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【新興ASIAウォッチ/第76回】マクドナルドもかなわない「ジョリビー」の快進撃

マクドナルドが唯一勝てない国

マニラに行くと、どの街角にも「ジョリビー」(Jollibee)がある。アメリカの都市でどの街角にも「マクドナルド」があるのと同じだ。店の前には、マスコットキャラクターの「ジョリビーくん」が立ってウエルカムをしているのですぐにわかる。また、店のメインカラーは赤と黄色なので、すごく目立つ。しかも、行列ができているところもあり、まさにフィリピンのナンバーワンのファストフード店となっている。

「マクドナルドが唯一勝てない国がフィリピン」と言われているが、それはジョリビーのせいだ。実際、ジョリビーの店舗数はフィリピン国内で1,000店を超えていて、マックの約500店にダブルスコアをつけている。ジョリビーは、「ご機嫌な(jolly)蜂(bee)」という意味。マスコットキャラクターの「ジョリビーくん」は、Tシャツになったり、アニメになったりして、店とともにフィリピンの国民的キャラと言っていい。

ジョリビーの公式サイト

初めてジョリビーの店とジョリビーくんを見たとき、「なんだこれは。フィリピンのマックと言うけど、なんかローカルっぽすぎるな」と思ったが、いまやそんなことは言っていられない。なぜなら、ジョリビーはここ数年で急成長し、フィリピン発の世界的ファストフードチェーンになったからだ。

世界どこに行ってもあるのに驚く

いまやジョリビーは世界どこに行ってもある。2018年10月には、世界の中心と言えるニューヨークのタイムズスクエアに、全米で38番目の店舗をオープンさせている。アメリカではすでにハワイ、ロサンゼルスなどに進出していて、ついにニューヨークにまで出店したわけだ。また、ほぼ同時期にヨーロッパでは、ロンドン、ローマにも店舗をオープンさせている。

もちろん、アジア地域ではどこに行ってもある。一番多いのがベトナムで100店舗以上。シンガポール、マレーシア、ブルネイ、香港、マカオにはそれぞれ数店舗。現在、タイとインドネシアにはないが、今後出店し、とくにインドネシアでは150店舗を展開する計画を進めている。

驚くのは、中東にも早くから進出していること。UAE、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、バーレーン、オマーンにもある。とくに、サウジアラビアとUAEには10店舗以上ある。

いまや世界で11番目の外食企業

ジョリビーが創業したのは、1975年。当初はアイスクリーム店としてスタートし、その後ホットドックの販売を手始めとしてハンバーガーやフライドチキンを手がけ、ファストフードチェーンをフィリピン全土に展開していった。

創業者のトニー・タン・カクチョン(Tony Tancaktiong:中国名は陳覺中)は、両親が中国福建省の出身の華僑系フィリピン人。1953年生まれの66歳で、ジョリビーの成功でいまやフィリピンの大富豪の1人となった。

ジョリビーを運営する「ジョリビー・フーズ・コーポレーション」(JFC)の2018年決算は、売上高が前年比20.6%増の1,578億ペソ(約3,360億円)、当期利益が17.1%増の83億ペソ(約177億円)となっていて、これは外食産業としては、世界で11番目にランクされる。

JFCは、ジョリビーだけを運営しているのではない。中華やピザのファストフード店も運営している。以下が、JFCが運営しているブランドである。

  • 「Jollibee」(ハンバーガーのファストフード)
  • 「Chowking」(中華料理のファストフード)
  • 「Greenwich」(ピザ・パスタのファストフード)
  • 「Mang Inasal」(BBQのファストフード)
  • 「Burger King」(フィリピンのみの運営)
  • 「Red Ribbon」(ケーキ店)

これらの店を全部合わせた店舗数は、現在、国内外で約4,300店に達している。

アメリカの大手カフェチェーンも買収

JFCの成長を牽引しているのは、積極的な店舗展開である。メインブランドのジョリビーは、2018年だけでフィリピン国内に317店舗、海外に180店舗の新規出店を行った。また、海外の外食チェーンも積極的に買収し、規模を拡大してきた。手始めはベトナムのカフェチェーンの買収で、現在、「ハイランズ・コーヒー」をベトナムとフィリピンで展開している。

今年の7月、JFCはこれまでで最大規模の買収を行なった。アメリカのカフェチェーン大手「コーヒービーン&ティーリーフ」(CBTL:The Coffee Bean & Tea Leaf )を3億5,000万ドル(約380億円)で買収したのだ。CBTLを運営する「インターナショナル・コーヒー&ティー」(カリフォルニア州)から、CBTLの店舗などすべての資産を取得したと、JFCは発表した。

CBTLは、1963年、ロサンゼルスのブレントウッドで創業され、ハリウッドスターに愛されるカフェとして人気を得てきた。現在、世界中に店舗を持ち、日本でも日本橋などに店舗がある。全米では284店、東南アジアで447店、とくに韓国では292店もあり、世界のカフェ市場で一定のブランド力を誇っている。JFCのトニー・タン・カクチョン会長は「この買収で世界の外食業界の時価総額で上位5位に入るという目標に近づく」と、意気軒昂に述べている。

これがハンバーガー店?不思議なメニュー

それでは、なぜ、ジョリビーがこんなに人気なのだろうか?
残念ながら、私にはその味の良さがよくわからない。フィリピンの人たちは「おいしい」と言うが、それはハンバーガーではない。マックをしのぐ人気と言うから、てっきりハンバーガーかと思ったら、一番人気は「フライドチキン+ライス」。なんとフライドチキンにライスが付いてくるセットメニューだ。

フライドチキンといっても、ケンタッキーとは味が違う。スパイスが利いていているが、かなりの甘口。ケンタッキーや日本の焼き鳥に慣れている身としては、この甘口がなんとなく馴染めない。ライスに合わないと思う。しかし、フィリピン人はこれを「おいしい」とコーラを飲みながら、パクパク食べている。

2番人気は、「スパゲッティ」。見た目はミートソースで、トマトソースにはソーセージがたっぷり入っていて、チーズがかかっている。しかし、食べるとこれが超甘口。本当に甘い。その理由は、トマトケチャップでなく、バナナケチャップを使っているからだと言う。というわけで、私は1、2番人気になじめず、ハンバーガーとフレンチフライを食べる。

人気の秘密は味のローカライズにあり

南の国では、濃い味が好まれる。甘いか辛いか、はっきりしている方がいいとされる。ジョリビーのスタッフは、東南アジアの食文化に合わせて味をローカライズしているという。ベトナムではフィリピンと違い、ナンプラーが効いたエスニックな味付けをしているので、人気があると言う。この味のローカライズ化と、ハンバーガーからフライドチキン、スパゲッティまで、豊富なセットメニューがあることも人気の秘密のようだ。

こんなに人気のジョリビーだが、いまだに日本には1店舗もない。かつて、日本進出が報道されたことがあったが、毎年噂は出ても実現していない。日本人の舌に合わせた味がまだ出せないのだろうか?
ただし、この勢いでは、間もなく1号店ができるのは時間の問題だろう。ジョリビーのことだから、きっと日本人に合うメニューをつくってくれるだろう。

新興ASIAウォッチ/著者:山田順

新興アジアとは、ASEAN諸国にバングラディシュとインドを加えた地域。現在、世界でもっとも発展している地域で、2050年には世界の中心になっている可能性があります。そんな希望あふれる地域の最新情報、話題を伝えていきます。
※本コンテンツ「新興ASIAウォッチ」は弊社Webサイト用に特別寄稿して頂いたものとなります。

山田順(やまだ じゅん)

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社ペーパーバックス』を創刊し、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースを手掛けている。
著書にベストセラーとなった「資産フライト」、「出版・新聞 絶望未来」などがある。

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投稿更新日:2019年12月18日


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