保てる環境をつくらなければならない。そのため、マレーシアでは専用の施設を用意し、エアコンを24時間稼働させて、気温を21度に保っている。また、主食の竹と笹の確保も問題で、これは輸入が中心となる。さらに、飼育員も常時配置しなければならない。

2頭のパンダを中国に返還したときの現地報道によると、パンダの飼育コストは膨大だ。中国に支払うレンタル料が、年間100万ドル(約1億5000万円)。1頭当たりの保険料が年間5万リンギ(約160万円)かかる。そして、実際の飼育コストは、月約10万リンギ(約320万円)で、その半分はエアコンの電気代という。こうしたコストは、インドネシア、シンガポールでも同じである。

インドネシア、シンガポールにはカップルが

インドネシアのパンダは、西ジャワ州ボゴール県のタマン・サファリの特別施設にいる。雄の「チャイタオ」と雌の「フーチュン」のカップルだ。2017年9月に、やはり10年間の貸与契約で贈られてきたが、マレーシアのように繁殖には成功していない。

ただ、どこでもそうだが超人気者で、サファリパークを周遊した入場客は必ずパンダ施設に立ち寄り、週末には列ができるという。レンタル期限は2027年だが、はたして延期されるかどうか、まったくわからない。

シンガポールのパンダは、シンガポール動物園とナイトサファリに隣接した「リバー・ワンダーズ」(以前の名称はリバー・サファリ)にいる。オスの「カイカイ」と雌「ジアジア」のカップルで、2012年、シンガポール・中国の国交樹立20周年を記念したプロジェクトの一環として、中国から貸与された。

以来、サファリの人気者となって大勢の観客を集めてきた。この2頭には、2021年8月に、人工授精によって初の子供が誕生、「ラーラー」(雄)と名付けられ、さらに大勢の観客を集めた。しかし、契約により、「ラーラー」は2024年1月に中国に返還された。

ちなみに、「ラーラー」は日本の双子パンダ「シャオシャオと「レイレイ」と同年である。はたして、「シャオシャオと「レイレイ」は、来年、中国に返還されるのだろうか?このことも含めて、トランプ関税の行方とともに、パンダの行方が大いに気になる。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2025年05月09日


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