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【新興ASIAウォッチ/第103回】日本はいつまで「コロナ鎖国」? 続々と「開国」に向かう東南ア事情

日本人に対してだけ規制を緩和

ウクライナ戦争が起こり、世界が騒然とする中、世界各国で「コロナ開国」が進んでいる。欧米諸国が先陣を切ったが、東南アジア諸国も3月からは、これまでの規制が大幅に緩和あるいは撤廃される。そこで今回は、その状況をまとめてみることにした。
ただし、その前に、いまだに鎖国を続ける日本の現状を述べておきたい。

「これまで世界一厳しいとされてきた入国規制が緩和された」とメディアは報道しているが、それはほぼ日本人に限った話である。緩和されたのは、入国後の自主隔離。3度目のワクチン接種を終えていれば自主隔離が免除になり、3度未満でも7日間が3日に短縮された(ただし、3日目に陰性証明を入国者健康確認センターへ提示する必要がある)。また、これまで一切禁止されていた公共交通機関も利用が可能になった。

これで、帰国をためらっていた在外日本人、海外旅行を帰国時隔離のせいでためらっていた国内日本人は、ある程度自由に出入国ができるようになった。しかし、外国人入国者に対する緩和は、依然として厳しい。

いまだに続く日本の「鎖国」

コロナがオミクロン株に置き換わってから、感染の深刻度は減った。そのため、いまや経済重視の対策に舵を切るべきなのに、日本政府にはその認識はない。3月1日からの入国緩和は、単にこれまでの1日当たり3,500人としてきた入国上限数を5,000人にしたに過ぎない。以後、段階的に増やすそうだが、これではまだ「鎖国」と言える。

外国人入国者の上限数を引き上げたのは、経済界の都合だ。コロナ対策の知見からではない。日本語学校留学生や技能研修生という主に東南アジアの貧しい若者の低賃金労働力を、これ以上受け入れなかったから、経済が持たないからだ。

ただし、それでもなお規制は厳しい。日本語学校留学生、技能研修生なら誰でもいいわけではなく、新規入国については「受け入れ責任者による管理のもとで認める」としていて、入国に必要なビザは学校や引受先企業が事前申請しなければならない。要するに、管理入国だ。

これでは、一般のビジネス関係者、観光客は、これまでどおり日本に入国できない。なにしろ日本は、昨年12月から入国拒否とビザ発行停止を続けている。 

続々「開国」に向かう東南アジア諸国

日本がこんな状況にある中、東南アジア各国は規制緩和に向けて大きく動き出した。以下、東南アジア各国の「開国」状況を述べてみたい。

3月1日現在、日本からのワクチン接種済み旅行者を隔離なしで受け入れている国は、タイ、カンボジア、フィリピンの3カ国。フィリピンは、いち早く、ビザ免除国を対象に観光目的の入国を許可している。

これに、3月15日から、ベトナムが加わる。なんとベトナムが海外観光客の受け入れをするのは、2020年3月以来、約2年ぶり。ワクチン接種完了証明書や出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書などを提示すれば、入国後の隔離は不要になる。

マレーシアも早ければ3月中旬、遅くとも4月には「開国」が実現する見込みとなった。マレーシアでは2021年11月15日より、ワクチン接種者なら観光目的でのランカウイ島渡航を受け入れてきたが、これを全土に拡大する。

なお、東南アジアではないが、インドはいち早く昨年から、出発前の陰性証明書が必要なものの、入国後の隔離義務は撤廃されている。 (*各国の入国制限や渡航要件に関しては、刻々と事情が変わる場合もあるので、大使館など公的な機関で確かめてほしい)

インドネシア、シンガポール事情

東南アジア諸国の中で、2月末時点で感染者数の拡大が止まらないのは、シンガポールとインドネシアだ。日本との経済関係から見て、この2国の「開国」が進まないのは残念だが、それでも、開国に向けての動きは進んでいる。

現在、インドネシアはビザ、APECビジネストラベルカード、滞在許可(一時滞在許可のITASと定住許可のITAP)を持っている人間以外は入国できない。ただし、3回目のワクチン接種を完了している者は、隔離期間が3日間に短縮された。

一方、シンガポールは感染拡大国から厳しい入国制限を実施してきたが、その一方で、「ワクチントラベルレーン」(VTL)という措置をつくり、一部の国からの入国者を受け入れてきた。シンガポール経済を考えると、ビジネス客、観光客にこれ以上ゲートを閉じていてはダメージが大きい。そこで、つくられたのがVTLで、これまでは24カ国との間でワクチン接種完了者を対象に相互に隔離なしの渡航を可能にしてきた。

日本はまだ対象外だが、2月25日からはこれまでの24カ国に香港、カタール、サウジアラビア、UAEが加わり、3月4日からはフィリピンとイスラエルも追加される。日本としては一刻も早く、対象国に加えてほしいが、それは感染状況次第だ。

日本が入国を拒む東南アジアの「指定国」

それにしても、日本政府のコロナ規制は、世界の流れとは逆行している。日本は、オミクロン株の科学的所見が出揃ってきたにもかかわらず、今なお感染状況がひどい国・地域からの入国を頑なに拒んでいる。

2月半ば、シンガポールやインドネシアなどで、感染拡大が確認されると、即座に、こうした国々を「指定国」に指定した。これによって東南アジア域内における「指定国」は、以下の通り計6ヵ国になった(カッコ内は指定日)。

フィリピン(1月7日)
タイ(1月14日)
カンボジア(2月2日)
インドネシア(2月10日)
ミャンマー(2月10日)
シンガポール(2月17日)

この6ヵ国以外の東南アジアの「非指定国」は、ベトナム、マレーシア、ラオス、ブルネイ、東ティモールの5ヵ国。「非指定国」から帰国・入国する場合は、3回目のワクチンが接種済みで入国時検査が陰性なら、自己隔離は免じされる。しかし、指定国の場合は、3月1日からの規制緩和が実施されたものの、なお、3日間の自己隔離が課される。

規制緩和・撤廃は世界のトレンド

東南アジア諸国が次々に「開国」に向かうのは、それが世界のトレンドだからだ。オミクロン株に置き換わった新型コロナウイルスは、高いワクチン接種率を背景に、死者・重症者数を低く抑えられることがはっきりした。

そのため、北欧諸国から規制の緩和・撤廃が始まった。デンマークは、2月1日からコロナ規制の大半を解除。続いて、スウェーデンも2月9日から、規制を段階的に解除した。一時、感染者数が世界最悪を記録した英国も、2月24日からコロナに関する法的規制を全面撤廃した。もはや、自主隔離もマスクも義務ではなくなった。

アメリカでも規制が緩和・撤廃された。3月1日現在のアメリカへの入国条件は、ワクチン接種証明書と陰性証明書の提示が必要だが、自己隔離は3~5日以内に検査を受けて陽性になった場合以外必要ない。マスクを着用すれば、公共交通機関も即利用できる。

しかも、アメリカはワクチンを、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンのほか、中国のシノファーム、シノバック、インドのコビシールドも認めている。

「鎖国」日本と「開国」世界各国の差

このように見てくると、なぜ日本が厳しい入国規制を続けているのか、本当に不思議だ。すでに「ファクターX」も消え、世界でも有数の感染大国になっているのに、不思議としか言いようがない。

有力な説は、岸田政権の当初の「鎖国政策」が支持率に直結したので、それを続けているというもの。日本人は、とにかく外から災いがやってくると考えていて、「鎖国」が大好きだというのだ。さらに、入国制限により中国人や韓国人が来なくなったので、喜んでいるという説まである。

しかし、21世紀のこの時代、「鎖国」はあるまい。ありえない選択だ。そんなことを続ければ、国も国民も貧しくなるだけだ。あれほど外国人観光客を歓迎し、「おもてなし」を自慢していた国の変わりようには、ただびっくりするほかない。

在日アメリカ商工会議所など在日外国商工会議所の会員を取材すると、「日本はおかしい。これではビジネスパートナーとして、日本企業とビジネスできない」という声が聞こえてくる。各国の商工会議所の幹部は、「入国制限が会員企業の投資意欲を後退させている」と指摘する。

東南アジア各国のビジネス関係者も、「一刻も早く、開国してほしい」と言う。いったい、いつ、日本は「開国」するのだろうか?

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2022年03月01日


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