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【新興ASIAウォッチ/第138回】バンコクは温暖化に脆弱な都市

今年のバンコクは記録的な寒さ

寒波が何度も来て、平年より寒い冬となった日本を離れて、2月中旬に、家内と娘と孫娘はバンコクに出かけた。バンコクに住んでいる娘の大学時代の親友が、アメリカに帰ることになったので「みんなでバンコクに集まりたい」と、世界中に散らばった友人たちを呼び寄せたのだ。

家内は、まだ孫娘が3歳前なので、お守り役としてついて行った。

「今年は寒いと言っていたのに、全然よ。本当に暑い、暑くてたまらない」と電話してきたので、ネットで気温を確かめると最高気温は35度。バンコクの2月の最高気温の平均は30度を少し超えるぐらいなので、やはり高い。温暖化の影響なのだろうと思った。

温暖化は、なにも「暑くなる」だけではない。タイの最近のニュースは、バンコクで1月13日の気温が15.2度と、2017年以来の寒さを記録したと伝えていた。温暖化では、全体的に気温は上昇するが、局地的にはこれまで考えられなかった気候変動が起こる。バンコクが記録的な寒さを記録したのはそのためだが、それをもたらした寒気団はすでに去ったようだ。

ただ、長期予報で確かめると、今年のバンコクの1、2月は例年と比べて大幅に寒い。

例年とは違ってセーターを着込む姿も

バンコクの11月~2月は、乾季である。雨はほとんど降らず、夕方となれば気温は25度以下になり、過ごしやすい。最近の日本の真夏のうだるような暑さと比べたら、よほどいい。日本人が多いスクンビッドのオープンカフェで、夕刻からワイングラスを傾けていると、ビジネスマンなら東京での忙しさを忘れてしまうだろう。

しかし、気温が15度まで下がると、それはもう別世界。メインストリートのシーロム通りでは、住民らがセーターやパーカーを着込み、ポケットに手を入れて歩く姿も見られたと言うから、やはり異常だ。

CNNアジアの報道では、屋台で飲み物を売る女性が、「例年とは違う。バンコクが前回こんなに寒くなったのはいつだったか、思い出せない」と話していた。

タイ気象当局(TMD)の統計によると、バンコクの過去の最低気温の記録は1955年1月12日の9.9度という。とはいえ、やはり熱帯。昨年も一昨年も、タイでは40度以上を何度も記録している。とくに昨年は、4月15日に中部タク市で、観測史上最高の45.4度を記録している。

これも温暖化の影響、ジュゴンの大量餓死

タイ発の温暖化ニュースで、最近驚いたものが2つある。1つは、ジュゴンの大量餓死。もう1つは野生ゾウの凶暴化だ。

タイ南部、観光地プーケットなどが面するアンダマン海で、昨年10月、合計8頭のジュゴンが死んでいるのが見つかった。1頭は体にロープの痕があったことから漁網に絡まったとみられたが、3頭に関しては、消化管に食べ物がほとんど残っておらず、餓死したと推定された。

その後も、アンダマン海で11月末までにさらに7頭。12月に入ると、わずか4日間で6頭のジュゴンの死体が発見された。ジュゴンの死体がこれほど多く発見されたことは、過去になかったという。

アンダマン海の海洋沿岸資源研究センターによると、2021年ごろに約200頭いたジュゴンは、現在では10頭ほどに急減しているという。その原因は、温暖化による海水温の上昇、頻発する大雨による洪水で土砂などが海に流れ込み、海草の生育や繁殖を妨げていることが挙げられている。

海水温の上昇で、海中の生態系が変わり、海藻類がなくなる「磯焼け」という現象は、日本でも多発している。ジュゴンはいまや、世界的な「絶滅危惧種」である。

ジャングルから出て狂暴化する野生ゾウ

もう1つの温暖化ニュース「野生ゾウの凶暴化」は、哀しみを誘う。それは、ジャングルの中でそれまで平穏に暮らしていたゾウが、温暖化によってジャングル内の湿地や河川が失われ、人里に出て畑などを荒らすようになったという話だからだ。最近、日本で頻発するくまの出没事件と同じではないかと思う。

ゾウの生息地、タイ東部のジャングル地帯は、近年、温暖化によって乾燥化が進み、湿地や河川が減少した。そのため、ゾウは乾いた土地を歩いてジャングルを出て、開墾され畑で作物を食べるようになった。ゾウ被害にたまりかねた人たちは、自警団を結成、夜間の見回りをしているという。

ゾウはタイ人にとって神聖な存在である。しかし、その個体数は、近年、急速に減っている。全体でおよそ5,000頭とされるが、その半分は飼育のゾウである。観光客に人気の「エレファントライディング」は、飼育ゾウによって行われている。

タイは気候変動に最も脆弱な国

タイの天然資源環境相は、2024年11月、「COP29」(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)で演説し、「タイは気候変動に対して最も脆弱な国の1つだ」と訴えた。「わが国では、記録的な猛暑、大雨による洪水や地滑りなどに見舞われ、経済と暮らしに取り返しのつかない被害が出ている」と続けた。

確かにタイは、東南アジア諸国の中でも、温暖化による気候変動の被害をもっとも受けている。これまでを振り返ると、なんといっても大きいのは、河川の氾濫による水害被害と、大河メコン川の枯渇や生態系の激変だろう。

2011年7月に始まったモンスーンの豪雨は、タイの歴史上もっとも壊滅的な大洪水をもたらした。タイの77州のうち65州に影響を与え、800人以上の死者を出し、被害総額は465億ドルを超えた。

東日本大震災で忘れられたタイの大洪水

2011年の大水害はいまでも鮮明に覚えている。あのときは、7月末からバンコクの中心部を流れるチャオプラヤ川の水系で洪水が発生し、アユタヤの世界遺産の社寺群や工業団地が浸水し、日本企業の多くが数ヵ月にわたって操業を停止した。もちろん、バンコク市内も浸水した。

出版界では、日本の出版社と提携しているバンコク市内の現地出版社が水浸しになり、出版予定だった本はすべて廃棄処分になってしまった。

2011年といえば、東日本大震災の年だったから、日本ではタイ大洪水はあまり報道されなかった。しかし、その被害は甚大だった。以来、タイでは洪水被害が度々発生している。

バンコクは「水没都市リスト」に含まれる

バンコクは、「東洋のベニス」と言われる水の都だ。夕刻のチャオプラヤ川でのクルージングは最高の楽しみ。家内や娘たちも楽しんで、その写真をLINEで送ってきた。写真を見ると、乾季なのに、水はなみなみとしている。

しかし、このようなエンタテイメント・クルージングは、この先もずっと続けられるのだろうか?
バンコクはエリアによっては海抜1~1.5メートルしかない。温暖化で海面が上昇し、川の水面も上がれば、たちまち水没する。

現在、世界で水没危機にあるとされる都市は数多くある。ベニス、ホノルル、マイアミ、ニューヨーク、ロンドン、イスタンブール、東京、大阪、ムンバイ、ジャカルタ、コルカタなどが挙げられているが、もちろんバンコクも含まれる。

筆者は主に経済、政治畑で執筆、論評をしているので、個人投資家からバンコクに不動産投資に関して聞かれることがある。そのとき頭に浮かぶのが、水没都市リストである。

この先、本当にどうなるかわからない以上、半世紀先を見据えるなら、水没リストにある都市の不動産購入は慎重になった方ほうがいいと思っている。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2025年02月26日


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