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【新興ASIAウォッチ/第105回】日本人には理解できないインド人、KYだがしたたか!

インドは世界最大の移民送り出し国

東南アジアのどの都市に行っても、中国人とともに必ず出会うのがインド人。バンコクにもシンガポールにもクアランプールにもインド人街(リトルインディア)があり、街には独特のカレーの匂いが漂う。近年、東京の西葛西もリトルインディアと呼ばれるようになり、多くのインド人が集まっている。

インド人が多いのはインド人街ばかりではない。ビジネスシーンではどこでも出会う。大企業から中小企業まで、多くの会社でインド人社員が活躍している。なにしろ、インド人は英語(といってもインド訛りの「ヒングリッシュ」)を話すうえ、ITにはめっぽう強い。

意外に知られていないが、いまやインドは世界最大の移民送り出し国となり、国連の統計(2020年)では約1,787万人と第2位のメキシコの約1,119万人を大きく上回っている。英語とITができるのだから、インド人は世界のどこに行っても仕事がある。

インド外務省によると、移民2世・3世を含むインド系住民(ディアスポラ)は世界に3,210万人いるという。これは、約6,000万人とされる在外中国人(いわゆる華僑)に次いで多い。ちなみに、インド人の在住人口が世界一多いのがアメリカで、その数なんと466万人。ASEAN諸国の中ではマレーシアが一番多く、298万人となっている。

ウクライナ支援の自衛隊機の着陸を拒否

そんな世界最大の民主主義国インドが先日、日本の自衛隊機の着陸を拒否したのだから、日本人は驚いた。インドは、ロシアに対する国連総会の非難決議を棄権し、西側諸国が主導するロシアに対する経済制裁に参加していない。そのため、少しでもアンチ・ロシアと思われたくないのだろうが、自衛隊機が運ぶのは軍事物資ではない。

日本は、インドのムンバイとUAE(アラブ首長国連邦)のドバイにある国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の備蓄倉庫で保管中の毛布などを、自衛隊のC2輸送機でウクライナ周辺のポーランドとルーマニアに運ぶことを計画していた。つまり、国連の人道支援活動のサポートである。

ところがインドは、これさえもロシアを刺激すると考えたようだ。ただし、インドはロシアに気を遣っているといっても、ウクライナには独自で人道支援を行っているのだから、ダブルスタンダート感は否めない。

「非同盟・中立」と言っても実際は「親ロ」

ウクライナ戦争により、米英をはじめ西側諸国がロシアへの経済制裁を強める中、インドはまったく逆の態度をとって、ロシアとの貿易、経済関係を強めている。 

 

日本人は単純に、インドは「親米」「親日」だと思ってきた。古くは東京裁判で日本の肩を持ってくれたパール判事、近年では、ズズキのクルマを世界で一番買ってくれるなど、インドは親日国であり西側の国だと思ってきた。しかし、国際政治の専門家は、インドは歴史的に「親ロ」だと解説する。

1947年に英国から独立したインドは、経済モデルを旧ソ連の社会主義計画経済に求め、国家を運営してきた。また、中国との間に国境紛争をかかえ、親ロ姿勢をとらざるをえなかった。実際、インド軍の兵器の約6割は旧ソ連、ロシア製で、ロシアとの関係を断つわけにいかないのだという。

米ソ冷戦時代は、東西のどちらの陣営にも属さない「第3世界」という区分けがあった。その代表がインドで、インドは「非同盟・中立」を標榜してきた。しかし、その実態は親ロ国家だったのである。

安価なロシア産原油はインドにとって「渡りに船」

親ロ国家と一口で言ってしまえばそれまでだが、実際のところは、インドは目先の経済を優先している。「非同盟・中立」などとんでもなく、国益優先である。なぜなら、インド経済はドイツと同じく、ロシアの原油がないと回らないからだ。

インドの発電は、主に原油と石炭で成り立っていて、石炭の方は国内在庫が記録的に低い状況が続いてきた。そのため、インドは今年になって、何度も電力危機に見舞われた。そこに起こったのが、ウクライナ戦争だった。

もしインドがロシアからの原油輸入をストップしてしまったら、どうなっただろうか? インドの電力危機は現実のものとなってしまったに違いない。夏に向けて電力需要が高まれば、大規模停電の可能性も考えられていたからだ。

西側が発動した経済制裁によって、ロシア産原油は大幅に値下がりした。まさに、インドにとっては「渡りに船」。経済制裁への不参加は吉と出て、インドはすぐにロシア産原油に飛びついたのである。そればかりか、ドルを介さないルーブルとルピーの直接決済のシステム構築にまで乗り出した。

なんとロシア産原油を軽油にして転売

世界最大の民主義国といえども、結局は「カネ」なのかと言うほかない。4月14日、ブルームバーグは『ロシア原油に対するインドの裏口(backdoor)が、欧州の禁輸を求める声を弱めている』という記事を出した。それによると、インドの精製業者は輸入したロシア産原油を軽油に精製。それを転売して儲けているというのだ。原油の元産地は追跡できないので、これは経済制裁の完全な「抜け穴」である。

国際エネルギー機関(IEA)によると、3月のロシア産原油の輸出量は日量570万バレル。これまでの最大の輸出先だった欧州のシェアは、2月の61%から41%と急低下した。経済制裁に不参加の中国のシェアは、ほぼ横ばいの24%。ところが、インドのシェアは9%と急上昇した。インドのロシア原油輸入は、記録的な量に達していた。インド人は、中国人よりはるかに抜け目がなく、したたたかと言えるだろう。

米英の説得も「馬耳東風」のコウモリ外交

このようなインドの動きを、西側諸国は見過ごすわけにはいかない。4月11日、バイデン米大統領がインドのモディ首相とオンライン会談を行い、「ロシアからのエネルギー輸入を加速させてはならない」と釘を刺した。

ところが、インドのシタラマン財務相が「燃料が安く手に入るなら、なぜ買ってはいけないのか」と言い出し、アメリカの言うことなど聞かないという態度を示した。その後、アメリカの「パシリ」(説得役)として、4月19日に、わが国の岸田首相がインドに飛んだ。しかし、ほぼ相手にされなかった。オーストラリアのモリソン首相も説得を買って出たが、不発に終わった。インドの態度はまさに、「馬耳東風」である。

ウクライナ戦争勃発後、インドにはロシアのラブロフ外相、中国の王毅外相も相次いで訪れた。インドは、西側とロシア側とを天秤にかけて、かつてのような第3世界の盟主としてふるまっているのだ。しかし、いまのインドは、GDP世界第5位の大国である。いずれ、日本を抜くのは確実とされている。そのような国が、このような「コウモリ外交」を行なっていいのだろうか?

空気を読めないと言うが、じつはしたたか

これまで私は、主にビジネスの現場で、多くのインド人と出会ってきた。インドに赴任していたビジネスマン、政府関係者などに話を聞いたことも何度かある。そうした中で、日本人からインド人はどう見えるのかをまとめてみると、多くの人間が指摘したのは、「インド人は空気が読めない」「インド人はKYだ」ということだった。

インド人社員について、ある日本人マネージャーはこう言った。
「能力は高いが、自己主張が強く、協調性がない。グループでやることをいやがる。いつもニコニコ笑っていて、なんでも“ノープロブレム”。ポジティブだけど、残業は絶対しないですね」

たしかにインド人には、そういうところがある。会議ではいつも積極的に発言し、日本人のように空気を読んで発言を控えるようなことは一切ない。彼らは本当に楽観的で、なんでもかんでもスバズバ聞いてきて、おカネの話も躊躇なくする。インド人はKYかもしれないが、じつはしたたかな人々なのだ。こうした国民性が、インドの独自の外交路線に反映されていると私には思える。

インドのスーパーヒーロー、ピチャイCEO

いま、インド人と言ったとき、私が思い浮かべるのはグーグルのCEOのスンダル・ピチャイ氏(49)だ。彼は、カースト制度が色濃く残る超階級社会のインドの中流の出身だが、飛び抜けてアタマがよく、超難関のインド工科大学(IIT)を卒業後、米スタンフォード大学の大学院に留学してMBAホルダーとなった。その後、2004年にグーグルに入社して、ネット検索ブラウザ「クローム」を世界首位に押し上げ、43歳でCEOの座に就いた。

毎日、それこそ何十回、何百回とグーグル検索を行なっている私にとって、ピチャイ氏は意識せざるをえない人物だ。もちろん、インドの若者たちにとってはスーパーヒーローである。

インドの人口はいまや14億人に迫り、いずれ中国を抜く。ピチャイ氏のような人材は、広いインドには数多くいる。しかも、インドの人口の半数は25歳以下である。インドには65歳以上の高齢者が5%しかいない。こうした背景から、インドは経済成長が著しく、潜在的成長率を低めの6%と仮定しても、3年後にはドイツを抜き、8年後の2030年には日本を抜くのは確実だ。

そうした未来を考えると、複雑な気持ちになるが、日本人はこうした未来の中で、インド人、中国人と張り合って生きていくほかない。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2022年04月28日


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