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【新興ASIAウォッチ/第77回】2020年以後の不動産投資を展望する

中国経済減速が新興アジア投資への追い風に

いよいよ2020年を迎える。21世紀になって、もう20年も過ぎたとは信じられないが、今後、時代はどう動くのだろうか? もちろん、投資は時代に大きく影響される。それで今回は、2020年以降の新興アジア地域での「不動産投資」がどうなるのかを概括的に展望してみたい。

2020年以降の新興アジア不動産投資でもっとも重要な点は、各国の経済成長がどうなるか? そして、それを大きく左右する「米中冷戦」(経済・貿易戦争)の行方だろう。いまのところ、米中冷戦は、新興アジア諸国の経済成長にとっての追い風になっている。なぜなら、製造業が中国からこの地域にシフトする「チャイナ・プラスワン」「チャイナ・ゼロ」が、急速に進んでいるからだ。

ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアなどは、この恩恵を受けてこれまで通りの経済成長率が見込め、不動産価格も経済成長率と同じか、あるいはそれ以上の上昇が見込めると考えられる。ただし、懸念もある。それは、中国経済の減速による影響がマイナスに出る国があること、また、これまで新興アジア諸国のインフラ投資に注ぎ込まれてきたチャイナマネーが滞ることだ。すでに一部の都市では、過剰投資による不動産バブルが生じているので、チャイナマネーの動向には十分注意が必要だろう。

2020年の「不動産動向レポート」を見る

毎年、「プライス・ウォーターハウス・クーパース」(PwC)が、世界の不動産動向レポート「Emerging Trends in Real Estate」を出している。そのアジア太平洋版(2020年の見通し)が11月に公表されているので、それを紹介しつつ、各国、各都市の動向を見ていきたい。

以下が、PwCのレポート内にある「投資見通しランキング」(Investment Prospect Ranking)である。( )内は前年(2019年度)見通しの順位。

1位:シンガポール(2)
2位:東京(4)
3位:ホーチミン(7)
4位:シドニー(3)
5位:メルボルン(1)
6位:深セン(8)
7位:上海(6)
8位:大阪(5)
9位:広州(10)
10位:ソウル(9)
[10位以下の主な都市は、11位バンコク(11)、12位ムンバイ(12)、17位マニラ(19)、20位クアラルンプール(22)、21位香港(22)]

全体として中国の諸都市がランクを落とし、ホーチミンなどの東南アジアの諸都市がランクを上げているのがわかる。そして、なんと、日本の東京がランクを上げている。なぜ、こんな見通しになっているのだろうか?レポートの記述から、さらに詳しく見ていこう。

トップ10内の都市、それぞれの事情

ランク1位のシンガポール、3位のホーチミンは後述することにし、まず、意外にも2位にランクされた東京から見ていく。レポートでは、2020年のオリンピック以降の反動があるものの、海外を中心に行き先を探している資金は多く、金利が低く流動性が高い東京市場は魅力的としている。しかし、日本サイドから見ると、レポートの見通しは少々甘いと言わざるをえない。

たしかに、日本は空前の低金利のうえ、円安のため、不動産価格は海外から見れば安い。ただし、日本は中古不動産の転売市場が発達していないこと、さらに、経済低迷と人口減少が進むことが考慮されていない。少子化と高齢化がどんなに経済にダメージをもたらすか、レポート作成者は意図して考慮していないのかもしれない。

では、ランク8位の大阪はどうだろう?万博やIR(カジノ併設の複合施設)などがプラス評価されているが、前年度よりランクを落としたのは、中国人観光客のインバウンドが減ることが見込まれたからだ。

4位のシドニー、5位のメルボルンは、いずれもオーストラリアを代表する都市。ここ数年ずっと上位にランクされ続けてきたが、今回はランクを落とした。これは、不動産価格がすでに十分高くなったうえに、やや下落傾向が出てきたからと、レポートは言う。オーストラリアへの不動産投資は加熱化しすぎた感があるので、この辺で一段落と見ていいと思う。これは、IMFなどの見通しで来年はオーストラリアの成長率が落ちるとされているので、十分に納得がいくものだ。

次は、中国の上海、深セン、広州。米中戦争でもっとも成長率が落ちるとされている中国のこれらの都市は、ランクを落としたが、トップ10圏内にとどまっている。それはなぜなのだろうか?レポートでは投資は物件次第とし、リスクも指摘されてはいるが、まだ投資価値はあるとしている。しかし、私見ではもはや上海は十分高くなりすぎて、投資としての妙味はない。中国の不動産バブルは、経済減速で終焉を迎える可能性が高いので、とくに大都市以外の地方都市への投資はリスクが高い。レポートでも、中国の地方都市は売り推奨である。

では、トップ10圏外、21位の香港はどうだろうか?今年は民主化デモが起こり騒然としている香港だが、レポートでは数年前からランクを落としている。今回のデモがなくとも、香港不動産は数年前にピークに達したというのが業界の共通認識だからである。ここ数年、不動産を手放して香港から逃げ出していく富裕層も多い。

なぜシンガポールは投資見通しNo.1なのか?

では、ここからは、レポートのトップのシンガポールに戻って、新興アジア諸国を展望してみよう。

シンガポール不動産の特徴は、なによりも政府によって価格がコントロールされていること。これは土地のほとんどが国有地で、物件が定期借地権(99年から999年)の土地のうえに建てられているからだ。したがって、不動産価格が下がることはほぼありえない。

2013年に印紙税が導入され、税率が引き上げられると、その後3年間だけは低迷した。なにしろ、外国人がシンガポールのコンドミニアムを購入する場合、最大4%の印紙税と20%の追加印紙税がかかるようになり、合わせて24%ものコストが生じたのだから、この低迷は無理もなかった。しかし、2017年からは再度上昇に転じて現在に至っている。レポートでは、シンガポールの不動産は買い推奨である。

シンガポールの国土面積は、東京23区よりも少し広い程度。そのため、もともと土地の価値は高く、中古物件であっても価格はほとんど落ちない。シンガポール政府は2030年までに人口を30%増加させて650万人にするという目標を掲げているので、それを見込んで海外投資家からマネーの流入が続いている。最近は、中国マネーが香港や上海の物件を売って、シンガポールに移ってきている。

もっとも期待されるベトナムの不動産

レポートで3位にランクしているベトナムのホーチミンは、どうだろうか?レポートの「買い推奨のランキング」では、なんと「個別物件ランキング」でも1位である。これは、チャイナ・プラスワンの動きとして不動産開発が積極的であることが評価された結果だ。ただし、全体の見通しで3位というのは、ある程度のリスクを見ているからである。

そのリスクとは、私が見る限り経済的なものではなく、急成長のため、不動産業者が未整備であることだ。「ベトナム不動産業者協会」(VARS) によれば、ベトナムには約30万の不動産ブローカーが存在する。しかし、その10~12%しか適切な資格を持っていないという。したがって、外国人が不動産投資をする場合は、認可業者で信頼できる業者を選べるかどうかがポイントになる。

この点を差し引けば、ベトナム不動産は有望だ。高い成長率を背景に、開発が進んでいるからだ。ホーチミンはもちろん、首都ハノイ、第3の都市ダナンなどの物件価格は上昇している。不動産開発というのは都市から郊外に進むのが通常で、いまや郊外物件も値上がりしている。そこで、投資の見極めは、大都市近郊の開発スピードと物件価格が見合っているかどうかだろう。

今後のアジア不動産投資への留意点

ホーチミン以外の新興アジア諸国の都市は、トップ10には入っていない。ただ、11位にバンコク、17位にマニラ、20位にクアラルンプールが入り、いずれもここ数年順位を上げている。タイ、フィリピン、マレーシアとそれぞれ国情が違うので、一括には論じられないが、これらのアジア各国の首都はこれからも発展する。その意味では、2020年以降の不動産投資は十分に期待できる。バンコクは安定的であり、マニラは今後もインフラ整備が進むので、物件次第ではかなり有望な投資先と言える。クアラルンプールもマニラ同様の発展が望める。

ただし、これらの都市への不動産投資と、その国の経済成長がぴったり連動するとは限らない。というのは、海外からの投資マネーは、世界情勢の影響を大きく受けるからだ。アメリカが量的緩和を行なったため、投資マネーは新興国に流れた。中国経済の拡大もまた、新興国へのマネー流入を加速させた。そのため、新興アジア諸国の不動産は、自国の経済成長とともに、これまで確実に値上がりを続けてきた。

しかし、それが今後も続くかどうかは、はっきり断言はできない。たとえば、もしアメリカの金利が上昇に転じることがあれば、新興国への投資マネーは引き上げられる可能性がある。つまり、こうした要素を考慮しながら、新興アジア諸国への不動産投資する必要がある。

税制の変更リスクを考慮する

最後に、日本の投資家に限った話を書いておきたい。すでに、ご存知の方も多いと思うが、来年度から税制が変わる。これまでは、海外不動産投資で節税が可能だったが、これが認められなくなったのだ。

海外不動産購入での節税スキームは、家賃収入以上の減価償却費などで赤字を出した場合、それを日本での所得から差し引ける。つまり、日本での課税所得を圧縮できるというものだったが、新税制では海外所得と国内所得の合算が認められなくなった。もう少し具体的に述べると、海外不動産所得の損失があった場合、損失のうち減価償却費に相当する金額はなかったものとみなすということ。つまり、ほとんどのケースで赤字は切り捨てられるというわけだ。これは、2021年分以降の所得税から適用される。

ただし、これは不動産所得に関しての取り扱いで、事業所得に関しては従来通りだから、海外物件を事業として購入している場合は関係ない。いずれにせよ、海外不動産投資でもっとも重要なのは出口戦略である。キャピタルロスが生じてしまえば、税制がどうであれ、投資は失敗となるからだ。

以上、2020年以降の新興アジア諸国への不動産投資について展望してみた。どんな投資にもリスクはある。しかし、新興アジア諸国の発展は今後も続くことだけは、間違いなく断言できる。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2019年12月25日


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